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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第一章・二部 青と赤と魔王軍
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レムの挑戦

「よ、よろしくお願いします」


 レムは、正座して深く頭を下げた。ガッチガチに固いな。まるで昨日の強化魔法使ってた俺みたいだ。


「レム、大丈夫だよ。落ち着いて」

「フィー姉さん。は、はい……」


 フィーがレムの手を握って落ち着かせる。少しは、固さがとれたようだ。レムの緊張が伝わったのか、俺もちょっと緊張してきたな。だが、あのレムがわざわざキスをしたいと言ってきたんだ。俺が面と向かって応えないといけないだろう。俺は、そう思いレムに近づいた。


「ヒウッ!!」


 またレムが固くなってしまった。……とりあえず、近づいて俺もレムの手を握る。ゆっくりレムの緊張を解してからにしよう。


「大丈夫だレム、落ち着いて」

「は、はい、主!!」

「レムさん、しっかり!!」

「(レム、落ち着きなさい。ご主人様を自然体で受け入れるのです!!)」

「いいなぁ、主様とのキス……」


 ……というか、全員すごい見てますね。まぁ、部屋は狭いしほぼ俺と一緒にいるし。今更といえば今更だが。そのせいでレムが緊張しているんじゃないのか? 俺のせいもあるだろうけど。


「レム、落ち着いて。ほら、深呼吸して。リラックスするの」

「はい、フィー姉さん。ヒッ、ヒッ、フー。ヒッ、ヒッ、フー」

「(レム!!それは、この前アリーさんに聞いた赤ちゃん生む時の呼吸法ですよ!!)」

「え、あ、そっ、そうか!!えっと、スー、ハー……」


 ……余程レムが緊張しているのは分かったが、いつの間にそんな会話をしていたんだ。なんだろう。もしかしてだけど、俺このままいくと皆に食べられ。


「よ、よし!!大丈夫です、主!!主とフィー姉さんのキスも見て予習も出来ました。初めてで至らないところもあるかもしれませんが、よろしくお願いします!!」


 確かにレムからは、緊張による固さは抜けていた。先程とはうって変わって、覚悟を決めました!! という顔だ。真っ赤に顔が染まっていて、とても可愛い顔になっているけども。……俺は、ゆっくりとレムに顔を近づけた。


「あっ……」


 レムが目をつむる。そのまま、ゆっくりと唇を合わせて軽くキスをした。少し長めにそのままの姿勢でキスをして離す。その後、レムの顔を見ると茹で上がりそうなほど真っ赤になっていた。


「あ、あぅ……」

「おめでとう、レム!!」

「(うむ、めでたいですね。これで私も、ふふふ……)」

「おめでとうございます、レムさん」

「おめでとう!!……あたしも早くしたいなぁ」


 皆が祝福をしてくれている。が、レムは何処か上の空だ。自分の唇を指で抑えて夢でも見たかのように固まっている。う~む、このままでもいいのだがせっかくの初めてだしもう少し思い出深いものにしたい。うん、そうしよう。そう思い俺は、またレムにキスをした。


「むぅぐっ!!」


 浅く何度かついばむように唇を重ねたり。舌を入れて深く吸い付いたりしてみた。そうしていると、レムが俺を抱きしめてくる。レムの腕に力がこもり……。うん? ちょっとまて!! い、痛い!! きょ、強化魔法で体を守る!! 俺は、土属性の硬化を使おうとした。するとすぐにレムの身体から力がスッと抜ける。そのままレムは、後ろに倒れて気絶した。


「(うむ。レムよ、見事な散り際であったぞ)」


 ミルクが、称賛の声を気絶したままのレムに向かって投げかける。俺は、気絶したレムをそのまま運んで布団に寝かせた。その後朝までレムは、顔を赤くしたまま起きなかった。


「(ああ!!あと1つやってないじゃないですか!!……まぁ、朝起きてからにしますかね)」


 寝る前のミルクの言葉が気がかりだったが俺達は、そのまま眠ることにした。ちなみにカヤは、ベッドの脇に布団を敷いてそこで眠っている。しっぽを俺の足に巻きつけたままで。器用な寝方だな。そして、そのままぐっすりと寝て朝になった。いつものように早起きをして伸びをしたが、アリーがいないのが少し寂しい。俺は、周囲を確認する。……レムは、まだ気絶してるのか。ふえ~、とか言いそうな赤い顔のままだ。その顔を見ていると窓をこんこんと叩く音がする。とりあえず確認して窓を開けると。


「おはようアリー。むぐぅっ!!」


 窓を開けるとすぐにアリーにキスをされた。そのまま後ろに押し倒される!! 数回深いキスをされて……。


「おはよう、ベイ!!」

「お、おはようアリー……」


 やっと朝の挨拶が出来た。俺は、アリーをそのまま抱きしめた。アリーも嬉しそうに俺を抱きしめ返す。……早く一緒に暮らしたいものだ。


「ごめん、ベイ。やっぱり、実家を抜けるのが難しそう。しばらくは、家にいなきゃいけないことになりそうだわ。あでも、朝のキスは毎日しにくるからね」

「そ、そうか。今日は俺達は、風属性中級迷宮に行ってくるよ。ちょっと気になることがあるんだ」

「迷宮に?……気をつけてねベイ。無理しちゃ駄目よ」

「ああ、大丈夫。無理はしないよ」


 ぎゅっとアリーは、俺の手を握る。その後アリーは、もう一度俺を抱きしめてキスをしてくれた。そして、可愛い笑顔で手を振って帰っていく。俺も、笑顔で手を振ってアリーを見送った。……だが寂しい。取り敢えず、皆を起こそう。フィーを起こし、レムを起こす。カヤは、寝ぼけているのか俺におぶさるように抱きついてきた。ミズキは……。


「おはようございます、殿」


 もう起きていた。レムは、まだ俺を見て顔を赤くしている。


「(レム!!昨日は、そのまま寝てしまいましたよ!!もう1つする事があるでしょう?)」

「ひゃい!!……あ、ああ、そうだな。だが、こんなに恥ずかし嬉しいとは……」


 今日は、ミルクも朝からいる。レムが気絶してたから朝練は中止だったのかな。で、そのもう1つとは?


「(仕方ないですね。……ミズキ、お願いします)」

「承知」


 ミズキは、レムを後ろから腕で捕まえて俺の前に持ってきた。そしてそのまま俺の手を触手で掴んで。


「ま、待ってくれ!!心の準備が!!心の準備が!!」

「レムさん、我々のため殿のため。覚悟は、もう決めたはずですよね?」

「そ、それはそうだが。も、もう少し待って!!」

「あと10秒ですよ。9,8,……」


 ミズキのカウントが0に近づく。レムは、深呼吸して備えているようだ。そのまま0になるとミズキが俺の腕を……。レムの胸に押し付けた!!


「ひゃうう!!!!」


 レムが可愛い声を上げる。うわ、すごい柔らかい。ミズキが俺の腕を押し付けるたびに、もにんもにんと形が変わる。というかいいんだろうか? 朝からこんなことをして。冷静に考えるとやばいぞ。俺の状態が。


「どうですか、殿?レムさんの胸は」

「え、ああ。気持ちいいよ」


 こんな感想でいいんだろうか? レムは、ホッとしたように表情をゆるめる。よかった、これで正解のようだ。だがミズキは、どこか不満げだ。


「……なにか物足りないですね。ああ、じゃあこうしましょうか」


 ミズキは、俺の手を微妙に動かすとレムの服の下へと入れていく。そのまま俺の腕を移動させてレムの胸元へと導いた。つまりそこには、レムの生の……。


 もにゅん!! 


 と、俺の腕とレムの胸が触れ合った。


「!!!!」


 途端に顔を真っ赤に染めてレムが頭から蒸気を放って固まる。そのままレムは、また気絶した。これから迷宮に行くんだけども、こんな調子で大丈夫なんだろうか。レムを見て、俺に抱きついていたカヤが不満げに俺に胸を押し付ける。


「(レム、見事でした。これで心置きなく私も人化出来るというものです)」


 華々しく気絶したレムにミルクは、満足気に頷き仲間の健闘を讃えていた。


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