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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第一章・二部 青と赤と魔王軍
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強化魔法・聖魔級

「で、どういう技なんだアリー?」


 家に荷物を置いて水属性上級迷宮にやってきた。フルーツトウガラシ集めが早く済んだおかげでだいぶ時間が余ったのでそのまま練習をしようということになった。


「まぁ見てて」


 アリーは、一呼吸すると魔力のコントロールを始めた。火・水・風・土・雷それらの5つの魔力と癒の魔力をそのまま体内で融合させていく。するとアリーの身体は、完全に魔力で覆われた状態になった。その状態のままアリーが地面に拳を突き立てる。すると地面に強烈な衝撃が伝わって周囲が揺れた。アリーの力で出来たとは思えないほどの巨大な穴が地面にあいている。姿勢を正すとアリーは、その魔力を解いた。


「まぁ、こんな感じで超弩級の身体能力が出せるようになるわけ。簡単に言うと、超身体強化魔法ね」

「た、確かにこれはすごい。アリーでさえこの威力なんて……」

「ふふ~ん、そうでしょう。まぁ、そのぶん難しいんだけどね」


 簡単に説明して貰った所によると魔力で身体強化や制御を行うことが出来るが、その魔力負荷が一定ラインを超えると強化に使っている魔力に肉体が耐え切れず崩壊を始めてしまうらしい。そこで、肉体にかかるデメリットを打ち消すために複数の属性による同時強化をコントロールする必要があるようだ。そうすることでデメリットをうち消しながらの大幅な肉体強化を可能にすることが出来るらしい。ここで中心になるのが治癒魔法の魔力だ。肉体の再生という癒しの魔力は、高負荷の魔力が肉体にかかった時に崩壊を防ぐために使われる。逆に言えば治癒魔法を高出力で扱えるということは、それだけ高出力で身体強化をかけられるということになる。つまり、聖魔級回復魔法が使える今の俺なら聖魔級の超身体強化が可能になる。ということになるのだが……。


「勿論、デメリットを消すために常に魔力を消費するから、そんなに長時間使ってられないのよね……」


 強化幅がでかいほど消費魔力もでかくなる。メリットばかりでは無いようだ。今の俺が聖魔級強化を行えば、数分持てばいいほうだろう。今の俺は、仲間に魔力を貰いながら戦うことが出来る。だから実際は、何時間でも大丈夫だろうが。またそれを理由に逃げられても困るからな。本番は、自分本来の魔力だけでやらなければならないだろう。まぁ、練習中は使わせてもらうが。


「とりあえずやってみるか。自分でやってみないと、どれだけの強化がされるか理解できないし……」

「そうね。まずは初級ぐらいで魔力を混ぜる練習をするといいわ。それから、魔力量を少しずつ上げていくのよ」

「分かった。やってみるよ」


 それから2時間ほどかけてようやく聖魔級強化まで出来るようになった。後は、このコントロールをしながら戦闘をしなきゃいけないわけだけど。


「こ、この状態で動くのか。む、難しい……」


 意識を魔法と身体を動かすことに向けないといけない。……慣れがいると思う。試しに一歩進んでみたら、地面に大穴が出来た。……制御も難しそうだな。とりあえず、夜近くまでそのまま身体を動かす練習をした。


「ところで気になっていたんですが。結局、あの力は何なんですか殿?」

「私も気になるわベイ。正直、あの赤い魔物が来た時も驚いたけど、それ以上の力をベイが出せるなんて」

「ああ。あれは、レムの能力で一体化っていうんだ。俺の仲間にしている魔物と俺を、レムの鎧で一つの個体とすることが出来るみたいだ。勿論、ミズキも出来るし一体化した魔物が多いほど強くなれる」

「ふむ、私も出来るのですか。どんな感じになるのでしょうかね。気になります」

「レムの能力ねぇ……。それじゃあ、魔法で再現は難しそうね。私は、出来ないのかしら?」

「アリーが?レム、どうなんだ?」

「私の一体化は、主に合わせて手に入れた能力ですので私でも分かりません。出来ないことも無いかもしれませんが、主と同じように魔物と契約しているわけでもないですし。主ほどの強さは、出ないと思いますよ」

「う~ん、なるほど。ありがとうレム。参考になったわ。……っと、そろそろいい時間ね」


 だいぶ暗くなってきたな。その日の練習を終えて家に帰り、晩御飯を食べた。その後、体を洗い、よし寝ようとなったのだが。その時……。


「よし、ベイ!!さあ、私に聖魔級回復魔法をかけるのよ!!!」


 ……アリーは、やたら気合を入れてそう言った。皆は、何故かその覚悟に拍手を送っている。


「えっと、大丈夫かな?」

「大丈夫!!私よ、問題ないわ。でも、そのまま気絶したらベイの隣で寝させてね」

「わ、分かったよ」

「あ、でもその前に、チュッ❤。おやすみベイ」

「うん、おやすみアリー」


 すごいおやすみのキスは嬉しいんだけど、今から聖魔級回復魔法をかけるというのがだな……。正直、複雑だけどアリーが望んでいることだ。やるしかない。俺は、アリーに回復魔法をかけた。


「んんっ❤❤❤❤!!!!」


 体を震わせ顔が真っ赤に染まりアリーは、そのまま気絶した。俺の隣に寝かせて、俺達も眠りにつく。アリーが気づいたのは、翌朝だった。すごい体が軽いとはしゃぎながら、朝から滅茶苦茶キスをされた。 というか、起きたらアリーにキスをされていました。……この魔法、封印した方がいいかもしれない。本当に。


*****


 ようやく気持ちが落ち着いて転がらなくなった彼女は、あぐらを組んで目を閉じている。この感情への対処を、どうするべきか目を閉じてただひたすらに考えていた。


「あんな攻撃、今まで受けたことが無いのよね。だから耐性がなかったのよ。そう、あんな、あんなの……。ああ、いやいや、思い出しちゃ駄目よ!!そう、耐性よ!!昔はあたしだって、相手の攻撃を恐れてた時もあったし、こういうのは慣れが必要なのよ!!べ、別に特別なとか、あいつのことがとか、だからそういうのじゃないのよ!!うん、うん!!」


 とするとどうするべきか、と考える。一番いいと考えた方法は、同じような攻撃を受けることだが。


「あ、あんなのをまた受けるなんて。あんな攻撃、心当たりないし。あいつ以外になんて……。あああああああああああああああああああああああああ!!!!違う!!違う!!!!あいつにも許さない!!またあいつが、またあんなこと……。し、してきたら。してきたら……。あたし……」


 どうすればいいのか? 怒るのも何か違う気がする。一応、体調は良くなるけど、ありがとう? とかお礼を言うのも違う気がする。かけてくるのを断れるかというと、それもちょっと自信がない……。


「あ、あいつが、もし強引に……。で、でも!! 使ったら仲間にならないって言ったし、大丈夫よね!! で、でもあたしがあいつに負けたら、仲間にならないといけないし。そしたら……」


 自分が負けた時を彼女は想像する。嫌だと強がっても無理やり回復魔法をかけられる自分。そして、そのままあいつの手の中で……。


「……ああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


 また彼女は、地面を転がり始めた。



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