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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・五部 暴流神忍 ミズキ編
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連携

口をゆすがせに、風呂場へと移動する。魔法で生み出した水で、ロロとジャルクは口をゆすいだ。


「スッキリ!!」

「グアッ」


 口をゆすいだことで気分が良くなったのか、ロロは部屋の中を見回した。


「広いね」

「ああ、俺もそう思う」

「タオル、持ってきたよ」


 ニーナが、口を拭くためにタオルを持ってきてくれた。それを受け取ると、ロロは自分の口を拭いた後、ジャルクの口を拭く。ジャルクは、別に拭かなくてもいいのに、と言った表情でロロを眺めていた。


「綺麗になったぞ、ジャルク」

「グアッ」


 ジャルクは、どうでも良いといった感じの返事をした。


「ニーナ、魔法の訓練はおわった?ちょっと来て~」


 何やら、アリーがニーナを呼んでいるようだ。あっちは、確かニーナ用の魔法研究をする部屋だったかな。


「は、はい、アリーさん!!今行きます!!じゃ、私行ってくるね」

「行ってらっしゃい」

「ああ、また後でな」

「グアッ」


 俺たちに見送られ、ニーナは廊下を早足で駆けていった。


「ニーナも、頑張ってるんだな」

「新しい、回復魔法を生み出しているとか、なんとか」

「そうなのか?」

「聞いてないの?あ、これ言っちゃダメな奴だったかな?」

「う~ん、まぁ、良いんじゃないか」


 俺は、ロロにそう言った。少し知っていたくらいで、何かが変わるわけでもないしな。それに、アリーが関わっているとなると、少し知っていたくらいでも十分驚くものが出来てきそうだ。


「殿、おや、ロロとジャルクも居たのか」

「こんにちは」

「グアッ」


 お風呂場に、ミズキが入ってきた。ミズキは、俺とロロ達を眺める。すると、ロロの体を触り始めた。


「ふむ。だいぶ強くなったようだな」

「頑張ってますから。えっへん!!」

「グアッ!!」


 ミズキは、ジャルクの身体も触る。予想外のすべすべした肌に、ミズキは一瞬困惑していた。


「……良し、私が稽古をつけてやろう」

「お、良いんですか?」

「グアッ」

「ああ。お前たちも、2人で組んでの戦闘相手が欲しいところだろう」

「……ハッ!!確かに。私、ジャルクと一緒に誰かを相手にしていない!!」

「グアッ」


 えっ、そうなのか? いや、前はジャルクが小さすぎたからな。それでか。


「では、外に出よう。殿も、一緒にどうですか?」

「そうだな。俺も行くよ」

「わーい」

「グアッ!!」


 俺達は、ミズキの誘いで再び外に出ることにした。すると、ミズキが起きてきたタイミングで皆が起きたのか、フィー達が庭に集まってくる。皆、ロロの成長ぶりをじっくり観察することにしたようだ。


「ロロちゃん、ファイト~」

「はい、フィーさん。……えっ、何ですミルクさん?えっ、ああ、分かりました、フィー姉さん!!」

「がんばれ~」


 ミルクが、何かを吹き込んだようだ。フィーは、何か気の抜けた声になっているな。一体化の影響だろうか。まぁ、まだ少し体がだるいから、そんなものかも知れない。もしくは、起き抜けだからかな。


「ミズキ地獄でしょうか、ご主人様」

「そうだと思うが」

「私も、2人と訓練をしてみたいのですけど、それなら無理そうですね」

「シデンも、ロロ達が気になるのか?」

「というよりも、自分の力をセーブする練習をしたいといいますか」

「そうなのか」

「はい。進化して以来、この力をどの程度で振るうべきなのか、いささか迷っています。鎖なら、力加減だけでいいのですが。雷撃となると、少し面倒でして」


 シデンは、指の先を電撃で光らせる。 ……なんか、それだけで結構な電圧が出ていそうだよな。見た目じゃ、電力は判断できないからな。恐ろしい。


「では、行きますよ」

「おう!!」

「グアッ!!」


 ミズキの言葉に、ロロは薙刀を構えて、ジャルクに飛び乗った。ジャルクは、出来るだけその場から動こうとせずに、首の向きをミズキに素早く合わせることで対応しようとしている。ミズキは、2人にゆっくりと近づくと、印を結んで分身した。その数、4。


「では、参る」


 ミズキは、ジャンプすると散開して四方を囲んだ。ジャルクは、目の前に陣取ったミズキ2人目掛けて光を放つ。それを、易易とミズキは回避した。


「むっ」


 その間に、後ろに控えていたミズキ2人が、背後からロロに襲いかかる。それを、ロロは薙刀を振り回して牽制すると、なんと、薙刀を地面に突き刺してジャルクを足に挟んだ状態で持ち上げた。そして、身体を捻ってジャルクに後ろを向かせる。ジャルクが、背後に居たミズキ2人にも光線を放った。それを、ミズキが回避して距離を取る。


「おお、やりますね!!」

「威力はないが、速さのある攻撃だ。即席ではあるが、連携も出来ていて、お互いの死角をカバー出来ている。良いんじゃないか」


 レムが、2人に対して賞賛の言葉を述べた。レム師匠にそう言われるということは、とてもいい戦い方をしているということだろう。


「だが、それ以上のスピードを持った相手に、どう戦うかが問題だ」

「威力もないですからね。相手に突っ込んで来られると辛いと思うのですが」

「私達とは、戦闘スタイルが違いますね」

「そうっすね。なんというか、アクロバティックな感じっす」

「ロロちゃんは、身体全体を使って戦ってるのね」

「素晴らしいと思います。あれ程の柔軟性なら、大抵の体勢からは攻撃を繰り出せるはずです」


 皆が、思い思いにロロの戦闘スタイルの考察をしている。その横で、フィーが眠そうにしているので、俺はフィーを抱きかかえた。可愛い。


「では、難易度を上げましょう」


 ミズキの動きが、変化する。スピードを上げ、ロロ達へと迫った。今度は、光線を回避しながらもロロ達へと突っ込んでいく。これでは、中距離武器の薙刀を持っているロロ達が不利だ。すぐ目の前まで、ロロ達はミズキに接近されてしまう。だが……。


「むっ」


 またしても、ロロは地面に薙刀を突き刺して身体をひねった。だが、今度は半回転だけでは止まらない。更に、薙刀を軸にして回り、回転を上げていく。そして、ロロは突き刺していた薙刀を抜いた。


「フッ!!」


 残っていた回転力で、空中でロロは回転する。それは、高速回転する薙刀のコマとなって、ミズキを退けた。


「すごい!!あの状態から持ち直しましたよ!!」

「回転しながらジャルクを振り回すことで、相手への牽制も出来ている。攻防一体の技だな。恐るべき腰の力だ」

「でもなぁ……」

「うん、どうしましたご主人様?」

「あれ」


 回転がおさまり、ロロ達が着地する。すると、青ざめた表情をしてロロはジャルクから降りた。


「待って、目が回った」


 ジャルクも、フラフラと小刻みに震えている。俺は、駆け寄りながらフィーを背負うと、2人の背中を撫で始めた。



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