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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・一部 幻音神鳥 カザネ編
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身体能力

 オーギを追って、ライオルは空中を飛行している。だが、サイフェルムに向かうその途中でピタッと止まった。ライオルの目の前を、いつの間にか魔物が飛んでいる。その魔物は、腕組みをしてライオルを見つめていた。


「悪いが、ここで止まってもらおう」

「どこから出てきた?」

「どこからだと?飛んで来たに決まっている。お前が、見えなかっただけだ」


 それは、まるで竜のような鳥人間だった。くちばしは硬い装甲で覆われており、首の周りは黒い毛に包まれている。羽は羽先が黒、大部分は白と茶色がかった色で構成された羽に包まれていた。その特徴は、始祖鳥と言われた生物に告示している。


「我が名はウインガルが一鳥・始祖のアーケオ。我が同胞の勝負の、無粋な邪魔はやめてもらえるかな、人間」

「それは、出来ない相談だな」

「話が早くてよろしい。では、我をねじ伏せてから進み給え。勿論、我を視認できなかったお前が、それが出来たらの話だが」

「吠えるな、アーケオ。その減らず口、いつまで喋れるかな?」

「勿論、君が倒れるか、我が同胞の決着が着くまでさ」


 ライオルは、体中に気と魔力を走らせる。そして、アーケオに向かって剣を突きつけた。


「試してやるぜ」

「この身体でいるのも、これがどっちにしろ最後だからな。お前の言葉通り、存分に試させてもらうさ。アーケオでいられる、今の自分を!!」


 アーケオの姿が、ブレて消える。だがその動きを見切り、ライオルはアーケオの蹴りを剣でガードした。


「ふむ、弱くはないようだな」

「遅すぎて、あくびが出るぜ」

「なるほど。では、望みどおりに上げていくとしよう。我のスピードを」


 聖と風の魔力が、空中で激突する。ライオルは、アーケオの望みどおり、その場からサイフェルムに向かうことが出来なくなっていた。


*****


「薄っぺらな壁だ」


 オーギは、サイフェルムに張られている結界を見て、そう呟いた。そして、結界に向かって拳を構える。


「ふんっ!!!!」


 オーギが拳を突き放つと、サイフェルムに張られていた魔力の結界が音をたてて崩壊した。その崩れ目から、オーギは悠々とサイフェルムの中央広場へと移動して降りていく。


「きゃあああああ!!!!」

「魔物だぁああ!!!!」


 広場にいた住民たちが、オーギの出現に慌てて逃げていく。だが、オーギはそれを追わずに、ただ腕を組んで広場中央に佇んでいた。


「いるのは分かっている。我は、小物共になど興味がない。だが、お前が出てこないというのであれば話は別だ。残らず殺し尽くすぞ。さぁ、出てこい。我が同胞を葬った強者よ!!」


 一つの建物の上で、強大な風の魔力が渦を巻く。そして、その中から一人の戦士が出現した。


「非道なる鳥人間よ。穏やかに暮らす人々の、平和を踏みにじる悪鳥よ。お前を恐れ、逃げ惑う人の声をが聞こえないのか。この声を聞いて、何も思わないのか?風の音を聞け。この風の音を。そして、己の過ちに気づけ」

「過ちだと?そんなものはない。強者と戦うことこそが我が喜び!!そこに、一片の過ちもない!!さぁ、始めよう。命をかけた戦いを!!」

「欲望を満たすためなら、手段を選ばぬか。ならば、今日ここでお前を止めよう。この私がな」

「ハハハ、待ちに待ったぞ、黒い戦士よ!!我が名は、ウインガル四翼の一羽・豪風のオーギ!!全ての同胞より優れたるこの肉体こそが、この我の武器だ!!さぁ、四羽の我が同胞を倒したその力、我に見せてみろ!!」


 オーギが、カザネの乗っている建物の屋根へと向かって、正拳突きを放つ。カザネは、素早く飛んでその攻撃を躱したが、建物の屋根は跡形もなく吹き飛んでいた。


「くっ!!」

「遅いぞ!!」

「なっ!!」


 空中に飛んだカザネに、直ぐ様オーギが飛び上がって一瞬で距離を詰める。そして、カザネに向かって拳を放った。わずか一瞬反応が遅れたカザネは、その拳を避けきれない。腕でガードしたが。ものすごい衝撃を身体に受けて、カザネは町の建物の中へと撃ち飛ばされた!!


「ぐぁああ!!!!」


 何件もの建物に激突しながらも、風魔法で身体をガードしてカザネは激突の衝撃を防ぐ。そして、その飛ばされているさなかにも体を捻り、内部に伝わったオーギの攻撃の衝撃をカザネはいなしていた。


「ふっ!!」


 カザネは、空中である程度衝撃を減らすと、脚を地面に突き立てて着地する。そして、脚に風の魔力を纏わせると、オーギ目掛けて突っ込んでいった!!


「流石だな、あれで倒れぬとわ。面白い!!」

「はぁああ!!!!」


 オーギが、またカザネ目掛けて拳を放つ。だが、その拳をカザネは、オーギの目の前で回避した。


「なに!?」

「遅いぞ!!」


 今度は、カザネの蹴りがオーギの腹に突き刺さる。だが、オーギは吹き飛ぶどころか、びくともしない。ニヤリとオーギは笑うと、カザネ目掛けて連続の正拳突きを放ってきた。それを、カザネは全て回避する。


「軽い!!攻撃が軽すぎるぞ!!そんなものでは、我にダメージすら与えられんわ!!」

「ちい!!」


 オーギの突きのスピードが、どんどん早くなっていく。そして、遂にカザネのスピードに追いついた。


「遅いのは、お前の方のようだな」

「なんだと」


 カザネは、自分に完全に当たるオーギの拳の軌道が見えている。カザネは、その拳に合わせて風魔法を纏わせた蹴りを打ち込んだ。2つの風の力が、空中でぶつかり合い強風を巻き起こす。だが、数秒するとカザネがその場から弾かれた。


「圧倒的に、我に劣っているな、黒い戦士よ。力、速さ、体力。どちらも我が上のようだ。さぁ、どうする強者よ?」


 休む間もなく、オーギがカザネとの距離を詰めて攻撃する。今度は蹴りも交えて、カザネに対して空中での格闘戦を挑んでいった。カザネは、ギリギリのところでこの攻撃を回避し続け、たまにオーギを殴っている。だが、それが全く効いている気がしない。


「おらっ!!」

「くっ」


 オーギの拳が、カザネの肩に当たった。カザネの鎧に衝撃が走り、ヒビが入る。攻撃が当たり、体勢を崩したカザネに対しオーギは追い打ちをかけようとしたが、自分の周りにあるものが出来ていることに気がついた。


「ソニック・ミラージュキック」


 それは、風の魔力で出来た魔法陣だった。先程攻撃するのと同時に、カザネは魔力を振りまき、魔法陣を完成させていたのだ。魔法陣から、カザネの鎧の体格に似た人影が出現する。そして、その七体がオーギに対して、高速の飛び蹴りを放った!!


「面白いぞ!!」


 オーギは、全ての幻影の攻撃を腕で防いでいく。そして、七体すべての攻撃を完全に受け切り、それでもなお悠然として笑っていた。


「これを受けても、笑っていられるか!!」


 体勢を立て直し、脚に風の魔力を漲らせたカザネが、最後の蹴りをオーギ目掛けて放つ!!その蹴りに、オーギは自身の拳に風の魔力を纏わせて、撃ち放ち応戦した!!


「はああああああ!!!!」

「うおおおおおお!!!!」


 圧倒的な衝撃が、空中をとおして地上に伝わっていく。2つの技がぶつかり合うことで、空中の空間が一瞬歪み、地上に衝撃波が届いた。2つの技が拮抗し、ぶつかり合っている。だが、その中でオーギは、更に拳に力を込めた。


「うおわあああああああ!!!!」


 カザネが、その力に耐え切れず吹き飛ばされる。衝撃で、鎧の全体にヒビが広がっていった。


「ふはは、楽しい。楽しいぞ!!」

「……」


 カザネは空中で体勢を立て直すと、笑うオーギに向かって、静かに拳を構え直した。


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