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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・六部 ???? ミルク編
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並び立つ楽園

「……」


 少女が席を立つ。そして、ゆっくりと歩み始めた。


「ベイ、と言ったな。わしはレーチェ。レーチェ・デカブラと名乗っている。もっとも、それ全てで本来は名前なのじゃが、長いゆえな。レーチェで構わんぞ」

「は、はぁ」


 やがて、ミルクの前にレーチェは移動すると止まる。そして、マントの前部分をはだけさせた。


「!?」

「……」


 そこには、並び立つ4つの巨大な山があった。片やミルクの奇跡とも言える神乳。少しだけ見えている谷間と、その圧倒的な胸囲から醸し出されている癒やしパワーは、まさに奇跡の産物。この世にもたらされた俺専用の楽園と言っても良い。


「互角じゃと。わしと、互角じゃと言うのか……」


 片やレーチェの神乳も、これまた奇跡の産物と言わざるおえないものだ。大部分が今にもはちきれそうになっているシャツで隠れているが、そっと、その中で谷間部分が顔をのぞかせている。その褐色に染まっている肌のなんと健康的なことか。あれは、常夏の日差しのもとですくすくと育ったに違いない、常夏の楽園だ。ミルクとは、また違った場所に存在する楽園なのだ。そうに違いない。エデンは2つあったのだ。


「ふっ、やりますね」

「お主、名前わ」

「ミルク。ミルク・アルフェルト」

「ミルクじゃと。くはは、なるほど。その名が相応しい。わしは、レーチェじゃ」

「いい響きの名前ですね。レーチェさん」

「ミルクも、また良き響きじゃのう」


 会話は穏やかだ。だが、外から見ている分には、そうではない。睨み合っている。微笑んだりはしているが、内心で睨み合っている。俺には分かる。2つのエデンが、お互いを認識してしまったのだ。この2つのエデンを見つけた俺にとっては、幸運でしかない。しかし、とうのミルクとレーチェにとっては、競り合う敵を見つけてしまったと言う認識なのだろう。何という不幸。そして、何という最高の光景。エデンとエデン。その間に、何か奇跡的なパワーが溜まっている気がする。俺には、そんな気がしてならない。


「少し、わしも同行させてくれぬか。お主の兄、気に入ったのでな」

「いえ、夫です」

「……そのなりで、婚姻しておるのか?」

「貴方こそ。私と同じ身長なのに、口調が古臭いですね。お年を重ねていらっしゃるのではないですか?」

「……既婚者か。むしろ良い。嫁は気に食わぬが、条件としては有りじゃ」

「ところで、何時までマントをはだけさせているんですか?露出狂ですか?変態なんですか?そのシャツ、乳首透けるんじゃないですか?法的に大丈夫ですか?」

「ええい、うるさい!!厚手じゃから見えんわ!!だいたい、そこいらの布製品と一緒にするな!!もう良い!!確かめたから隠す!!」


 ああ、エデンが隠れてしまった!!


「ふん、口の聞き方がなっていない牛乳じゃのう。ベイよ、嫁の教育はしっかりせんといかんぞ」

「あ、はい」

「いえいえ、ご主人様は悪くありません。むしろ、この露出狂が悪いのですから」

「露出しとらんわ!!何処がじゃ!!大部分隠れておったじゃろう!!」

「そのシャツ。短いですよね?」

「おう、そうじゃが?」

「下から、胸が見えますよね?」

「……お、おう。そうじゃな」

「……下乳露出狂じゃないですか」

「いやいやいや、わしの下に潜り込んでくるやつなぞおらんじゃろ!!そんな奴が日常茶飯事におったら、人間社会崩壊じゃぞ!!モラルの低下じゃぞ!!」

「なるほど。覗かれないのを理由に、露出して楽しんでいたわけですね」

「楽しんでおらんわ!!涼しくて楽だからやっとるだけじゃ!!蒸れるんじゃ!!」

「ああ~、それは分かります」

「じゃろう!!都合がいいんじゃよ!!たくっ、なんじゃこいつわ。わしを露出狂呼ばわりしおって」

「す、すいません」

「まぁ、良い。ほれ、何処かに行く予定とかはないのか?」


 レーチェは、俺を見つめる。そして、俺はロデを見つめた。


「そ、それでは、農場にでも行ってみましょう」

「お、良いのう。よし、行くとするか」

「なんで、貴方が仕切るんですか」

「いや、わし年長者じゃし」

「ほほぅ。……ま、良いでしょう。ご主人様がお招きしたんです。変な行動は、やめてくださいね」

「何もせんわ!!さっきから、普通じゃったじゃろうが!!わし、滅茶苦茶一般的なんじゃが!!」


 そう言いながら、ロデの案内でレーチェとミルクは進んでいく。並び立つ2つのエデン。それが歩いて揺れている。ああ~、最高だな。


「ベイ」

「どうしたんだ、アリー?」

「あの子、おかしい。身体から出ている魔力に、揺らぎがない。完全に、魔力を制御してる。只者じゃない」

「……」


 どうやら、思考が何処かに旅立っていたようだ。おかえり思考。そして、おかえり現実。今の言葉で、はっきりとした。そう。楽園が2つとか言っている場合ではない。恐らくもなにもない。レーチェ・デカブラ。彼女はもしかすると。いや、もしかしなくても。


「創世級……」

「……嘘でしょ。あんな子が」

「いや、間違いない。レーチェさんは、神の奇跡を授かっている」

「神の奇蹟?よく分からないけど、ベイには彼女の秘めている力が分かるのね。凄いわ」

「……」


 いや、そういう物ではないんですけどもね、アリーさん。俺は、歩きながらレーチェを見つめる。レーチェは、そんな俺を見ると、可愛らしくウインクしてきた。……可愛い。


「ご主人様~」

「ミルク、どうした?」

「私がおりまする!!私がおりまする!!」

「よしよし、ミルクは最高だなぁ~!!」

「ご主人様!!もっとかまって!!あいつより、私を見て!!」

「なんじゃと!!ベイよ、そっちよりわしの方が良かろう!!許すゆえ、もっと見るが良い!!」

「残念でした~!!ご主人様の視界は、私でいっぱいです~!!貴方の入る隙間なんてないんです~!!」

「ふざけるな!!避けろ!!ベイが見たがっておるじゃろ!!」

「見たがってません~!!」

「あはは」


 こんなミルク、初めて見るな。俺は、よじ登ってくる2人を抱えて苦笑いを浮かべながら、ロデについて行った。

 

 


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