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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・四部 炎羅神猿 カヤ編
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流れ始める時間

 家に帰ったその日。俺達は、すぐさま全員がベッドに倒れ込むと、そのまま眠った。気づけば、次の日の朝だった。


「う、うぅ~」

「おはよう、ベイ」

「あっ、おはようアリー」


 俺は、上体を起こして、先に起きていたアリーに挨拶をした。今、何時だ。まだ身体が痛い。


「アルティから聞いたわ。今回は、逃してあげたんですって?」

「えっ、ああ、そうだね。カヤが、悪い奴らじゃないって判断したから」

「……創生級にも、そういうのが居るのね。でも、ベイ達が勝ったからでしょう。恐らく、他のもそうかも知れないわね。自分が負ければ、相手を認める。そういう奴なら、辛うじて居るのかも」

「……アリーには、信じられないのかな。創生級が」

「まぁ、一度は大切な家族も、友人も私から奪おうとした生物だもの。そう、簡単にわね」

「そうか……」

「でもね、カヤが判断したんだもの。私も、信じるわ。その子達のことだけわ」

「ああ、カヤがそう感じたんだ。多分、大丈夫だよ」


 そう、俺とアリーが会話をしていると、もぞもぞと布団が動く。ちょうど俺の股下辺りだ。ミルクだな。


「ふぅあ~。おはよう、主様」


 ミルクかと思ったが、出てきたのはカヤだった。


「主様、あたたか~」


 そのまま、カヤは俺に抱きついてくる。目はとろんとしていて、まだ半覚醒状態のようだ。優しく俺に抱きつき、そのまま身を委ねている。いや、むしろカヤのほうが暖かいと俺は思うよ。


「カヤは、まだ眠いのかな?」

「うん、ねみゅい……」


 そう言いながら、カヤは俺に頬ずりをしてくる。伝わってくる体温が心地良い。そう思っていると、カヤは俺をゆっくりと押し倒した。


「う~ん」


 カヤは、俺を押し倒すと自分は起きて伸びをする。そして、俺の前で服をすぐさま脱ぎ去り、床に投げ捨てた。


「えっ」

「これで、全身で主様を感じられる……」


 そして、改めて俺を抱きしめ直す。だが、まだ物足りないのか、今度は俺の服に手をかけた。


「え、あっ、ちょ!!カヤ、ストップ!!ストップ!!」


 驚くことに、抵抗する暇もなくスルッと俺は服を脱がされてしまう。え、今どうやったの? 足とかも使ってた?


「うん、これで完璧……」


 そして、カヤは俺を抱きしめる。お互いの胸が直に密着し、その鼓動をそのまま伝えてきた。カヤの胸が、俺の胸で押しつぶされて形を変える。暖かく、そして気持ちいい。


「なるほど、名案ね!!」


 何故か、アリーも布団に入って服を脱ぎ捨てると俺に抱きついてきた。いや、止めてくださいよアリーさん!! 朝から2人の柔らかな肌を押し付けられ、俺の覚醒が始まってしまう。いや、目は覚めているわけなんだけど、体の一部が更に覚醒を始めた。これはまずい!! 非常にまずい!!!! だが、そんなことはお構いなしに、アリーと、カヤは俺に肌をすりよせてくる。いかん!! このままでは我慢が、我慢が!!!!


「アリーちゃん、朝ごはんできたよ……」


 そのタイミングで、ヒイラが寝室のドアを開けた。


「……」

「……」


 アリーと、ヒイラが見つめ合っている。そして、何かジェスチャーを始めた。その内容を読み取ると……。


「あと5分だけ!!」

「駄目。ご飯冷めるから」

「今、良いところだから!!」

「抜け駆けNG!!」


 と、いうふうに読み取れた。多分、あってるだろう。


「仕方ないわね。行きましょうか、ベイ」

「う、うん。そうだね」


 俺達は、カヤを起こすと朝ごはんを食べるために移動した。


「ご飯美味しい!!」


 カヤは、さっきから元気にご飯を食べている。まぁ、俺もいつもの数倍美味しくご飯を食べられている気がする。昨日は、あれから寝てたからな。


「おかわり!!」

「はいはい」


 サラサが、カヤのお皿を持ってスープを注いであげる。ほんと、サラサも奥さんて感じだな。子供の面倒を、見るのが上手そうだ。


「あ、アリーさん。どうぞ」

「うん?……ついに、と言うわけ」

「ええ、まぁ。もうちょっと時間かかるかと思ったんですけど、結構あっさり」

「そう。じゃあ、明日取り掛かりましょうか」

「そうしましょう」


 なんだ? アリーとロデが、何かを見て話し合っている。何の書類だ?


「ああ、これ。土地の権利書よ。権利書」

「権利書?」

「ええ、ベイの家の周り一体の土地の権利書ね。これで、家が建てれるわよ」

「資材も、そこそこ用意しました。少し届くのに時間がかかるので、その間に整地などできれば完璧です」

「……」


 早い早いと思っていたが、ついに始まるのか。俺達の家造りが。


*****


 海の匂いがする。眠っているベッドで、不思議と感じる海の匂い。身体は自由を奪われ、そして溶けていく。自分と言うものが機能を停止して、役目を終える。そんな感覚。だが、心は不思議と穏やかだ。今まで不快に感じていた何かが消え去るようだ。それは力だった。だけど、不快だった。これで開放されるのだろう。そう、私わ……。


「!!」

「……ねんですが」


 ぼんやりと音が聞こえる。昨日までは普通に聞こえたはずなのに、今は僅かしか聞こえない。意識が遠ざかっていく。もう、瞼も開かない。身体に違和感がはしっている。その違和感を拒絶するかのように、身体は眠気を訴えている。その感覚に逆らわぬように、私は意識を深く沈めた。


「間に合わなかったのか!!」

「落ち着いて下さい。まだ、時間はあります」

「これで、落ち着けだと!!!!」


 誰かが、手に持っていた書類を床に投げつける。それを、後から部屋に入ってきた誰かが拾った。


「手は尽くしています。落ち着いて下さい。貴方が取り乱しては、部下たちも取り乱してしまいます」

「……」

「シア」

「はい。ここに」


 その女性に言われ、シアが部屋に入ってきた。


「経過を報告して下さい。バルトシュルツさんに」

「分かりました」


 その言葉を受け、シアは部屋を出て行く。そして、城のとある部屋に移動すると、シアはため息を吐いた。


「いよいよ、後がなくなってきたか。なら、頼むしかないかな。やっぱり」


 シアは、城の外を見つめる。そして、その部屋に設置してある魔法石に手をかざすと、魔力を込めた。



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