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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・八部 超英雄
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工程と順番

「全属性迷宮ですか……」

「全属性ねぇ……」

「?」


 アルティも、アリーも渋い顔をしている。あそこは、まずいんだろうか。


「マスター、あそこは出来れば最後に赴くのが一番いいですね」

「最後?」

「あの迷宮のことは、有名なので本に乗っている情報で大体の構造が分かっています。妖精に近しい系列の魔物が神魔級までいること。そして神魔級であるのは、その迷宮のボスだけであること。そこまでは、分かっています」

「ああ、うん」

「ということは、必然的に見るのはボスだけでいいということになるのですが。全属性というのがこれまた厄介です。単体の属性とは違い、複数の魔力が混じり合った個体ということになります。それぞれの単体での魔力の記憶の保存方法を解析した上で、挑んたほうが解析が速いと思うのですが」

「ああ、なるほど。二度手間になるかもしれないのか」

「それもあります。ですが、もしかしたら一度戦ったら今度の迷宮のボスは、同じ再生の仕方をしないかもしれません」

「……え、何で?」

「記憶まで完全に再生されるのか、と言う疑問があるからです。1から再生される可能性もあります。つまり、記憶のない状態ですね。そんな状態では、観察対象としてつかえません。解析しづらくなります」

「そうなのか、アリー?」


 俺の疑問に、アリーは首を縦に振る。


「迷宮が、今までの記憶を含んだ再生をするかどうかわからないのはあるわね。管理者としての再生はするでしょう。でも、記憶が必要と迷宮が判断しているかは難しい話なのよね。再生というよりも、新たに作り上げるという方に近いし」

「そうだったのか」


 ということは、新しく出てきていた迷宮のボスは、似ているけど別個体だったわけか。同じだと思っていた。


「ということで、全属性は最後に回したいのです。……やはり、ウィンガルから行くのが定石でしょうか」

「じゃあ、まずはそこを探すところからだな」

「そうですね。……後、私として回る順番を進言したいのですが」

「順番?」

「ええ。風・雷・聖・火・水・土・闇・全。この順番で回りたいのですが」

「皆が仲間になった順番の逆か。どうしてだ?」

「単純に、解析が楽そうな順だからです。皆さんに適応させる上で、ということですが」


 仲間になった順の逆だと、適応が楽なのか? フィーとかレムが難しそうなのは分かるが、カザネが一番やりやすいっていうのは良く分からないな? 何故だ?


「カザネさんは分かりやすいですね。速さに全てを振っています。とても分かりやすいです。次にシデンさん。不穏な魔力の動きをしていますが、まだ中級ですので比較的アドリブが効くと思います。まだ楽な方です。次にミエルさん・シスラさん・サエラさん・シゼルさん。こちらも4人が比較的同じ流れの魔力であるということと、パワーを上げることに魔力を向けているので、武器は違えど楽ですね。次にカヤさん。こちらも、火を扱うということ以外に魔力的におかしな特徴もございません。唯、流石は皆さんの中でも古参というところでしょうか。尋常じゃない魔力量とパワーです。ちょっと、時間がかかりそうですね。次にミズキさん。可変状、ミズキさんの能力の解析は済んでいます。後は、ミズキさん自体の身体構成を調べるだけなのですが……。はっきりいいましょう。頭がやばいです。訳の分からない構造をしています。ありとあらゆるものを同時に並列に、緻密に行うことが出来ています。解析が面倒です。後に回したいです!!以上!!」


 アルティが、ミズキの最後の方だけ早口でいい終える。よっぽど面倒くさいんだろうなぁ。アルティにそこまで言わせるって、相当なのだろう。


「そして、残りの3人……」

「私達ですね」

「ミズキよりも面倒なのか?」

「そういうことだよね?」

「はい、そういうことです。ミルクさん、能力の解析は済んでいます。が!!その単純にもほどがあるはずのパワー!!最早、パワーを追求しすぎて訳の分からない領域に突入しています!!ただパワーを高めているだけなのに、どうしてああなるんですか?緻密に魔力を練り上げすぎです!!流石、古参!!よって、ミズキさん以上に時間がかかります。以上!!」

「ああ~、まぁ、私スペシャルですからね」


 あの細腕で、全員の中でぶっちぎりの腕力だもんな。そうもなるのか。


「次にレムさん。一体化の解析も、まだ完全に済んでおりません。その上、複数の魔力をお持ちです。土と闇。合わさった2つを完全に解析するには、ミルクさんの後が無難でしょう。そして、レムさんも身体の構成と、魔力の保有量が抜きん出ています。ほんと、いつ進化していてもおかしくないと思うのですが……。そんなこんなでミルクさんの後です」

「分かった」

「最後に、フィー姉さん。もう、言わなくてもおわかりですね。いっちばんめんどいです!!能力の解析もまだです!!全ての属性を保有しています!!だと言うのに、魔物でありながらその体を維持しています!!ぶっちゃけどうなってるんですか?教えてください!!」

「そ、そう言われても……」

「ということで、我らの姉さんが最後が一番無難です。というか、そうして下さい。先に全属性に行かれても解析どころか、理解が追いつきそうにありません」

「お、おう。分かった」


 アルティは俺達に見えないところで、色々努力してくれてたんだなぁ。ありがとう、アルティ。


「他ならぬ、マスターのためですから」


 そう言いながら、アルティは俺に頭を下げる。俺は、その頭を撫でてあげた。するとアルティが、嬉しそうに微笑む。可愛いな、アルティ。


「不穏な魔力……」

「シデンに?」

「なんというんでしょうかね?恐らく、能力を作ろうとしているんだと思うのですが、まだ未完成なよく分からない魔力の形というか?」

「……それで、まだ私は中級なのですか」

「まだ、準備が整っていないということだな」

「それさえ終われば、私も上級に……」

「いえ、明らかにシデンさんは上級を今の段階で超えています。次に進化すれば、二段回一気に駆け上がるかもしれません」

「一気に、私が聖魔級進化を?」

「それは、楽しみだな」


 シデンが進化すれば、全員が聖魔級になる。後は、迷宮をクリアして、神魔級に全員が成れればいいのだが。まずは、迷宮探しからか。……長くなりそうだな。俺はそう思った。





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