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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・三部 鎧竜神天 ミエル・シスラ・サエラ・シゼル編
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強さの証明

「惜しい……」

「くぁっ!!」


 ジャルクをロデから、急いで奪い取る。そして、俺はジャルクを抱えたまま、現状の報告をした。


「また、変なことに巻き込まれているな」

「ニーナさんの街のお悩みをすぐに解決したのに、今度はミエルさん達の故郷を救うんですか。ベイ様、大変ですね」

「愛する嫁のためだから、そんなに苦でもないさ。それに、古代迷宮は叩き潰して回らないといけないようだからな」


 ジャルクをナデナデしながら、俺は話す。よしよし、いい子だぞジャルク。そのまま、寝てしまってもいいぞ。


「確かに、今までまともな古代迷宮がないようだな」

「一個ぐらい、まともなとこもあるんじゃないですか?」

「はいはい、期待はしないほうが良いのよ、ロザリオ。どうせ潰すんだし、迷いがない方が良いでしょう。人類の利益優先よ」

「それは、そうだけど」

「一つぐらいまともだと良いんだが、このペースでは無理そうだな。どいつもこいつも、この星を自分たちの物にすることしか考えていない」

「分かりやすくていいと、私は思うなぁ。完全な人類の敵ってわけだし。後腐れがなくて狩りやすい。まぁ、ベイくん達がいなかったらお手上げだったけど」

「そうだな。敵だと、はっきりしているのはいい。だが、ベイ達じゃないと対処できないのはなぁ。ちょっと問題だ」

「どうして?」

「国家の問題を、たった一人。いや、チームに押し付け続けることになるからだ。これは、良いようでいて実際にはひどい。誰も、ベイの代わりを出来ない訳だからな。ベイを失えば、人類は終わりだ」

「そんなの、今更じゃないですか。ねぇ、アリーさん?」

「そうね」


 俺がジャルクを撫でていると、レラが撫でたそうにしていたので、寝そうになっていたジャルクを渡した。レラは受け取ると、ジャルクのすべすべした皮膚を撫でて、嬉しそうにしている。ジャルクは、もう眠たそうで、もう好きにしてくれといった感じで目を閉じ始めていた。


「ベイは、この世界の誰にも変わることが出来ない存在。つまり、私の夫!!他の誰かになんて、務まるはずがない!!」

「いや、アリーさん、そこの話をしているのではなくてですね」

「強さも同じよ。私の夫こそ、最強無敵!!代わりになる人材が、いるはずもなし!!」

「まぁ、ご主人様以上の人間は、これ以上いないでしょうね。と言うか、いたらビビります」

「もう、ベイ君人間やめてるんだもんね。そりゃあ、誰も勝てないよ」

「ヒイラ、それは間違いよ。ベイは、そんなことしなくても強かった。それだけよ」

「うーん、まぁ、そうかもね。時間さえあれば、到達するのが遅いか速いかの違いだったかも」

「そうよ。あの街で、あいつと戦っていなければ。……いえ、やめておきましょう。昔の話だもの」


 その時、俺の脳内にその場面が蘇った。一撃で殺される自分。守ることも出来ず、遠ざかっていく死という感覚。そして、己の全てをかけての復活戦。所々記憶はないが、俺の脳は覚えているらしい。あの、最悪の感覚を。だが、今の俺はあの時の俺じゃない。俺は、闘志でその恐怖を握りつぶした。次は倒す。俺の心に、その感覚が満ちていった。


「マスターは、凄いです。えらい!!」

「ああ、ありがとうフィー」


 俺が、怖い顔でもしていたんだろう。フィーは、そんな俺に笑いかけてくれた。癒やされるなぁ。


「ともかく、国が解決できない案件をこうも解決していてはなぁ。いずれ、国に首が回らないようにされるぞ」

「それは困るわね。やっぱり、国も滅ぼすべきなのかしら?」

「アリー、ストップ。大丈夫。そう一直線に考えなくても、手はあると思うよ」

「例えば?」

「俺達が動く前に、何者かが解決したことにすれば良いんだ。カザネの時のように」

「なるほどね。流石ベイだわ。完璧な作戦ね」

「……出来れば、国で一つの迷宮を討伐したという実績も欲しいですね。私達の、おじいちゃん達とかでいいので」

「私達以外でも、討伐可能って前例が欲しいってこと?」

「そういうことです。英雄クラスの人材を育成すれば届く強さだというのなら、まだ妥協できる範囲でしょう。ですが、アリーさん達程の人材となると……」

「超英雄だからね、私達」

「やっぱり、未来の魔法があると違うね」


 天才2人が、揃ってそういう。確かに、この2人の代わりなど、今後生まれてこれるかすら怪しいものだ。しかも、天才な上に可愛い。


「特にベイだな。その力、天井が見えない。そんなやつの代わりなど、いるはずもないが。だからこそ、目立たないようにする必要があるな。その力、眩すぎる」

「気をつけるよ」

「ああ。だが、倒さねばならないみたいだからな。やはり、正体を隠して討伐が打倒なんだろうか」

「主人、ヒーロー家業の手伝いは、おまかせ下さい!!」

「ああ、その時は頼んだぞカザネ」


 カザネは、生き生きとしている。やはり、ヒーローは未だにカザネの心の中でくすぶっているんだろうな。皆を守りたいと。


「後は、国の別戦力の強さの証明だが、これはおじいちゃん達に任せるしかないか」

「予定では、ベイが全部潰す予定だけどね。そうじゃないと困るし」

「そうでしたね。……とすると、やはり正体を隠して討伐が一番みたいですね。流石、ベイだな」

「いやぁ、サラサも心配してくれてありがとう」

「最近、お祖父ちゃんが家に帰ってこれてないようだしな。ベイには、そうなって欲しく無かっただけだ。単なる、私のわがままだよ」


 ガンドロスも大変だな。手紙か何かでも来ていたんだろうか? それとも、サイフェルムにいた時にシアにでも聞いたんだろうか?


「そうか」

「強いっていうのも考えものよね」


 アリーがそう言うと、皆がうんうんと頷いた。


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