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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・五部 暴流神忍 ミズキ編
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鉱物の迷宮

 少し前のこと。ライア達は、迷宮へと転移して目的の場所へと移動していた。そこには何個かの部屋があり、部屋ごとに特殊な魔物が待機している。その部屋の魔物たちを尽く打ち破り、ライア達は中央の部屋へとたどり着いていた。


「我が配下の四天王を打ち破るとは、相手をする価値があるようだな」

「こいつが、最後の相手か?」

「そうみたいね。今までの相手みたいに、一筋縄ではいか無さそうだわ」


 それは、クリスタルで出来たかのような人型のゴーレム。鍛え上げた男性のような形をしたその魔物は、何かの鉱物で出来た鎧を身に纏っていた。しかし、武器は持たず素手であった。


「……かかってこい。試してやろう」

「へっ、言うじゃねぇか!!」


 ガンドロスが、一瞬で黒い気を纏うと、魔物に対して斬りかかる。それは、常人では捉えることも不可能なほどの速さを持った斬撃。だが、それをあっさりとその魔物は、素手で受け止めた。


「な!!」

「人であるのにも関わらず、いい実力をしているな」


 魔物は、ガンドロスをそのまま引き寄せると、その首を掴む。そして、そのまま地面へと叩きつけた。


「ガハッ!!!!」

「まだ、息があるのか?いい耐久力だ」

「その手を、離しなさい!!」


 魔物目掛けて、ライアが魔法を放つ。すると、魔法がその魔物の前で消えた。


「なっ!!」

「俺が行く!!」


 ジーンが、緑色の気を纏って突撃した。ジーンは、魔物を蹴りつける。だが、魔物はびくともしない。


「……」


 しかし、その瞬間、ライオルが魔物の腕を切りつけていた。ジーンに意識が向いていた魔物は、不意の攻撃を受けて、ガンドロスを離してしまう。


「生きてるか!!」

「ゴホッ、頭は丈夫なんでな」


 ライオルは、ガンドロスを救出して後ろに下がった。ジーンが前に立ち、魔物を牽制している。ガンドロスは血を吐き、足に力を入れて立ち上がると、再び剣を構えた。


「なんで、魔法が消えたのよ!!」

「今までの敵にも、属性ごとの魔法が効かない敵が存在していた。それではないか?」

「なるほど!!とすると、あいつに火の魔法は効かないってことね」

「いや、その認識は誤りだ、人間。私には、全ての魔法が効かない」

「は?」

「私は、全ての魔法に対して完全なる耐性を持っている。加えてこの肉体だ。見ろ、この地上にある全てを凌駕する最高の肉体。お前たちに、最早勝つ手段は残されていない」


 魔物は、そう言いながらライア達を指差す。その魔物の前に、ライオルが進み出た。


「つまり、物理攻撃なら聞くんだな」

「聞いていなかったのか。不可能だ。我が身体には、傷一つ……」

「さて、どうかな!!!!」


 ライオルは、言葉を待たずに切りつけた。ライオルの斬撃が、魔物の身体に直撃する。だが、傷一つはいらない。


「無駄だろ?」

「ふっ、一撃で駄目なだけだ」


 ライオルは、更に剣を振り上げる。だが、魔物はそのライオルの腹めがけて、拳を放った。ライオルはすぐに飛び退き、その攻撃を回避する。


「今のはサービスだ。今後、まともに攻撃させはしない」

「……どうやら、効いているらしいな。表面にではなく、内部によう」

「フッ、どうかな。切れるものか、試してみるといい。出来ればの話だが」

「もとより、そのつもりだ!!!!」


 ライオルが速度を上げて、魔物へと攻撃を仕掛けた。しかし、その尽くを魔物は腕でガードする。


「素晴らしい速さだ。我が配下のスピナーよりも早い動き。感心する」

「そうかよ!!」

「だが、我には届かない」

「どうかな!!」


 そう言ったのは、ジーンだった。ジーンは、速度だけであるのならば、ライオルよりも速い速度を維持できる。ライオルの攻撃に合わせ、ジーンは魔物を切りつけた。だが、その斬撃も全て魔物の皮膚に弾かれてしまう。


「なるほど、これは少し厄介だ」


 魔物は、ジーンの腕を掴んだ。そして、高く飛び上がるとジーンの背に乗り、落下し始める。


「少し重いかも知れないが、すぐ死ぬ程度で済む。痛みは一瞬だ」

「離せ!!」


 ジーンは、魔物の腕を振りほどけ無い。ライオルも近付こうとしたが、魔物に、剣を払われてジーンを助けることが出来なかった。


「まず一人」


 魔物と、ジーンが落下を始める。そして、ジーンが鉱石で出来た床に叩きつけられた。


「ん?」

「そんなこと、させないわよ!!」


 床に、叩きつけられたかに見えたジーン。だが、床の上に水が広がっている。その水の上で、ジーンと魔物は浮いていた。普通ならば、そのままの勢いで水にぶつかったとしても、ジーンは助からない。だが、ライアは水魔法と同時に風魔法で落下の勢いをそいでいた。


「おりゃあ!!」


 ガンドロスが、魔物に斬りかかる。相手の身体を吹き飛ばし、ジーンを救出した。


「なんと、我の身体を飛ばすとわ」


 魔物は、轟音を立てて着地する。それほど、重かったということだ。


「二度も攻撃を貰ってしまった。であれば、実力を認めて名乗らねばなるまい。我は、ダイアース。この迷宮の管理者だ」


 ダイアースと名乗った魔物は、身体に力を入れ始める。すると、表面にトゲが出現した。


「些か痛くなるが、君達は強いからな。礼を持って相手をさせていただこう」


 そう言うと、ダイアースはジャンプした。そして、床が変形して何かを形作っていく。その中央に降り立つと、ダイアースは腕組みをした。


「戦いの舞台は整った。さて、デスマッチと行こう」


 それは、四方を柱で囲み、鉱物で出来たロープで周りを封鎖した巨大なリングだった。その中に、ライア達は立っている。


「何だこれわ!!」

「上にしか、逃げ場がない。壁際に追い詰められないように、注意しろ!!」

「では、存分に戦うとしよう!!」


 ダイアースは、ライオルへと走り始める。ライオルは剣で牽制しようとするが、ダイアースはあっさりとその剣を素手で掴んだ。


「その牽制は、無意味だ!!」

「グハッ!!」


 ダイアースは、斬撃を受けても損傷しない。つまり、避ける必要がないのだ。そのため、落ち着いてライオルの攻撃を見切ることが出来る。そのままダイアースは、ライオルを投げると、ロープにライオルを叩きつけた。


「ガッ、足が!!」

 

 ライオルは、身体を捻ってロープに足から着地する。だが、ロープには棘ができていた。それが、ライオルの足に刺さっている。それを、ライオルは勢いよく飛び立って抜いた。


「うおおおおお!!!!」

「その足で、構わず向かってくるか!!」

「回復は任せて!!」


 ライアが、移動するライオルに合わせて回復を行う。ダイアースと激闘を進める中で、ライオルの足は徐々に治っていった。


「このままでは、勝ち目が無いぞ!!」

「いえ、あるわ」


 ライアが、一応牽制代わりにダイアースに対して魔法を撃ち続けているガーノにそういう。しかし、どの魔法もダメージを与えられていない。


「どうするのだ!!」

「あいつの動き、止められる?」

「……任せろ!!」


 ガーノは、手を高く挙げると、三体の魔物をその場に召喚した。





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