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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・八部 超英雄
307/632

2人

 もう、これで俺の人生エンディングで良いんじゃないかな。アリーとの結婚もこれで決まっただろ。後は、幸せに暮らしました(確定)終わりで良い気がする。今、丁度そんな気分だ。抱きしめているアリーを抱き上げて、くるくる回る。うん、浮かれてるな、俺。


「これで確定ね、ベイ!!」

「ああ、アリー。幸せにするよ」

「駄目だ……」


 は? アリーをおろして、声の方に顔を向ける。見ると、ガーノが苦しそうにしながら立ち上がっていた。


「お祖父様、約束と違いますが?」

「私は、試すと言ったんだ。認めるとは言っていない」

「何故です?ベイが優秀な魔法使いであることは、これで証明できたでしょう。何も、文句はないはずです」

「そうか。お前には、そう見えるかアリー……。だが私には、そうは見えん」

「どういうことですか?」

「ベイ・アルフェルトと言ったか。お前、何者だ?」


 え? 何者って、ベイ・アルフェルトですけど。


「おっしゃっている意味が分からないのですが?」

「私でさえ、この年になるまで魔法と魔力を突き詰めてきてたどり着いた境地がこれだ。なのに、お前はそれを超えてきた。しかも、余裕まであるようだった。……とても普通の人間が、その年齢でたどり着ける境地ではない。お前は、本当に人間か?」

「そうですが」

「……ノービス君、彼は本当に君の子供なのかね?」

「当たり前じゃないですか」

「なら、何故こんなにもありえない強さを持っているんだ。説明してくれないか」

「息子は、努力の天才ですからね!!」

「……そんな言葉で、片付けられるような実力ではない」


 いや、実際頑張ったと思うよ、俺。フィー、レム、ミルク、ミズキ、カヤ他の皆もそうだけど、正直、あり得ない強さの彼女達と訓練をしてきた。血反吐を吐くとまでは行かないけども、それでもかなりやばい努力を重ねてきたと思う。迷宮に行って命をかけた戦闘もこなしたし、ある意味でその言葉が俺の強さの秘密でいいと思うなぁ。


「ベイ・アルフェルト。君は……」

「お祖父様、魔法使いが相手の強さの秘密を聞くなど無粋なことです。それが、普通ではないと感じている以上、相手がしゃべらないことも自然とおわかりでしょう。秘術は秘術。お互いに、探りを入れないのが礼儀ではありませんか?」

「……そうだな」

「彼が、戦闘力においてお祖父様以上だったということ。それが事実です。そして、私にとって彼は家を継ぐよりも大切な存在。それが全てじゃ駄目ですか、お祖父様。認めてほしいんです。ベイと、私を。できれば家族である皆に」

「……そうか。この場で決めていた話ではなかったということか」

「はい。彼が良い。彼と結婚したいんです」

「お願いします」


 俺は、アリーの肩を抱きながらそう言った。うーん、空気が重い。早く良いと言ってくれ。なんというか、耐えられない。


「……やはり駄目だな」

「お祖父様!!」

「アリー、私には今すぐ彼を信用することは出来ない。いくら大事な孫の頼みであってもだ。いや、だからこそ彼を疑惑の目で見ざるおえない。これほどの強さの彼が、わざわざうちのアリーと結婚したいと言ってきているんだ。何か目当てでもあるんじゃないかと、思ってしまっても仕方がないだろう。そういう意味では、うちは並外れた家だからな」

「お祖父様を超えた実力を持っているベイが、そんなことを考えているはずがないでしょう!!」

「どうかな。最後の魔法、あれはスペリオが持っている魔法に近かった。独学であんなものを編み出したということも考えられなくはないが、その年齢でゼロからあんなものを編み出したということもあるまい。まだ、それに近い魔法を教えてもらい、研究してきたという方が現実味がある。ベイ・アルフェルト、君はスペリオとも交流をしているんじゃないか?そして魔法を教えてもらうか、盗むかした。今の魔法を生み出すために。そうじゃないかね?」


 ……この爺さんは、大変な勘違いをしている。言わねば伝わらないだろう。あまり家族の話に口を挟みたくはなかったが、俺も話の関係者である以上言わねばなるまい。俺は、発言をするべく一歩前に出た。


「ガーノさん、あなたは勘違いをしている」

「何がだ?」

「俺にとって、強さこそが全てではない。だから魔法も、実力も必要最低限で良い。バルトシュルツ家にどんな魔法があろうとも、教えていただかなくて結構。俺は強さよりも、魔法よりも素晴らしい者が欲しい。それだけだ」

「魔法よりもだと?」

「ああ。俺は、アリーが欲しい」


 俺は、アリーに向き直った。


「初めて合った時は、おかしな子だと思ったよ。でも、すぐに君が普通じゃないとわかった。君は、子供の頃から天才だった。それから2人で色々なことをしたね。訓練に魔法研究、どれも俺にとってかけがえのない大切な時間だった。君が隣りにいてくれているだけで、俺は幸せを実感できたんだ。君が学校に行ってしまった時、俺はあのままだったら駄目になってしまっていた気がする。だから、必死で努力をしたよ。君に誇れるように、君に話せるように、強く。大きくなろうって。そのおかげで、今では大切なものがいっぱい出来た。アリーのおかげだよ」

「……そんなことないわ。全部、ベイの実力よ」

「いや、違う。君が俺の人生を導いてくれたんだ。君が、俺の人生の光だ。ありがとうアリー。そして俺は、そんな君とずっと一緒にいたい」

「……ベイ」

「悩んでいる君も、微笑んでいる君も、どんなアリーも大好きだ。例え魔法がなかろうと、俺はアリーといられるなら何があっても幸せになれる。アリーと一緒なら、どんな苦難も困難も乗り越えられる。そう確信できる。君がいてくれないと嫌だ。君と人生を歩みたい。何に阻まれようと、何が立ちふさがろうと、アリーと俺達の為に全てを倒そう。だからアリー・バルトシュルツさん、いや、アリー」

「はい」

「俺と結婚して欲しい」


 


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