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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第三章・一部 幻音神鳥 カザネ編
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風属性古代神魔級迷宮

 カザネは、鳥人間に対して一定の距離まで近づくとそのまま立ち止まった。背後のノービス達を、全身で守るかのように立ち塞がっている。


「ふっ、そんな音にかまっている時間など無い……」

「己の私欲のために、他人を傷つける事を躊躇わないか。いいだろう、その思いあがり、私が正そう」

「吠えるな、黒いの。何も我は、私欲を満たすためにやっているわけではない。これも大義のためだ。敵を倒すには、我らにはまだ力がいるのだよ。そこで、弱小な人間を砕いてその魔力を地に返し、力を引き上げようとしているのだ。それの何処に問題がある?」

「……その答えに、疑問を持たないからお前は悪鳥なのだ」

「そうか、ならば止めてみるがいい。弱小な人間に味方するものよ。我はウインガル四翼の一羽・疾爪のキージス!!お前を倒し、我の四翼の就任祝いとしてやろう!!」


 キージスの名乗りと同時に、周囲の風がざわめき始める。その風に、ノービス達が瞬きをした瞬間、2人の立ち位置が変わっていた。2人は、向かい合うようにお互いの距離を詰めて、拳をぶつけ合っている。その衝撃で、ノービス達は後ろへと吹き飛ばされた。


「どわぁぁああああ!!」

「今のうちに、逃げて下さい!!」


 カザネに言われ、ノービス達は頷いて去っていく。その後、カザネは拳に風魔法を込めてキージスを弾き飛ばした。


「なかなかやるな。お前を倒せば、多くの魔力が得られそうだ!!」

「倒せればな」


 キージスが、爪を振りかぶってカザネに迫る。風魔法によって超加速を施された爪での攻撃だが、それをカザネは難なく避けた。避けた背後の建物が、五本線の切断傷を受けて倒壊していく。


「速さもなかなかだ。だが、次は避けられるかな!!」


 キージスの腕の羽が、空中に向かって飛び出した。その羽根がピンと張り、まるで刃物のように羽先を鋭利にすると、カザネに向かって飛んでいく。


「ストーム・ロッド!!」


 カザネは、腕に錫杖を出現させた。杖先の輪っかが外れて飛び出し、空中に風魔法を纏って回転し始める。その回転が、迫り来る羽の攻撃を全て防いだ。


「はぁああああ!!」

「ふっ!!」


 カザネが、錫杖を振りかぶってキージスを攻撃する。その攻撃を、キージスはその腕の爪で防いだ。


「ハハハハ!!いいぞ、ホロウズが居なくなって得た力だが、物凄いパワーを感じる。やはり魔力だ、高い魔力を持つものこそが世界を制す!!この我が、お前を倒して魔力を勝ち取り、迷宮1の魔物となろう!!」


 そう言うと、キージスはカザネの錫杖を握り砕いた。カザネは、錫杖が壊れると同時にキージスから距離を取る。そして、腰についている宝石を軽く押した。


「もう、良い頃合いだろう……」


 カザネの足が、緑色の魔力を放出して輝いている。その次の瞬間、カザネがキージスの視界から消えた。


「アクセル!!」

「ガッ!!ぐはっ!!」


 緑色の閃光が走る。超加速したカザネが、キージスが捉えることの出来ないスピードで何度もキージスを攻撃した。その結果、キージスは攻撃の衝撃で空中へと投げ出されていく。


「終わりにしよう!!」

「馬鹿な!!この我が、見失うほどのスピードを持つ者が!!」


 カザネは、腰についている宝石を二度叩いた。カザネの片足に、両足に分散していた魔力が集まっていく。


「ソニック・キック!!」


 カザネは、地面を蹴ってキージスより高く跳躍すると空中で反転、空気の壁を蹴るようにして加速するとそのまま蹴りを放ち、キージスの腹を貫いた!! 緑色の閃光が、地面に向って走る一直線の落雷となってキージスを切り裂く!!キージスの腹は、その衝撃で消滅し、上半身と下半身が綺麗に別れた。


「馬鹿な、この我がぁああああああ!!!!」


 地面に着地したカザネは、スッと立ち上がるとパチンと指を鳴らす。そして、少しだけ振り向くとこう言った。


「お前、遅すぎたな……」


 そのセリフの終わりと共に、キージスが空中で爆発する。緑色の爆風を辺りに撒き散らし、残った魔力が何処かえと消えていくのをカザネは眺めていた。


「……」


 カザネは、その後辺りを見回す。周囲についている建物の傷の殆どが、カザネが超加速をしたさいの動きの衝撃で出来たものだ。


「アクセルはやはり、人の多いところでは使えないか」


 そう言うとカザネは、仲間たちに念話を送る。少しして、カザネが転移魔法の魔力に包まれると、その場から消えた。


*****


「魔力が……」

「キージスが、やられたようだな」

「やはり、この近くに何かがいるようだ。ホロウズ、キージスを打倒するような大物が」

「面白いではないか。では、誰が早く狩れるか競争と行こう。キージスが倒されたことで、みなもまた強くなっただろうからな。存分に試してくるが良い」

「承知しました、ウインガル様……」


 3つの影が、何処かへと消えていく。それを、木でできた椅子に座っていたウインガルと呼ばれた鳥人間が1人眺めていた。


「さて、創世級の魔力を感じたから地上に出てきては見たものの、肝心の創世級の姿がない。だが、思わぬ収穫があったか。……今の我々の力では残念ながら、先ほど感じた創世級の魔力には到底及ばないだろう。やはり、ただ鍛えるだけでは創世級に我らではかなわないか。であれば、もっと殺して力をつけねばな。もっと、もっと……。ふははははは!!!!」


 ウインガルは立ち上がる。そして、何処かへと消えた。ここはサイフェルム王国周辺の山。その一角に、大きく山頂がえぐれた山があったのだが、今はその山の上に大きな魔力に包まれた山頂部が出現している。そこはウインガル。風属性古代神魔級迷宮・ウインガル。




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