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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・八部 超英雄
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バルトシュルツ家

 暫くして、ライアさんと皆でご飯を食べた後、新しいヒイラの魔法が気になったので教えてもらうことにした。勿論、アリーにも魔法を教えてもらおうとしたのだが、ヒイラの魔法を覚えるのだけでお昼になってしまったので、午後の家への挨拶を済ませてから教えて貰うことになった。


「さて、行くか」

「また、いつでも来てね。ベイ君」

「はい、ライアさん」


 お昼ごはんも食べて、転移して家に帰る。召喚石に皆を戻し、家の近く辺りから歩いて家に向かった。


「……なんか、静かだなぁ」

「今日は休診にします、ってなってるわね」

「何かあったのかな?」


 怪しげな雰囲気を感じながら、俺は家へと入っていく。キョロキョロと家の中を見回したが、誰もいる気配がなかった。


「……ただいまぁ」


 そうは言ってみるが、誰からも返事がない。どうしたんだろう、出かけてるのかな?


「ん~?」


 取り敢えず、目をつむって感覚を研ぎ澄ませる。何かおかしなところがないか、家中を魔力探索した。その結果、テーブルに何か紙のようなものが置いてあるのが分かった。俺は、迷わずにテーブルに向かい、紙を手に取る。


「……ベイへ、バルトシュルツさんのお宅に行って来ます。これを見たのなら、貴方も来て下さい。母より」

「うちに?」

「家庭間の、衝突問題とかじゃないよね?」

「……あり得る。ともかく、行ってみましょう」

「ああ」


 こうして俺達は、アリーの家に行くことになった。


「前に来たことはあるけど、入るのは初めてだな」

「ベイが、やっと入れる時が来たのね。長かったわ……」

「私は、何度かあるけどね」

「よし、行こう」

 

 先頭に立って俺は歩く。鉄格子で出来たドアを開け、アリーの家へと踏み入った。


「やっぱ、でかいなぁ」

「そうかしら?ヒイラの家よりは、小さいでしょう?」

「いや、五階建ての家とか早々ないよ、アリーちゃん。庭も広いし」


 確かに、このあたりでこんな広い敷地の家ここしか無いもんな。それに、庭もちょっとした広さだ。五階建ての建物の横にも、また別の建物がある。二世帯って感じじゃないな。あっちは、魔法訓練用の建物かな?


「それじゃあ、行きましょうか」

「ああ」


 アリーの案内で、五階建ての家へと入っていく。扉を開けてすぐまっすぐに進んでいくと、アリーは一つの扉の前で止まった。


「まぁ、お客さんが来てるとしたら、いつもここよね」

「へー」


 コンコンとノックして、アリーはドアを開ける。そこには、ノービスとカエラ、バルトシュルツ夫妻が座っていた。


「おお、ベイ。アリーちゃん、来てくれたか」

「うん」

「ヒイラちゃん?」

「何故、スペリオ家の君がここに?」

「私の親友だからよ、お父様」

「そうか。いや、確かご実家にいたはずでは?まぁ、ライアさんなら距離も関係ないか」


 どうやら、ライアさんが連れてきたと思っているらしい。まぁ、それでいいや。


「で、何のお話をしているの?」

「何ってアリー、そりゃあお前のことだよ」

「そうね。ベイ君に、バルトシュルツを継いでもらえないかって話も出てきてて、そこら辺を色々とね」

「「はぁ?」」


 俺とアリーから、同じ疑問の言葉が漏れた。何故そうなるんだ。


「アリーの決意を見て、お祖父様ももうこれはどうしようもないと思ったらしいわ。でも、家の魔法の外部流出は避けたいみたいなの。だから、ベイくんを家の子に正式にしてしまえば、そこは防げると思っているらしいわ」

「なるほど。バルトシュルツ家の規律で、ベイを縛ろうってことね」

「まぁ、そうなるな。勿論、その際にはベイ君にうちの魔法も継がせよう。ただし、うちの魔法を外部に漏らさないように、いくつか決まりを守ってもらうことになるが」


 アリーは、その言葉を聞いて目を閉じる。そして、どこかで聞いたような口調を真似てこう言った。


「絶対にNO!!絶対にNO!!(ミルクの口調を真似ながら)」

「え、何でだいアリー?いい考えじゃないか。何処に、そんな嫌がる要素が……」

「お父様は、何も分ってないんですね。私が、何で家を出ると言ったのかわかりますか?魔法の外部流出を避けるためにある規律、家族に結婚相手を見せ、相応しいか選定させ無くてはならない。これが、駄目なんです!!ベイには邪魔です!!」

「ベイ君は、アリーと結婚するのだし、もうそれは関係ないだろう?」

「……はぁ。大アリです、お父様。いちいちお祖父様達に、皆を紹介してまわってたらきりがありません。そんなの願い下げです。それに、彼女達を選定するなど、おこがましいにも程がある」

「……母さん、アリーは何と言っているんだ?」

「ベイくんには、他にも結婚相手がいるんですって。しかも、アリーが認めるような女の子たちが」

「し、信じられん……」


 アドミルは、驚愕の目でアリーを見ている。それは重婚を許しているからなのか、アリーが他人の実力をを認めたからなのかは定かではない。


「よって、私がアルフェルトになります!!ここは譲れません!!」

「……なるほど。ちなみに、誰が他に彼と結婚するんだ?流石に、誰も言えないなんてことはないよな、アリー」

「疑ってらっしゃるんですね?いいでしょう。このヒイラ・スペリオも、紛れもなくベイの妻です。他にお父様達が知っているところではサラサ・エジェリン、レラ・サルバノ、ニーナ・シュテルン、ロザリオ・フェイン。……あと、おまけでロデ・マルシアもいますね」

「その家名は……」

「フェインは、フェイン商会の方かしら?あれ、でもあそこの子は、息子さんしかいなかったような?」

「ベイ、お前いつの間に……」

「うちの子はモテるわね。貴方」


 静かなリアクションを取っているが、内心めっちゃ驚いてるんだろうなぁ、ノービスとカエラは。ちょっと動かなくなってるし、多分そうだろう。


「本当なのかい、ヒイラちゃん?」

「は、はい!!」

「アリーに合わせて、嘘を言っているんじゃないか?本当のことを、話してくれないか?」

「い、いえ!!私は、ベイ君がいいんです!!彼と結婚したいです!!アリーちゃん達と、ベイ君を幸せにしたいです!!」

「ヒイラ、あんた良く言った!!」

(ヒイラさん!!)

(ああ、最高!!妻仲間バンザイ!!)

(素晴らしい)


 皆が、ヒイラに惜しみない拍手を送っている。というか、俺が幸せにされる側なのか。でも、皆がそばに居てくれたら俺、幸せになるな。確かに、されるわ。何も間違ってないな。そう思い、俺は1人で頷いていた。



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