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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・一部 幻音神鳥 カザネ編
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おはようございます

「ベイー!!起きたわよー!!起きた!!」

「うん、母さん?」

「起きた?……まさか!!」

「ニーナか!!」


 俺とカザネは、ニーナの元へと駆けて行く。家に入り、ニーナを寝かせていた部屋に入ると。窓の外を眺めながら、涙を流しているニーナが目に入った。


「ニーナ!!」

「……あ、ベイ君」

「大丈夫か?何処か、痛いのか?」

「えっ、……あっ、違うの。ちょっと、誰かに呼ばれた気がして」


 そういいながら、ニーナは涙を手で拭う。そして、ベッドから起き上がり、立とうとした。だが、突如としてニーナはバランスを崩してしまう。それを、俺は抱きとめた。


「大丈夫か?」

「う、うん。ちょっと、身体が寝ぼけてるのかな」

「……そうか。良かった。良かった」

「ベイ君、ありがとう……。私、なんとなくだけど覚えてるよ。ベイ君が、助けてくれたんだよね?」

「俺だけじゃない、皆が、ニーナを救ったんだ」

「うん、ありがとうベイ君、カザネさん。……後で、アリーさん達にも言わなきゃ」

「ああ、皆喜ぶよ」

「うん」


 ニーナは、力を抜くように俺に抱きついて目を閉じている。まるで、噛みしめるかのように俺の胸に顔を預けていた。


「私、生きてるんだね」

「ああ」

「病気、とかじゃなくて、多分魔法だよね。私が、こうなってしまったの」

「……ああ」

「ベイ君、ありがとう……」


 何故だろう。ニーナには、前の時の記憶はないはずだ。だが、まるで記憶があるかのようだ。ニーナは、力を入れて更に俺に抱きついている。俺は、ニーナを撫でながら彼女の心が落ち着くのを待った。


「ニーナが、起きたって!!」

「ひゃっ!!アリーさん!!」


 ニーナが、勢い良く俺から飛び退く。そして、アリーが部屋に入ってきて、ニーナを観察し始めた。


「うん、問題ないわね」

「は、はい!!」

「良かった、良かった!!」

「は、はい!!」


 アリーが、ニーナを抱きしめている。やっと、救えたんだもんな。良かった、良かった。


「よし、ご飯よ!!快気祝いよ!!」

「やりますか、アリーさん!!」

「やるわよ、ミルク!!ヒイラ、サラサ!!」

「うん!!」

「力が、戻るものを作るか」


 そう言って、アリー達がニーナを引っ張って台所に移動していく。ニーナも困惑していたが、嬉しそうだ。良かった、本当に良かった。


「ははは……」

「……」

「……どうした、シデン?」

「ご主人様、あれ」

「うん?」


 窓の外に、一瞬だが紫色の稲妻の様なものが見えた。なんだ、晴れているのに稲妻だと? 魔法か?


「敵、かな?」

「いえ、あれは悪いものではありません」

「そ、そうか?」

「はい、行きましょう。ご主人様」

「お、おう」


 なんだろう、身体が急に冷えてきた気がする。俺は、一回部屋の中を振り返ると、台所に移動することにした。


「じゃんじゃん、作るわよ!!」

「「「おおー!!」」」


 凄い鍋さばきで、嫁達が料理を作っていく。サラサが、全力で包丁を振るっているので、あっという間に食材の準備ができ。それを、アリーとヒイラが、調理器具にぶち込んで料理していた。まるで、客が多い飲食店の修羅場みたいだ。


「カヤ、火力アップ!!」

「がってん!!」


 調理の火が、強くなっていく。それでも、全く焦がすことなく、アリー達は瞬時に料理を作っていった。


「おし、これで完成だー!!」


 朝とは思えないほどの、豪華料理がテーブルに運ばれていく。ニーナが俺の横に座らされ、目の前の料理を見て目を輝かせていた。


「よし、ニーナ快気祝いよ!!頂きましょう!!」

「「「「「「「いただきまーす!!」」」」」」」

「いただきます……」


 ニーナが、次々に美味しそうに料理を食べている。その顔を見て、皆、微笑んでいた。皆優しいなぁ。そう思いながら、俺も朝から食べきれるか心配な量の料理に、口をつけることにした。


「うちは安泰だな、母さん!!」

「そうねあなた!!」


 うちの両親は、二重の意味で喜んでいるようだった。めっちゃ食べてる。


*****


「さて、食べ終わってすぐだけど。解説講座を開こうと思います」

「おおー」

「待ってました!!」


 カヤとミルクが、声をかけて盛り上げる。食べすぎて動けなくなった両親を、俺は居間に移動させて、椅子に座り直した。


「さて、今日の議題はこの石です」

「創世級を、召喚しようとした魔法使いが、使っていた石だね」

「その通り。で、これなんだけど。これを解説するには、まず、別のことを話さなければ駄目でしょうね」


 そう言って、アリーは大陸の地図を広げる。


「この世界。まぁ、国によって呼び方が統一されていないからこの世界と言うけど。この世界には実は、とんでもないものを封印するための魔法陣が、未だに全ての大陸に設置されています」

「全ての大陸に」

「魔法陣?」

「ええ。それも、ただの魔法陣じゃない。国に出生登録をしたものたち、空気中、土の中。あらゆる場所から微妙に魔力を集めて、とある魔法を行使するために、その魔法陣は今も稼働しているわ」

「その、魔法陣って?」

「それは……」


 アリーは大陸地図の中央。その部分に指をさす。


「ここ、創世級迷宮の維持をしている魔法陣なのよ」

「創世級迷宮の維持を……」

「魔法陣で!!」

「そう。創世級迷宮は、人間が作った檻。この大陸だけでなく、この星そのものの周りにも張り巡らされた、巨大な魔法陣から魔力を供給して出来ている」

「まじか」

「まじよ」


 アリーは、大陸地図の中央に例の石を置く。


「で、これなんだけど。その魔法陣から魔力を、ちょっと拝借することが出来る。いわば、小さな魔力転送装置みたいなものなのよね。でも、その威力が強大なのは、皆見たわね」

「う、うん」

「このサイズであれって、実際にはどれ程の魔力を集めて?」

「分からないわ。でも、創世級全てを閉じ込めておけるだけと考えると、その莫大な量が容易に想像できるでしょう」

「そうだな」

「ということは、それがあれば魔法を撃ち放題?」

「これを使って、並の魔法を撃ってご覧なさい。自分ごと巻き込んで、爆発するわよ」

「やめときます!!」


 ロデが、立ち上がっていたが椅子に座り直した。


「要は扱いが難しい、激やばい石なのよ。ちなみに、普通に壊しただけでも、石に残っている魔力が爆発する」

「最悪じゃん」

「という訳で、保管するしか今はないわけ」


 そう言って、アリーが石をしまう。なんで、そんなものがあるんだろう?



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