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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第一章・二部 青と赤と魔王軍
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風属性中級迷宮(VERY HARD)

「と、取り敢えず朝の準備を済ませるか……」


 フィーと朝のキスをして朝ごはんを食べ、迷宮行きの準備をする。そうこうしているとレムが起きたのでミズキとカヤの朝ごはんを取りに行った。2人が食べ終わったらそのまま迷宮に直行する。風属性中級迷宮は、いつもと何も変わらないように見えた。だが俺達が転移をさせられた場所だ。何もなくても一応見ておく価値はあるだろう。


「確かボスエリアだったな。じゃあ、あそこに行ってみるか」


 魔王軍が攻めてきているせいか朝早いせいかは分からないが今日は、迷宮に1人も冒険者が来ていないようだ。ある意味都合がいい。だが不気味でもある。転移魔法を使ってもらい、すぐにボスエリアについた。中に入ると久しぶりに見るライオン型ボスがいたが、ミルクのパンチ一撃で倒れた。可哀想に……。


「う~ん、やっぱり変な魔力の流れを感じるな。これは、嫌な予感が当たったか」

「のようですね主。すぐにでも壊してしまいましょう」

「そうだな。……えっ?」


 その時、辺りが魔法発動前の光りで輝きだした。あ~~、これはまずいタイミングだなと即座に俺は思った。魔法の相殺をしようとしたが間に合いそうにない。その場に何も出来ないままそれは出現した。それは、巨大な転移魔法ゲートだった。空間に光の線で出来た大きな円が出現するとその中から勢いよく魔物達が飛び出してくる。その中の先頭の1匹が俺達を攻撃しようとしてくるが。


「よっと!!」


 カヤが相手の長く鋭い爪での攻撃を、棒ではじき返した!!


「……俺の攻撃を止めるなんてな。てめぇらなにもんだ。見たとこ1人以外魔物みたいだが……」

「あたしらを勝手に攻撃してきたあんたに答える義理はないわね。悪いんだけど、後ろのちょっと多すぎるお友達連れてさっさと帰ってくれる、うすのろ君?……ああでも、やっぱ帰らなくていいわ。そういえば、会ったら倒すって決めてたのよね。だから、ここで死んでもらうことにするわ!!」


 棒を構えて先ほどの男に向かってカヤは挑発する。男は、蝙蝠のような大きな羽が背中に生えており身体は、筋肉が多く肌は青かった。体格もそれなりに大きいが、人間としても通用する程度の大きさだ。ただその顔の口は、人間なら裂けていると言っていいほど広くとても人間とは思えない。身につけている物は鎧のように見えるが、ところどころ破損していて長い間使った品のように見えた。


「ちっ、予定に無い敵が出やがるとは、ついてねぇな。まあいい、面白そうだしな。俺が全員皆殺しにしてやるよ!!」


 男と魔王軍もやる気みたいだ。まだまだ召喚ゲートから次々と魔物が出てくる。いったいどれだけの数がいるのか検討もつかない。すでに目の前にいるだけでも相当な数だぞ。


「(ふむ、レム。この転移魔法をたどって転移前の場所に行けますかね?)」

「ああ、可能だ。ここからでもよく分かる」

「(では、ご主人様達は、転移魔法でこっちにくるゲートを開いている奴を倒してきてもらえますか?ここは、私とカヤで引き受けますので)」

「……大丈夫なのか、ミルク?」

「(ええ、問題ありません。ですよね、カヤ?)」

「もちろん!!あたし達に任せて!!」

「……分かった。じゃあ、ここは任せる。やばかったらすぐ念話で言うんだぞ。レム、行くか」

「分かりました。2人共気をつけて」


 フィーとミズキが手を振る。そのまま俺達は、転移魔法で移動した。


「(さって、出てくる雑魚は私が潰しますから、カヤ、そっちの蝙蝠をよろしくお願いしますよ)」

「分かった、すぐ終わらせて手伝うからね!!」

「……てめぇらふざけやがって。ぶっ殺す!!!!」


 蝙蝠男がまた爪をつき出し突進してくるがカヤは、それにカウンターを合わせて強烈な一撃を叩き込んだ。


「よっと!!」

「グフェッ!!!!」


 蝙蝠男は、後ろに吹き飛んでボスエリア外に飛び出る。カヤがそれを追ってボスエリアから出て行った。


「(さって、こっちもぼちぼち潰しますかね……)」


 ミルクの腕に土魔法で作られたガントレットが装着される。ミルクが拳を振るうと、ミルクに攻撃を仕掛けていた闇属性魔物たちが綺麗に潰れていった。


「(まぁ、私がいる間はこのエリアからは一歩も出さないつもりなんで、遠慮なく潰れていってくださいね~)」


 ミルクが拳を振るうたびに大量の魔物が潰されていく。それでもゲートからは、勢いが止まることなく多くの魔物が出現してきていた。その光景を見てミルクは、ため息を吐くと気合を入れて拳を振るった。


*****


「うわっと!!」

「ちっ、いつまでも調子にのんなよ!!!!」


 カヤは、蝙蝠男との戦闘を行っていた。意外と楽に勝てるかもと思っていたカヤだったが、思ったよりもこの蝙蝠男の力は強かった。先程からスピードとパワーを上げて猛烈な攻撃を仕掛けてく来ている。いなし防いでいても段々と押されるようになってきた。


「へっ、俺は神魔級レベルの魔物なんだよ!!お前がいくら強かろうが魔物として最高ランクの強さを持つ俺に、勝てるわけがねぇだろうが!!」

「あ~~、なに言ってんの。最高のランクは、創世級でしょうが?しかもこの強さで神魔級?神魔級でも最低レベルの強さなんじゃないの?」

「へっ、てめぇ知らねぇな……。創世級は、魔物じゃねぇ。あれは、神だ。まぁ、今から死ぬお前に教えても意味の無いことだがな!!!!」


 蝙蝠男は、強烈な爪での突きを連続して繰り出してくる。あまりのパワーにカヤは、大きく後ろに吹き飛ばされた。だが蝙蝠男の攻撃は止まらない。一瞬で蝙蝠男は、あいた距離を詰めてくる。そして、再び突きを放った。カヤは、ガードするが遂に防御を弾かれて隙が出来てしまう。


「これで、おわりだな!!!!」


 蝙蝠男の爪が、カヤの首を跳ね飛ばそうと迫った。が、カヤは大きく上体を後ろにそらしてそのままブリッジする。そして、ギリギリその突きを避けた。仰け反った勢いのままカヤは逆立ちする。空中で足をひねると、そのまま攻撃を外して迫ってきていた蝙蝠男に回し蹴りを入れた。


「グフォォ!!!!」

「はぁ、やれやれ。ちょっとあんたも調子に乗りすぎよね。吠える前に、あたしにまともに攻撃を当ててから言わないと説得力もないわ」


 と、楽勝そうにカヤは言ったが、この蝙蝠男の攻撃は伊達ではない。カヤは、焦りの表情を一瞬浮かべた。だがその時。


「カヤ、時間がかかっているな。手を貸そうか?」


 どこかの木の上から聞いたことのある声が響いた。その方向をカヤが見る。するとそこには……。


「ミズキ!!」


 水色のニンジャがそこには居た。木から降りてミズキは、蝙蝠男に向き合う。


「てめぇのその少ない魔力量、上級魔物だな。その程度の力で俺に敵うと思ってんのかよおおおおおおおおおお!!!!」


 蝙蝠男がミズキに向かって爪を振り下ろす。だがミズキは、手に持った刀で軽くその軌道をずらすとそのまま触手で蝙蝠男を弾き飛ばした。だが蝙蝠男は、少し後ろに下がっただけですぐに立ち直る。


「へっ、効かねぇなぁ!!」

「……そうか。なら手数を増やそう」


 蝙蝠男の背後から衝撃が蝙蝠男を襲った!! 蝙蝠男は、油断していたせいか大きく吹き飛ばされる。更に吹き飛ばされた方向からも、別の何者かに攻撃され更に吹き飛ばされた。それが合計5回ほど行われて蝙蝠男は、地面にたたきつけられる!! カヤは、その攻撃をした者たちの姿を見た。


「ぜ、全員ミズキ」


 蝙蝠男に攻撃を加えた者達は、全員ミズキと同じ姿をしていた。合計6人のミズキがカヤの目の前に存在している。


「神魔級だの上級だのランクを気にしているようだが。この程度か。なら、お前より2つ下のランクの私がお前を殺してやろう。それも圧倒的にな」


 蝙蝠男を見つめてミズキは、ニヤッと笑った。





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