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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・七部 ???? レム編
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主鎧協力

 俺達は、レーチェに続いて食事をするテーブルに座る。俺達が座った席に、レーチェが野菜サラダを小分けにしてお皿に盛り直し、テーブルを滑らせてそれぞれが取りやすい位置に流した。それぞれ用のフォークも添えて。


「さて、ああいう奴への勝ち方を教えてやろう。じゃが、その前に説明しておく。今、あいつがどういう状況なのか」

「クローリの状況?」

「そう、奴の状況じゃ。はっきりというが、奴が仕掛けてきているのは、この国にのみではない。同時に、奴は他の国にも戦争を仕掛けておる」

「同時に、別の国を?」

「そうじゃ。それほど、今の奴には力がある。 しかし、この力、わしには見覚えがあってな。今、創世級迷宮におる闇属性。奴に近い力をしておる」

「創世級に?」


 うむと、頷きながらレーチェは野菜を頬張る。


「その力わな、ベイよ。お前に似ている。だがな、用途が違う。土地に外部的な魔力貯蔵庫を作り上げる。それを、自身が自由に操れるようにするわけじゃ。いわば、一瞬で魔力の保持量を増やせるということじゃな」

「……ハッ?」

「なんですかそれ?」

「土地から、魔力を吸い上げるということか。それも無尽蔵に」

「無尽蔵。それは違うんじゃが、まぁ、かなりの量はあるのう。なんせ、創世級迷宮を維持するために、昔の連中が作り上げた魔力供給魔法がこの星にはある。よその星よりは、魔力量は長く続いて保持されるじゃろうな。あまり使われると、創世級迷宮が消えるんじゃけど、そこら辺を敵が分かっとるんかわ知らん」

「えっ?」

「つまり、クローリを野放しにして好き勝手させると、創世級の魔物すら出てくる恐れがあると?」

「そうじゃ、アリー。恐れでわなく、確実に出てくる。連中には、わしほどでわ無いとは言え、力がある。少しでも迷宮が弱くなれば、一気に出てこようとするじゃろう。ドサクサで、一匹ぐらいは出てくるかもしれんな」

「……なんてことだ」


 魔王の復活が、この星の寿命を縮めることになるなんて、何かのおとぎ話か。洒落になってないぞ。


「今、奴は魔力量を増やしてまわっておる。それは、この国にのみ留まらない。迷宮、未開地。あらゆるところに手を付けるじゃろう。ま、慣れてくればの話じゃが」

「まだ、慣れて無いと?」

「一瞬で増やせると言ってものう。そのように簡単に済むものではない。結局は、別の物じゃからな。自身の体内に有るものとは違うわけじゃ。引き出したり、扱ったりには、それぞれの土地の対応の仕方に慣れる必要がある。じゃから、そう一気には増やせんじゃろう」

「……いや、あいつは増やしてくると思う」

「ほう」

「そういう奴だ」

「ベイがそういうのなら、そうかもしれんのう。じゃが、それならまずいぞ。日毎に力を増すうえに、創世級迷宮の檻が薄くなっていく。早めに仕留めねばならん」


 あまり、時間はないってことか。


「で、俺達はどうすれば良いんだ?」

「うむ、説明してやろう」


 レーチェは、そう言いながら残っていたサラダをかき込んで食べ終えた。


「まず、今回の敵は闇属性じゃ」

「そうだな」

「そこでお前じゃよ。レムとか言ったか」

「私?」

「そうじゃ。お前が中心となる必要がある。そのほうが都合が良い」

「レムが?」

「ま、どっちにしろ相手が闇の創世級なら、レムが相手する方がこっちも都合がいいんですけどね」

「そうなのか?」


 レーチェが、ミルクを見る。ミルクは、その問に頷いた。


「まぁ、良い。理由わな、奴の分身魔法じゃ。あれわな、闇の魔力の相殺でしか完全に破壊できない」

「相殺でしか」

「破壊できない?」

「どういうことですか?」

「うむ。あれわな、先ほど説明した土地を魔力貯蔵庫にするという物の応用でな。土地から魔力を引き出して文身体を作っておるわけじゃ。じゃから、はっきり言うとキリがない。倒しても倒しても湧いてくるわけじゃ。ま、限りは有るがのう。途方もない数の果にじゃが」

「なるほど」

「それじゃからのう。その魔力貯蔵庫として侵食された土地その物の魔法を破壊してやるのが、一番その魔法を封じる上で手っ取り早いんじゃ。クローリの力を下げるにも、それが出来たほうが良いじゃろう。それを可能にするのが」

「相殺ですか」

「うむ」


 レーチェは、うんうんと頷く。その度に、彼女の豊満な胸が揺れていた。


「さて、それを可能にするために、魔力の遠距離操作を覚えてもらうことになるわけじゃが」

「はい」


 いよいよ本題か。いったい、どんな修業をすることになるんだ。あまり時間がない。短時間で効果のある修行だと良いんだが。


「ベイよ」

「はい」

「お主、レムと打ち合え。それも本気でな」

「……は?」

「は?」


 俺とレムが、同じような声をあげた。


「理由を簡単に説明しよう。魔力を操作するというのは、精神を研ぎ澄ますということじゃ。じゃがな、これが人の領域外の話になる。それも、遠距離となるとな。じゃが、存外ベイは、人間離れしとるほうじゃぞ。今でもな」

「はっ、はぁ……」

「じゃがな、流石に人間じゃ。精神の研ぎ澄まし、その果までは、魔物でしか届かん。頭の作りが違う。人間は、極限状態でもやっと魔物の本来の力の半分に届く程度じゃ。知能が有るから、半端な魔物には人間は負けんが。わしらクラスに力を磨いたもの相手じゃと、手も足もないのと一緒じゃからな。それぐらい、集中力が違うんじゃよ」

「だから、レムと打ち合えと?」

「そうじゃ。レム。こやつが、精神を研ぎ澄ます。それで、今回は良いじゃろう」

「だが、何故私が主と打ち合うんだ?」

「お前、あの力の中心じゃろう。そこのフィーとやらも中心に近いようじゃが、大本はお前のようじゃな。ならば、ベイはお前と修行をともにしたほうが良い。お前との積み重ねた時間。それが、一体化。その本来の力を、融合した時に発揮するすべとなるじゃろう。ま、簡単に言うと、一体化しても魔力操作が負担が軽く出来るようになると思うんじゃな。ベイとお前が修行することで」

「なるほど」

「レムに、魔力操作をやらせるですか。しかも、相殺」

「あの、技のレムに、魔力操作を?」

「出来るんですか、レム」

「ふっ、ミルク。フィー姉さん。大丈夫です。やりましょう。私が、あの魔王を殺す」


 レムは、そう言うとスッとその場で立ち上がった。





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