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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・五部 暴流神忍 ミズキ編
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「めっちゃ綺麗だな!!」


 時刻はその日の夕方。俺は、今日建ったとは思えないような家の中を歩いていた。廊下の床がツルッツルで輝きを放っている。新築って感じだ。いや、実際に新築なんだけど。


「でも、やっぱ家具が無いと殺風景ですね」

「もう数日したら届きますから。その辺はお待ち下さい」

「ミズキ、寝室にベッド移動させておいて」

「承知」


 アリーに言われて、ミズキが消える。すると、程なくして上の階の部屋から音がした。仕事が早い。


「さて、こっちがヒイラ用の倉庫。あっちが私用」


 アリーは、楽しそうに家の扉に目印を付けていく。まぁ、これだけ広いと、そうしないと分からなくなるかな。


「あ、それはロデさん達に任せようよ。私たちは、ほら」

「ああ、結界を張らないと駄目ね。よし、じゃあ上の階の部屋に行きましょうか、ヒイラ」

「うん」

「ベイ、お義父さん達呼んできてくれる。今夜はこっちで、食事一緒に食べましょうって」

「うん、分かった」


 俺は、言われた通りに実家に戻って、カエラとノービスを呼んでくることにした。


「……」

「家だな」

「家だよ」

「ベイ、こんな家、あったかしら?」

「無かったよ。今日までわ」

「……」


 まぁ、そういうリアクションになるだろうな。俺も、朝起きて変な家が隣に立ってたら、目をこすって幻かもって思うかもしれない。しかも、カエラ達特に建設途中を見に来なかったからな。そうもなるだろう。でも、あれは見る価値あったと思うよ。ミズキの超高速分身職人芸。ほんと、あっという間に気持ちよく家が出来ていく。あれは爽快だったなぁ。


「まぁ、中に入ろう」

「お邪魔します」

「俺の給料の何倍の払いで建てたんだ。この家は」


 カエラとノービスが、しげしげと家の中を見回している。何もないけど、その分綺麗だ。ツルツルの床を触ってみたり、窓からの景色を眺めたりして堪能している。良いねぇ、こういうの。


「しかし、無駄に広いな、この家わ」

「そうね。うちの三倍くらい大きい」

「確かに、まるで学校みたいに広いね」


 ほんと、何故ここまで広いのか分からないくらい広い。周りの木々より高いから、結構いい眺めが最上階からだと見えるんだよなぁ。春になったら、あそこから景色を眺めたいものだ。


「ご主人様、こっちに来て下さーい!!」

「ああ、すぐ行く!!」


 ミルクに呼び出され、俺達は下の階に降りて、とある部屋へと向かった。


「おお~」

「広いキッチン!!」

「こいつはすごい。まるで、城にある調理場のようだ」

「いや、流石にそれよりは小さいと思うんですけど」


 そこでは、アリー達が料理をしていた。アリー、サラサ、ヒイラ。3人が思い思いの料理を同時進行で作っている。さらに、ロデ、ロザリオ、レラが野菜をちぎってサラダを作っていた。それだけの人数が作業していても、まだスペースに余裕がある。すごい広さだ。


「テーブルはミルク達がすぐ持ってくるから、隣の部屋で待ってて」

「はい。ミルク特製テーブルですよ」

「椅子は、私が作りました」


 ミルクとミズキが、テーブルと椅子を運んでくる。ミルクはツルッツルの石で出来たような大きなテープルを持っている。ミズキは、木を組んで作った椅子を持っていた。ほんと、この2人はなんでも出来るな。


「さぁさぁどうぞ、お義父さま。お義母さま」

「おお、ありがとう」

「重くなかった、ミルクちゃん?」

「いえいえ、この程度のテープルでは私の力の一割も必要ありませんので。まぁ、暫くお待ち下さい」


 そう言って、ミルクはキッチンへと歩いていく。すると、ノービスがテーブルを持ち上げようとしてた。けれども、テーブルは持ち上がらない。ちょっと浮かせるくらいがやっとだ。


「がはぁ、はぁ。なんだこれ。重いぞ」

「ミルクは特殊な訓練を受けているから……」

「そ、そうなのか」

「大変なのね」


 カエラは、キッチンの方を見ている。まぁ、そういうことでいいよな。


「出来ましたよ~!!」


 ミルク達が、料理を運んできた。大きなテーブルに、豪華な料理が並ぶ。一般家庭の光景じゃないな、これ。


「飲み物は、好きなのをお注ぎ下さい」

「私は、お茶を」

「俺も」

「……」


 スッと、俺の前には牛乳が置かれた。言わなくても出てくるのは嬉しい。


「さて、皆席についたわね。それじゃあ、新築祝いということで、乾杯しましょう!!」

「「「「「「乾杯!!!!」」」」」


 その日、俺達は先程までの重苦しい出来事も忘れて、新たに家が建ったことをお祝いした。食事を終えた後、この件が片付いたらアリーの両親と兄、そしてお祖父さんも呼んで食事をしたいとアリーが言ってきた。ああ、それはとてもいいことなのだろう。俺達の中が認められ、2つの家族が友好を深める。とてもいいことだ。


「……家まで建てたんだし、次はウエディングドレスかしらね」

「……早くみたいな」

「楽しみね」

「ああ、とっても」


 俺とアリーは、お互いに無言で近づいて抱き合う。そうしていると、ミルクが俺の背中をよじ登ってきた。胸が当たる、当たる。


「無論、私達もですよ!!」

「はい、マスター!!」

「ウエディングドレスか。作ったことがない」

「いや、それも作るのか?」

「それぐらい用意させますよ」

「わ、私がドレスを……。ウエディングドレスを!!!!」


 何故だか、ひどくロザリオが興奮している。しかも、そのまま歓喜の涙を流して膝から崩れ落ちた。それを、ロデが仕方なさそうに受け止める。


「私は、ドレスって柄じゃないかなぁ……」

「え、レラさん似合うと思いますよ」

「そ、そうかな?ヒイラちゃんのほうが似合うと思うよ」

「え。いや、私はそういうの着たことないので!!」

「あ、私も私も」

「私達は、今のうちから考えておこう」

「そうだね。周りが強いからね!!」


 何故だかレノンとサラも興奮していた。その光景を、アリーは楽しそうに見ている。


「あと4つよ、ベイ」

「ああ。そうだな」

「私、ミルクと!!」

「私、レムと」

「私、フィーです!!」

「そして、今回が私、ミズキ」

「……」


 4人が名乗りを上げる光景を、アルティは何故だか静かに見ていた。


「それさえ成し遂げれば」

「創生級を倒せる。……と、いいなぁ」

「大丈夫。出来るわよ。ベイと、皆なら」


 俺は、アルティを見る。アルティは、俺の目線に大きく頷いた。


「勝つぞ、ミズキ!!」

「承知」


 そして、夜が更けていく。次の日の朝。俺達の家の前に、幻でも見ているかのような顔で、シアが突っ立っていた。



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