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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・九部 決戦のリングルスター
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道中

「ところでアリーさん、レノンやサラ、ロザリオはまぁ、実力的な面で連れて行かれないのは分かるのですが。フィーさん達は、連れて行かないのですか?」

「ああ、レノンとサラは後で連れてくるわよ。一応、学校に根回しはして貰ってるし。でもね、あの2人今この戦いに参加させるためにかなり無理に鍛えたもんだから。……少し、休ませておきましょう」

「そ、そうなんですか?」

「ええ。基本的にミズキ地獄を延々と繰り替えずだけの修行だったけど、まぁ一番効率がいいでしょうね」

「あれを、ですか……」


 サラサのマジかよという顔が、その想像結果の凄まじさを物語っている。何やら、ヒイラの顔色も少し悪くなった気がした。ヒイラもやってみたもんな、あれ。血の魔神といえど、ミズキには手も足も出なかったわけだが。まぁ、仕方ないよな。ニンジャだし。


「ロザリオは、学校が別だし。まぁ、呼べるようにはしてもらったはずだけど、あとで確認しないとよく分からないわね。最近は、私達が魔法を教えてたし、少しはマシに強くなってるでしょ。たぶん」

「私も遠目に見てましたが、魔法の訓練はよくわからないですね。何というか、剣術の初歩を繰り返しているような感じに思えたのですが」

「魔法は、扱えることが第一だもの。どんな武器も、使えなければ意味がない。それも自在によ。だから、魔法は初歩が基本であり全て。威力を上げるにも、魔力量を上げるにも、使って感覚を確かめ、練磨する。最高であり、最大の訓練法なのよ。座りながらでも出来る」


 そう言って、アリーは空中に魔力の花を咲かせた。一瞬で咲き誇り、花はくちて消えていく。その花の移り変わりを、感覚で操作しているのだ。簡単そうに見えるが、実は難しい。まぁ、ロザリオが行っていた訓練はそれとは違い、空中に聖・闇を除く全属性の球体を一度に浮かべ維持する訓練だったが。


「フィー達は……。あんな強い彼女たちを、あいつに紹介したくないから。まぁ、こっそり呼ぶことにしたのよ。そんな感じ」

「ああ、なるほど。確かに、フィーさん達は力がおかしい。それこそ、国に雇われていてもおかしくないほどです。だと言うのに、仕立て屋さんだったり、ニンジャ?だったり。謎な方たちですね。うんうん」

「いや、ミルクは服屋じゃないから」

「え?」


 まだ誤解されていたのか。


「まぁ、そんな訳で今は私達だけで移動しているのよ。相手の実力を測ってから、出来れば呼ぶか決めたいところなのだけど」

「相手、ですか……。強いんですかね?」

「正直に言うと、私とヒイラがいれば楽勝だと思う。ある程度わね」

「ある程度、といいますと?」

「世の中にはイレギュラー、思っても見ないようなやつが出てくる可能性があるってことよ」

「なるほど。油断するなということですね」

「ええ……。恐らくだけど、こちらが強くなったぶん、何かしら齟齬を修正する事が起きているはず。楽には行かないでしょうね」

「アリーさん、今、なんと?」

「独り言よ」


 うーん、要は俺達並みに強いやつが出てくるはず、ということなんだろうか? どんだけのやつが出てくるっていうんだよ。主に、俺並みとか。神魔級レベルじゃないと駄目なんだけど、出てくるのか、神魔級?


「ところでヒイラ、あれは出来そう?」

「あー、うん。何とか」

「そう。じゃあ、後は私が合わせるだけね」

「本当に出来るの?」

「多分ね」


 天才とは、時に常人が思いつかない発想をする。それは、今までの経験が形となって滲み出した発想。これまでの常識を覆し、全てを超えていく。その天才、いや、片方は天才を超えているが。その2人が、揃って編み出そうとしている魔法だ。いい言い方をしても、ろくなものではないだろう。威力的な意味で。


「ベイに見せるのが楽しみだわ」

「見せるものかな、あれは」

「ベイなら、一人でもできるかもね」

「なら、参考になるかな」


 楽しそうに、アリーとヒイラは笑っている。最近は、今までにもまして仲良くなっている気がするな、この2人。お互いを、友と認めあっているからだろうか。見ていて微笑ましいな。


「ベイ、私も魔法を勉強して、会話ぐらい出来るようになっておくべきだろうか?」

「ああ、サラサはそのままでいいと思うよ」

「しかし、お二人が楽しそうなのに、私は混ざれない」

「そういうときもあるって」

「私だって混ざれてないんだから、気にしない、気にしない」

「というか、サラサちゃんはだいぶ馴染んでるよね」

「一緒に、暮らしてらっしゃるからでしょうか?」


 ロデ、レラ、ニーナがそう言う。そう言われると、サラサは嬉しそうな顔をした。しかし、すぐにキリッとした表情をする。


「いえ、まだまだです。フィーさんたちとも、もっと会話を弾ませたいのですが、あまり喋れていないような気が……」

「そう?ミルクとかが、よく話してるじゃない?」

「いえ、確かによく話しかけていただいているのですが、自分から話題を振ったことが少ないといいますか。正直なところ、皆さんになんと話しかけて良いのか迷っています。皆さん、良い方たちばかりなのですが、まだ皆さんのことを知れていないといいますか……」

「私も気になるわね。何処で、あんな強くなったのか。商人として、是非聞きたいわ」

「ニンジャって、何処の言葉なんでしょう」

「レムさんの、剣術の流派が私は気になるかな?自己流かな、やっぱり?」


 皆が、思い思いに皆に対する疑問を上げていく。アリーとヒイラは、事情を完全に知っているのでその質問を軽く笑いながら聞き流していた。


「私の双剣をあんな簡単にいなされて、しかも技まで盗まれた上にこうした方がいいとか言われちゃったらさぁ。そりゃあ、気になるよ。凄い技術吸収力だよね。戦闘経験が、私とは違う高さなんだろうなぁ」

「確かに。あの剣と盾さばき。並を超えて、強者をも超えている。とても、普通の剣士がたどり着ける領域ではない。私も、見習わなければ」

「私は、フィーちゃんが気になるなぁ。あんな小さいのに、あの中でダントツの強さなんでしょ?うーん、気になる」

「確かに、フィーさんの強さも謎が多いですよね。魔法だということは分かるのですが、その、複雑すぎるというか」

「シゼルさん、私に回復魔法の訓練をしてくださいましたが、どう見ても私より魔法の威力があったんですよね。ちょっと、気になります」

「それは、魔力の練り方というやつのせいでは?」

「いえ、シゼルさんは出力は同じだと言ってました。の、はずなんですけど。どうも違う気がしたような?」


 皆、意外と見られてるんだな。まぁ、この戦いに参加するにあたって皆にも訓練を受けてもらったから、それは仕方ないことだと思うのだけど。


「あと……」

「そう」

「ミズキさんね」

「動きが……」

「だから、ニンジャって何?」

「アサシンのようなものと聞いたが」

「アサシン?ということは、あの素早さは、全て殺すための技というわけですか」

「と、聞いた」

「……今まで、何人殺されたんでしょう」

「逃れられたものはいないだろうな」

「そうね」


 ……まぁ、ミズキは冒険者狩りを昔はしてたからな。間違ってなくもないか。最近は、そんなこともしてないけど。それに、魔物であるミズキにとって、冒険者は命を狙ってくる敵だ。ある意味、正当防衛とも言えなくはないだろう。冒険者も、命のやり取りをする覚悟で迷宮に入るわけだし、今までは仕方なかったんじゃないかな。その御蔭か知らないが、今では完全にニンジャだな。アサシンとは違うんだよなぁ、ニンジャ。まぁ、意味的にはアサシンだけど。


「お、道を曲がりましたか」

「あっちは、国の警備砦があったかしらね」

「そこで馬車を置くんでしょうか」

「はぁ、あの2人を乗せたくないわ」


 アリーの溜め息を聞いて数分後。俺達はその砦に着き、魔物馬車を預け、シアとシュアを乗せて再度出発した。



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