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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・二部 全妖神狐 シデン編
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次なる目的地

「なるほど」

「いや、何故服を脱ぎ始めるんだ、ミルク」


 自然に、ミルクが服を脱ぎ始めた。封印されていた、その胸のビッグバンが多少解き放たれる。存在感が凄い。今、上着を脱いだだけなのに、さらしで抑えているはずなのに、揺れたな。やはり侮れない。


「いや、だってそういう話でしょう。ご主人様」

「なるほど」

「いや、皆も脱ぎ始めなくて良いから」


 何故こうも、ミルクの言動にあっさりとみんなは納得してしまうのか。いや、確かにそう聞こえる会話だったかもしれないけども。


「残念ながら、そういう意味での繋がりではございません」

「う、嘘でしょ……」

「いや、残念がりすぎだろ、ミルク」


 取り敢えず、ミルクに上着を着せ直す。ビッグバンが解き放たれていると、会話に集中出来ないからな。


「正確に申しますと、今は皆さんと契約という魔力で繋がっている状況ですが、それでは不十分です。マスターならば。マスター相手ならば、より高度な魔力的結びつきの契約が可能なはずです。それこそ、まさに一個体となるような、融合するかの如き契約が」

「えっとつまり、それってどういうこと?」

「フィー姉さん、つまりですね。私達自身が、マスターの魔力と同化すると言っているんですよ。そうすることで、マスターを擬似的な迷宮として契約することが可能になります。そうすると、皆さんは神魔級進化が可能となるのですよ」

「主人の魔力と」

「同化するだと」

「それって、危険はないの?」

「……まぁ、多少わ。ただ、先も申しました通り、準備が足りていないと私は判断します。それがなんとかなれば、かなり楽になるでしょう」

「その、準備というのは?」


 その言葉に、アルティが再び俺の映像を映し出す。


「先の属性特化一体化で、マスターはカザネさんの更なる力。その力を制御する力を身につけられました。そして、その力は前にも申しました通り、擬似的に神魔級進化した後の力に近いはずです。つまり、皆さんが今、マスターと強行して魔力的融合を果たしてしまうと……」

「マスターの身体に、ものすごい量の負担がかかる?」

「その通りです、フィー姉さん!!今までの皆さんの進化では、このようなことはありませんでした。しかし、魔力的融合を果たしてしまうと、マスター自身にも皆さんが進化した時の魔力が伝わってしまうでしょう。それが全員分となると、マスターが処理しきれるか、かなり怪しいと思われます。最悪、一ヶ月寝たきりの可能性も……」

「それはいけませんね!!ご主人様が寝たきりになってしまったら、誰が私のミルクを作るんですか!!」

「いや、ミルク。ちょっと座ってなさい。ちょっとでいいから」


 俺のその言葉に、立ち上がっていたミルクは、素直に椅子に座り直した。 


「つまりですね、準備というのは属性特化一体化。その副作用を、マスターがすべて受け入れることです。これで、皆さんが一気に神魔級進化されても、動くことが出来るでしょう。……そのはずです。あと、勿論、他の迷宮の神魔級魔物たちの情報も欲しいですね。属性によって、迷宮との結びつき方が違うかもしれませんので」

「それで、全ての準備が整うというわけか」

「はい。そして、その先に更なる一体化が……」

「うん?」

「まぁ、これはまだ可能性の話ですから、置いておきましょう。理論上、可能なことはすでに証明されているといえますが、出来るかは別問題ですからね」

「?」


 取り敢えず、神魔級進化は目処がたったか。これで、創世級に対抗出来るようになるといいのだが。 ……しかし、あれだな。ウインガルも創世級だったが、全然、創世級迷宮ほどの脅威は感じなかったな。いや、確実に単体では勝てない相手ではあったが、恐怖を感じなかった。あれか、俺の感覚が麻痺しているのか。それとも、奴と、創世級迷宮の創世級では、格が違いすぎるのか……。


「取り敢えず、私からの報告は以上です。これからも、神魔級迷宮探索を続けましょう。そして、属性特化一体化をしましょう。そういうことです」

「なるほどねぇ。一応は、理解したわ」


 アリー達、知能派が何か考えながら頷いている中。サラサ達、戦士組はちょっと分からんみたいな顔をしていた。レラだけは、まぁ分かったかな、みたいな顔をしている。


「うん、ニーナ?」

「……えっ?」


 その中で、ニーナだけは外を見つめていた。心、ここにあらずといった感じだ。


「大丈夫か?」

「う、うん。大丈夫。大丈夫だよ……」

「……とてもそうは見えないが」

「あはは、本当だよ。大丈夫だよ。大丈夫……」


 そう言うと、ニーナはまた外を見つめた。どうしたんだろうな、ニーナ。


「ごめんくださーい!!」

「……この声、シアね」


 玄関から、元気な声が聞こえてきた。その声の主に、家にいたカエラが返事をして向かっていく。その状況を、俺達は若干ドアを開けて覗き見ることにした。


「あ、お邪魔いたします。ベイ君、そろそろ治りましたか?」

「え、あの、一応は。ですが、まだ回復したてですし、休ませたいのですが」

「そうですよねぇ……。でも、申し訳ないのですが国家の危機的状況ですので、彼とお話だけでもさせていただけないでしょうか?」

「……わかりました。でも、無理にはやめて下さいね」

「はい。誓って」

「……ベイー!!」

「……行くしかないか」


 俺は、ドアを開けて玄関に向かった。


「どうも」

「お、歩けるようになったんだね。良かったね、ベイ君。あ、これ、お見舞いの手土産」

「あ、どうも」


 俺は、シアからフルーツの入ったかごを受け取った。


「うん、力も戻ってるみたいだね。結構、本調子に近いんじゃない?」

「あまり、無理はしたくないですけどね」

「……実はね、個人的にではあるんだけど、国家的な頼み事をしてもいいかな?」

「……なんですか」

「正直ね、アリーちゃんの力が必要なんだ。彼女くらいの、天才の力がね。だから、アリーちゃんと一緒に、とある場所に行ってくれないかなって」

「とある場所?」

「うん。魂の眠る地・アウダレイシア。そこでね、今ちょっと変わったことが起きててさ。国家の魔法技術力を持ってしても、現状お手上げな案件なのよ。だからさ、安全らしい今のうちに、アリーちゃんに調べてもらえないかなって思って」

「アウダレイシア!!」


 シアの言ったその単語に、ニーナが慌てて出てきた。


「おお、そう言えば、ニーナちゃんの故郷だっけ?」

「はい。……やっぱり私、行きます!!」


 何やら、覚悟を決めた様子で、ニーナはそう言った。



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