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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・五部 暴流神忍 ミズキ編
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癒やし

「お、おぇ」


 ロロは、四つん這いになって固まっている。また吐きそうな感じだ。だが、もう既に吐いてしまったので、吐くものがないんだろう。そのまま、ゆっくり呼吸を整えている。


「自滅技ですか」

「慣れていなかったんだろうな。良い技だったんだが」

「だけど、あれはジャルクが、あの大きさじゃないと使えないのでわ?」

「いや、今から使っていけば、成体になってからも使えるようになるだろう。まぁ、限度はあるが」


 ミズキは、分身を解除して近寄ってくる。そして、2人の頭を撫でた。


「練習が、必要だな」

「は、い。次は、もっとよく回る」

「グアッ……」


 ジャルクは、嫌そうな返事をした。もう、吐きたくないらしい。


「安心しろ。慣れれば、吐かなくなる」

「……うぇぇ」

「グアッ」


 そのまま、2人は黙る。そして10分。2人は、黙って俺に撫でられていた。


「復活した」

「グアアッ」


 ロロは、スッと立ち上がる。ジャルクも、続けて足に力を入れて姿勢を正した。


「でも、なんだか気分が良くない。水浴びしたい」

「グアッ」


 ジャルクも、ロロの提案に頷いた。


「あ、そろそろお昼の用意をしたいんだけど。皆、頼める?」

「アリーさん。はいはい、大丈夫ですよ」

「では、ロロたちに主とミズキは付き合ってあげて下さい」

「私たちは、その間にお昼ごはんの用意をしておきます」

「そうっすね」


 俺は、レムにフィーを預ける。そして、皆はぞろぞろとアリーについて行った。


「お風呂へゴー」

「グアッ」


 ロロは、ジャルクに跨ると、お風呂場へとノッシノシ移動を始めた。


「では、私達も行きますか」

「そうだな」


 保護者として俺もミズキも、ロロの後に続くことにする。暫くして、俺達は脱衣所に着いた。


「で、なんでミズキは、俺の服を脱がせているんだ?」

「え、一緒に入るんですよね?」

「いや、入るけど。俺達は、水浴びする必要ないだろう」

「する」

「グアッ」


 ロロは、俺にそう催促した。


「ということですので」

「……分かった」


 俺は、諦めて服を脱いだ。


「広いぞ~」


 新居の風呂場は広い。全員で入っても、それなりに余裕がありそうだ。と言っても、流石に少し狭く感じるかもしれない。だが、一人で入るには、広すぎるスペースだ。


「水、無い」

「グアッ」

「ああ、すぐに出すよ」


 俺は、水魔法で浴槽いっぱいに湯をためた。すぐに湯船をはれる。魔法って、ほんと便利だよなぁ。


「おお~」

「グアッ」


 ロロは、すぐに浴槽へと滑り込んでいく。一方、ジャルクは、何か俺を見つめていた。俺は、ジャルクへと湯船からお湯をすくってかける。それで暫く身体を動かしながらジャルクは、体全体を濡らすと、風呂へと入っていった。かけ湯という思考が、ジャルクにはあるようだ。


「気持ちいい」

「グアッ」


 ジャルクは、湯船に器用に浮いている。沈まないんだな。意外と。


「殿、私達も入りましょう」

「そうだな。せっかくだしな」


 俺は、ミズキと肩を並べて湯船につかった。ああ~、少しの疲れに、この暖かさが身体に染み渡ってとてもいい。やっぱ、お風呂って良いな。


「殿、お疲れでしょう」


 そう言うと、ミズキは身を寄せて肩を揉んでくれる。ああ~、すごい良い力加減だ。俺は、思わず脱力した。身をミズキに預けて、湯船で目を閉じる。そうしていると、ミズキが全身を揉んでくれた。背中に、ミズキの体温を感じる。その状態で、耳元でミズキの呼吸する音を聞きながら、俺は全身をマッサージされた。ここが、天国だったのか。


「ジャルク、発進!!」

「ゴボボッ」


 ロロは、ジャルクを沈めて遊んでいる。大丈夫だろうか、ジャルク。一応、水中活動も出来るようだが。


「んっ」


 俺が、ロロを眺めていると、ミズキが俺の肩にキスをしてきた。愛おしそうに、ミズキは俺を抱きしめる。


「ありがとう、ミズキ」


 俺は、マッサージの礼をミズキに言った。


「いえ、妻として、出来ることをしただけですから……」


 恥ずかしそうに、ミズキは顔を赤く染める。可愛いな、このニンジャ奥さんわ。


「むっ、ジャルク。私もやるべきか?」

「グアッ」


 ジャルクは、ロロの発言に首を横に振って、やめとけと言ったジェスチャーをした。どうやら、ロロはマッサージが上手くないらしい。


「失礼な。ジャルクに、いつもやってる」

「グアッ」


 だから、やめとけと言った感じでジャルクは答えた。どうやら、下手らしい。


「では、ジャルクで練習」

「……」


 ジャルクは、スッと泳ぐとこちらに逃げてきた。だが、ロロに尻尾を掴まれて、引き寄せられた。


「奥技、指圧粉砕拳!!」

「グアアァァァァ!!!!」


 ジャルクの悲鳴が、お風呂場に響き渡った。


「さっぱりしたな」

「はい」

「いい湯だった」

「……」


 風呂から上がると、ジャルクが、自分の尻尾を気にしている。少し、腫れ上がっているような気がする。大丈夫だろうか。


「そろそろ、ご飯の時間のはずです。行きましょう」

「ああ」

「お~」


 俺達は、そのまま移動する。吐いたせいなのか、待ちきれないようにロロとジャルクは、急ぎ足でキッチンへと移動した。


「……」


 ふと、外の景色を見つめる。先程まで晴れていたのに、急に雨雲が広がっていた。そして、ポツポツと雨が降り始める。俺達は、特に気にすること無く、そのまま食事を始めた。





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