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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・三部 鎧竜神天 ミエル・シスラ・サエラ・シゼル編
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作戦会議

 俺に向かって、ミズキがウインクする。かわいい。頼もしい。


「ということは……」

「迷宮に乗り込む必要がある。ロロ達の為にもな」

「それで、ミズキさん」

「まぁ、ミズキさんなら楽勝っすよね」

「だが、相手の迷宮の広さが分からないからな。一応、全員で行ったほうが良いと思う。速やかに救出するためにも」

「それはそうっすね。でも、何処にあるかも分からないっすよ?」

「アルティ」

「はい、マスター。敵の迷宮、恐らくそれは、浮いていると考えられます」


 アルティのその言葉に、その場にいる全員が、一瞬訳がわからないといった表情をした。


「迷宮が、浮いているんっすか?」

「そうです。アウダレイシアで見た光の柱。その魔力を感じた場所、そこに別の魔力の塊があったのを、私は覚えています。恐らく、それこそが奴らの迷宮。空中を漂う島。あるいは、要塞ですね。それこそが、奴らの迷宮であると思います」

「空中要塞の、迷宮ですって」

「何っすかそれ。聞いたことないんっすけど」

「やばい雰囲気がしますね」

「そんなの、どうやって見つけるんですか」

「やりようはいくらでもあります。最終手段は、カザネモードですね。全てを凌駕する速度に、見つけられない迷宮などありません。一瞬で、相手は終わります。ですが、人質の救出という課題がある以上、これは被害が出すぎる気がしますね。カザネモードは、誰かを抱えて移動するのに適していませんから」

「私の速度で、人質が死ぬ!!」

「本末転倒じゃないっすか、それ」


 何故かカザネは、誇らしげにそう言った。でも、凄いのは確かなんだよな。他の生物の存在を、置いていく速度だもんな。正直、格好いい。


「次に、シデンモードですね。相手はこちらにやってくると分かっているのですから、結界を張って待てばいいでしょう。ですが、電撃が内部全体に伝わる恐れがあるのでこちらも、我々は安全ながら、人質には危険でしょうね」

「でも、察知されませんから、侵入は容易です。電撃を使わなければ、鎖で人質の救出もスムーズじゃないかなと」

「シデンさんの言うことは正しいです。ですが、体力の消耗が激しいのをお忘れなく。長時間の待ちには向かないでしょう」

「意外と特化一体化て大雑把に強すぎるから、この手の行動に向いてないんっすね」

「もし、ミズキモードが使えていればそれだけでよかったのでしょうが。今回は、相手の属性が違いますからね。やめておきましょう」

「じゃあ、どうするんっすか?」


 アルティは、そう言われて俺を見つめた。


「マスター、そろそろ出来るんじゃないですか?」

「あれか」

「はい。恐らくあれさえ出来れば、特化一体化を温存したまま、人質の救出を容易に行えるかと」

「後でやってみるよ」

「はい、お願いします」

「あれ?」


 他の皆は、よく分かっていないらしい。取り敢えず、俺は目を閉じてイメージトレーニングを始めた。


「さて、それでは具体的な作戦をたてましょう。現状で一番確実な作戦は、相手がやってくるのを待つことです。ですが、相手もそう簡単に迷宮を見せては来ないでしょう。ですので、最初は防衛戦になると思います。そこで、我々は敵の攻撃を防衛。そして、しびれを切らせた相手迷宮が、この迷宮に光の柱を撃ちに来るのを待ちます。その時、我々は迷宮に侵入。人質を開放して脱出。ミエルモードで、とどめを刺します。以上となりますが、何か質問は」

「分かりやすいっすね」

「あの、私のモードでトドメをさすっていうのは、決定事項なんでしょうか?」

「はい」

「そう、ですか……」

「大丈夫っすよミエル様。余裕っすよ。私らの一体化っすよ。余裕ですって!!」

「そ、そうかな?」

「ええ、ミエル様」

「それは良いとして、そう簡単に上手くいくでしょうか?」

「勿論、対策は考えてあります」


 アルティは、空中に映像を出現させた。便利だよな、この魔力映像。俺もやりたい。


「何処の工程で失敗しても、最終的にはカザネモードで全て防げます。人質の救出完全達成は難しいかもしれませんが、これで全ての対策が可能でしょう。救出担当はミズキさん、カザネさん、ミルクさんにお願いしようと思います。探索・二名、破壊・一名ですね。この3人に任せておけば完璧でしょう」

「承知」

「正義の味方の、出番というわけだ」

「任せなさい。全て破壊してきましょう!!」

「ミルクさん、脱出する必要があるので、程々にしといて下さい」

「え~」


 ミルクが、抗議の声を上げる。だが、アルティの発言に、ミズキと、カザネは頷いていた。


「地上の防衛は、残った方々でとなります。レムさん、カヤさん、ミエルさん、シスラさん、サエラさん、シゼルさん、シデンさん、私ですね。あと、アリーさんとヒイラさんにも手伝って頂けると嬉しいです」

「分かったわ」

「血の魔法の力、お見せするよ」

「あれ、フィーは?」

「フィー姉さん。姉さんには、特別な役割がございます。マスターと、共にいてあげて下さい。一応の保険です」

「保険?」

「出来ますか、マスター?」

「ああ、出来そうだ。何処まで動けるかは、まだ分からないが」

「ということです。姉さん、マスターをお願いします」

「何だか分からないけど、マスターのために頑張る!!」

「流石、我らの姉さん。これで全て、万事解決ですね」

「あの、私は何をすれば?」

「ニーナさん、負傷兵が出た場合の回復をお願いします。本当は、ミエルモード使用時の回復を一番お願いしたいのですが、全員無傷は難しいと思いますので。あ、私達のことじゃないですよ。この迷宮の、兵の方々です」

「あれ、全員前線には出ないっすよ?」

「果たして、本当にそうでしょうか?後衛からの援護でも、敵から狙われないとは限りません。そういうことです」

「なるほどっす」


 そうシスラが言うと、アルティが映像を消す。そして、全員を見渡した。


「今回は、それぞれがチーム、あるいは個人に分かれての防衛・攻略戦となります。……ですが、皆さんならば無傷で生還できるでしょう。何故ならば、皆さんはただでさえ辛い地獄を訓練とは言え、味わったことがあるからです。恐らく、あれ以上はありません」


 そのアルティの言葉に、俺達は頷いた。ミズキ地獄。ニンジャが分身しての乱戦。あれ以上の地獄などあるまい。


「それでは、最後に締めの言葉を、マスターお願いします」

「え。……皆、今回の敵も何処か変則的な相手だ。その正体も、実力も今掴んでいるのが全てではないかもしれない。だが、もしすべてが推測通りなら、俺達ならロロ達の笑顔を取り戻すことが出来るだろう。その為に、勝とう。全ての戦力差を覆し、全てを凌駕して勝とう。俺達なら出来る。何故なら、世界を救うんだ。それぐらいはやれないとな」


 俺のその言葉に、全員がはいと頷いた。皆の心が、一つになった気がする。


「よし、それじゃあ準備に取り掛かろう」


 俺がそう言うと、迷宮の天使たちは席を立って出ていく。会議室には、俺達だけが残った。その時、会議室の扉が僅かに開く。すると、その隙間からロロがジャルクを抱えて会議室に入っていきた。不安に押しつぶされそうな顔をして。



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