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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・六部 ???? ミルク編
493/632

正体

 その後、ノービスとカエラに、レーチェをやんわりと紹介し。俺達は、何事もなく一日を終えた。次の日、いつもと変わらぬ朝がやってくる。だが、微妙な魔力の動きを感じた俺とミルク、アリーは、自然と起き上がって外を見た。


「よし」


 外を見ると、レーチェが魔法で雑草を除去していた。しかも、破壊魔法で。あの魔力は、一瞬感知しただけで、もう体が起き上がってしまうからやめて欲しい。しかも、それをあんな気軽に。


「そう言えばご主人様、よく、あの魔法を防げましたね」

「ああ、あれか」

「え、ベイ防いだの?あの、訳の分からない魔力お?」

「ああ、ヒイラのおかげだよ。あの魔法は、破壊の魔法らしい。今まで、壊せなかった物は無いそうだ」

「……そんなの、どうやって防ぐの?無理でしょ?」

「そう思った。俺もね。だけど、あれには防ぐ手立てがあった」

「と、言いますと?」

「対象を、破壊すると消える。存在し続けるわけじゃない」

「……え。でも、ベイは生きているのよね?」

「ああ。恐らく、ミルクと同質量の肉体を構成する魔力。それをぶつけたから、防げたんだと思う。それ以外の魔力をぶつけたが、勢いが収まる気配がなかった。だが、俺の腕を消していくに連れ、あの魔法の構成魔力は小さくなっていく。そこに気づいたんだ」

「だから、人体創造魔法で、勢いを削げたってこと?」

「そういうこと。対象を消したと誤認させたんだ。……ただ、あの様子だと俺じゃないと出来ないことかもしれない。どうも、俺の魔力をミルクの魔力と誤認してたから防げたっぽいし。対象が違うと、魔力が違うから、誤認させられないかもしれない」

「対象の、魔力の波長をよんで破壊してくるの?最悪の魔法すぎるでしょ」


 確かに。対象を破壊するまで止まらない魔法だからな。今まで見た、どの魔法よりも強力だ。


「あの魔法、使えませんかね?」

「無理だな」

「無理?ベイが?」

「……アリー、悪いけどあれは無理だ。俺には出来ない。恐らくだが、レーチェが持っている特殊器官がいる。まさに、レーチェ専用の魔法だよ」

「ですが、彼女と一体化出来るとしたら?」

「……出来るかもしれない。だが、それは無理な気がする」

「無理?ベイが?」


 アリーに合わせて、ミルクも疑問を抱いた様な顔をする。いや、普通に無理だろ。


「レーチェは、俺と契約しない。なぜなら、最強だからな」

「よく分かっておるでわないか」


 俺たちが話していると、外からレーチェが、ジャンプして窓から入ってきた。


「わしは、誰にも縛られわせぬ。ましてや、魔力を用いた契約など、一生することは無いであろうな」

「養ってもらうのに?」

「それは、乳を揉ませたからのう。それに、仕事上の付き合いは別じゃ。とは言っても、もう乳は、別のやつには揉ませんがの」

「ま、それはそうでしょうね」

「しかし、そんな防ぎ方があったとはのう。次からは、雑に撃たずに、威力を上げて撃つとするか」

「……マジ最悪ですね」

「別にいいじゃろ。余程でなければ、もうお前たちには撃たんのだから」

「撃つ気はあるんですね」

「当たり前じゃろ。お前らは、飛んでいるうざいと感じた虫を、野放しにしておくか?そこまでくれば、排除するだけじゃ。そうであろう?」

「まぁ、確かに」

「そうならないようにすれば良い」


 簡単なようでいて、難しそうなラインだな。取り敢えず、レーチェに嫌われないようにすれば良いのか。


「理不尽なのは、やめてくださいよ」

「分かっておる。撃つ前に、警告はする」

「なら、良しとしますか」


 良いんだろうか?


「そう言えば、ベイよ。わしを、呼び捨てにしておったな」

「あっ」

「あっ」

「あっ」


 目を離さず、レーチェは俺の目を見ている。やばい。これはまずいのでわ。


「……ふっ、しょうがないのう。特別に許す。お前だけじゃぞ?」

「えっ?」

「アリーさん、出来るのでわ?」

「出来る気しかしないわね」


 ヒソヒソと、アリーとミルクが俺の後ろで小声で話す。そんな中、俺は冷や汗をかいていた。死んだと思った。


「それとな、お前ら死ぬぞ。このままでは、あの創世級共に勝つどころか、傷をつけるのが精一杯じゃ。いくら、ミルクのように常識離れした能力を宿していようともな」

「あっ。それよ。それを聞きたかったの」

「なんじゃ?」

「他の創世級。あいつらは、いったいどんな魔物なの?」

「……」


 レーチェは、アリーの質問を聞くと、黙って空を見上げる。


「お前らは、何が強いと思う。この世界で」

「何が?」

「強い?」


 大雑把な質問だ。それに、強さには色々な形がある。その中で、この質問は何を聞いているのだろうか?


「愛、ですかねぇ」

「まぁ、お前はそうじゃろうな。愛で、他人の魔力を操作出来るようになるやつなど、初めて見たわい」


 だろうなぁ。


「この世で、一番強いのわなぁ。わしを除くと、自然現象じゃ。それに抗える生物は一握り。生きとし生ける物の糧。それでありながら破壊。それこそが自然現象。それが、奴らの正体じゃ」

「……は?」

「そういう反応をするであろう。だが、事実じゃ。奴らの殆どは、意志を持たぬ。されど生きている。生きた自然現象。魔力のみで出来た化物。それが、連中の正体じゃよ」

「えっと、雷や、竜巻ってこと?」

「正しい表現じゃ。しかしな、ただの自然現象ではない。魔力のみで出来ている。それは忘れるなよ。それも、わしのような高純度の魔力でな」

「……」

「大抵のものに、理性はない。出てきたのが、わしで幸運であったな」


 俺達は、ただその言葉に頷くしかなかった。







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