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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・三部 鎧竜神天 ミエル・シスラ・サエラ・シゼル編
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統合生物

「取り敢えず、魔物ってことでいいんすよね」

「まぁ、そうだな」


 この世界でのロボットの説明は、めんどくさそうだからな。まぁ、それで外れじゃないし、それでいいか。


「さてさて、お話しました通り、私達は最高にして究極の生物です。争いなし、能力の落差なし、それぞれに思想の違い無しとまさに完璧。皆様のような生物が支配者・統率者になるよりもかなり優れた位置に我々は存在する生物でしょう。そんな我々に、支配されてみませんか?勿論、最低限の生活は保証いたします。仕事も、こちらで用意いたしましょう。さぁ、全面降伏される方は、いらっしゃいませんか?」

「ロボットが、仕事を求めるだと?」

「ロボット?その定義は理解しかねますが、我々は皆様にしていただきたい仕事を抱えています。それは、我らが迷宮の動力である超巨大魔石部への魔力の補充です。その仕事、なんと立っているだけでいいのです。そして、後は身体から魔力が吸い出されるのを待つだけ。何と簡単なのでしょう。それだけで、貴方達の生活は保証されます。なんでしたら、寝ていても構いません。それだけで、仕事が完了するのです。どうです、素敵でしょう?」

「……感情を、利用することだけは知っているようだな。感情がないくせに」

「言ったでしょう。我々は、貴方達生物の上位にいる存在です。全ての感情という抑制能力・負の要素を排除されています。これにより、貴方達が感じている重圧・心理的重荷などという事柄がなく、能力の低下がありません。また、我々は非常に高度な文明国家でもあります。すでに、生物から感情・記憶・技術を読み取り、我々に移植することが可能となっています。これにより、皆様の個々の記憶は我々が管理することによって未来永劫死ぬということがありません。つまり、皆さんは不死の存在になれるのです。我々の中で」

「不死だと……」

「そうです。すべての技術どころか、記憶すらも欠落することがない最高の統合生命体。それが我々です。どうです、素晴らしいでしょう?」


 素晴らしいどころか、寒気がする話だ。記憶を引き継いで、それを吸収していくだと。それは、一体何者なんだ。それは、果たしてその人々だといえるのだろうか。それに、他人の記憶を持つことが出来るなど、俺なら狂ってしまうかもしれない。それがこいつらには出来る。感情がないからだ。一切の心の動きがないからだ。そう、それはもはや個人ではない。こいつらの言うとおり、新たな生物なのかもしれない。だが、それが素晴らしいことには、俺はどうしても思えない。


「他人の能力を、一方的にお前らが奪えるということか?」

「その通りです。能力というよりは、記憶ですが。技術ですね。よって、我々の国家は成長が止まりません。この星全てを、制御下に置くのも間もなくのことでしょう。そして、この星全てを我々の迷宮とするのです。全てが管理統率される完璧な世界。ああ、何と美しいのでしょう。皆様も、それを見たくはありませんか?」

「見たくないね」

「そうですか」


 ヴァルキューレが、身体に魔法陣を浮かび上がらせる。その魔法陣から、複数のヴァルキューレが飛び出してきた。転移魔法陣か。


「アハハハ、それでは仕方ありませんが、皆さんには死んでいただくことにしましょう。なに、すぐに済みます。私達は完璧な生物ですから。……グギャ!!」


 俺は、サリスで転移魔法陣を展開しているやつを、真っ二つに切り裂いた。光の粒子を放ち、着られたヴァルキューレは爆発する。それを、俺は魔法の壁で防いだ。倒すと自爆するのか、こいつら。


「アハハハ、無駄です。無駄」


 新たに出現したヴァルキューレ全てが、転移魔法陣を発動させる。だが、その殆どに光の矢が突き刺さっていた。


「えっ」

「近場は任せるっす!!」

「こっちは任せて!!」


 サエラの放った一筋の光の矢が、分裂して殆どの後衛にちっていったヴァルキューレを射抜いていた。その攻撃により、後衛にいたヴァルキューレ全てが爆発していく。近距離に残ったヴァルキューレをミエルとシスラが一撃で切り裂き、あっという間に破壊していった。それでも、まだヴァルキューレは残っている。


「驚きました。まさか、ここまで戦闘能力の高い個体がいるとは。ですが、何時まで保つでしょうかね?」

「どうかな?」


 残ったヴァルキューレ。その全てが、紫色の鎖に覆われた。その鎖は、結界を作り出してヴァルキューレの周りを覆う。その結界内に、転移してきたヴァルキューレ達が閉じ込められ、すし詰め状態となっていった。


「なんですかこれは」

「お前たちが、破れないものだ」

「その通りです」


 シデンが、そう言いながら拳を握る。すると、結界がみるみる小さくなり、ヴァルキューレを包んだまま消滅し始めた。


「アハハハ、面白いです。決めました。次はここにしましょう。ここを攻め落とすのが楽しみです。では、またお会いましょう」


 そう言うと、ヴァルキューレは消滅した。感情もないくせに楽しいか。……きっと、誰かの性格の真似なのだろうな。その誰かは、幸せだったのだろうか。あんな奴らに記憶を取られて。




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