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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・八部 超英雄
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建物移動

「さて、俺達も食べてしまうか……」

「そうね」


 アリーと2人で食事を続ける。皆を呼んでも良かったのだが、ここは色々な人がいる城の中だ。何か面倒が起きても嫌だし、呼ぶのは控えておこう。そう思い、食事を続けた。


「ふぅ……、美味しかった」

「そうね。……まだ少し時間があるかしら。ちょっと、ゆっくりしていきましょう」

「そうしようか」


 この部屋には、ベランダがあるようだ。俺は、近づいていって窓を開ける。すると、涼しい風が部屋に差し込んだ。顔を撫でる風が、とても心地良い。


「綺麗ね」

「ああ、そうだね」


 部屋からは、町の明かりが一望できた。こう見ると、確かに綺麗だな。まるで、何処かの物語のワンシーンでも見ているかのような気分だ。しかも、隣には愛する嫁がいる。これ以上無い最高のシチュエーションだな。


「ベイ。今日は、勝手に話を進めてごめんなさい」

「良いさ。俺も、アリーと早く一緒になりたいから」

「ありがとう」


 2人して自然と抱き合う。それから、特に何をするでもなく2人で街の風景を見ていた。このまま、時が止まればいいのに。自分のがらではないが、そう思うほど静かで優しい時間が過ぎていった。


「さて、そろそろ行こうか」

「うん」


 そのまま、手を繋いで会場まで戻った。パーティも、もう終盤なのか何かの催しをやっている。それが今終わり、閉会の挨拶が始まった。


「おお、ベイ。帰ってきたか」

「父さん」

「……これから訓練場に行くことになるんだが、大丈夫か?」

「ああ、大丈夫だよ」

「そうか。あのガーノさん相手だが、何故だろうな。お前なら安心してみていられる気がするよ。いや、油断はいけないからな。そして、これだけは言っておく。その手で、お前の愛するアリーちゃんを掴み取ってこい。父さんから言える激励はこのくらいだ。頑張れよ」

「ああ、絶対に勝つ」


 そう俺が言うと、剣が一振り俺の腰辺りに転移してきた。


(アルティ)

(必ず勝ちましょう。お供します)

(ああ、ありがとう)


 アルティを、サリスを付けている近くに適当に巻き止める。うん、なんだかやる気になってきたぞ。


(マスター、ファイトです!!)

(ご主人様なら、楽勝ですって!!)

(うむ)

(ああ、頑張るよ)

「ノービスさんと、ベイさんですね。こちらにどうぞ」

「お、お迎え付きか。じゃあ行こうか、ベイ」

「分かった」


 閉会の挨拶も途中だが、俺達とバルトシュルツ夫妻は、事務のお姉さんに連れられて、会場を後にした。そして、そのまま1階に降りて城を出る。少し離れた場所に大きめの建物があり、そこに入った。


「今、明かりをつけますね」

「おお、広いなぁ……」


 そこは、縦に長い訓練場だった。あそこは、魔法を撃つ為のスペースかな? 


「まぁ、200人ぐらいが一斉に訓練できる建物だからな」

「俺は、もうちょっと広くてもいいと思うんだがね」

「いや、魔法訓練場を別で建てましょう。そうすれば、あそこらへんが空く」

「そうしたいんだが、そんなお金ありませんと管理が厳しくてね。拡張工事しかなさそうだ」


 ノービスとアドミルさんが、仕事モードに入って話をしている。色々あるんだなぁ、お城にも。


「それでは、私はこれで」

「ああ、ありがとう」


 事務のお姉さんが帰っていった。後は、ガーノ待ちかな。暇だし、少し身体でも動かしておくか。


「ベイ君」

「はい?」

「俺と戦ってみないか?」

「良いですよ」

「あなた……」

「なに、俺もアリーの父親だ。彼の実力を肌で感じたい。それぐらい、良いじゃないか」

「そうですか……」

「ベイ君、あそこでやろう。この建物の中なら、まず死ぬなんてことはないから安心してくれ」

「ああ、はい」


 死ぬことがない? ああ、学校の闘技場と同じ作りなのか。で、普通なら死ぬような攻撃で仕掛けてくると。口調は柔らかいが、敵意はむき出しって感じだろうか。まぁ、親ばかって話だったからな。そんな感じかもな。


「じゃあ、始めようか」

「はい」


 建物中央あたりで、俺達は睨み合う。俺は、特に剣も構えず腕組みして相手の出方を待った。


「……何も構えなくて良いのかい?」

「ええ、どうぞ」

「分かった」


 アドミルさんの周りに、見たことのある槍2つが出現する。クリムゾンランスか。爆発する炎の槍だな。


「これぐらい、軽く止められるだろ」

「ええ、そうですね」

「では、お手並み拝見!!」


 槍が、俺に向かって飛んでこようとする。だが、槍は動かなかった。動こうとはしているが、何かに押さえつけられたかのようにガタガタと震え、その場にとどまっている。


「?」

「水糸……」


 細い水の糸が、炎の槍をがんじがらめにして捉えていた。そのまま、糸が縮み槍を真っ二つに引き裂く。


「くっ!!」


 アドミルさんの真上付近で、槍が爆発した。風魔法でシールドを張っていたようだし。まぁ、無傷だろう。俺は、適当にアドミルさんの出方をまた伺うことにした。


「……余裕そうだね」

「いえ、ガーノさんと戦う時の参考にしたいので、どんどん撃ってきてもらって対処法を考えたいんです」

「なるほど、俺は踏み台ってわけか」

「ガーノさんを、ねじ伏せないといけないみたいですからね。すいませんが、練習の相手をお願いします」

「君は、……何者なんだ」

「ベイ・アルフェルト。それ以上でも、それ以下でもありません」

「クリムゾンランスが、あんな対処の仕方をされたのは初めてだ。認めよう、君は普通じゃない。うちのアリーが、目をかけるだけのことはある」

「どうも」

「だが、それと結婚を許すのかは別だ」

「……」

「俺に認めて欲しくば、この俺を倒せ!!そう、何時迄も構えもせずに立っているだけじゃなくてな!!」

「……そうか」


 瞬間、俺の体がブレる。次の瞬間には、俺はアドミルさんの腹に蹴りを入れていた。


「ガハッ!!」

「……手加減、しときましたよ」


 アドミルさんが、その場にうずくまる。普通なら、吹っ飛ぶくらいまで蹴る所だが。生身で、しかもノーガードで受けたんだ。そうとう痛いだろう。これぐらいで良いだろうな。


「な、何が……」

「蹴りを入れたんですよ。それだけです」

「み、見えなか……。それに、距離が」

「俺が速かっただけです。大丈夫ですか?」

「うっ……、かはっ……」


 やりすぎたか。だが、アドミルさんは立ち上がる。そして、回復魔法を使った。


「くっ、かはぁ……。まさか、これほどとは」

「続けます?」

「いや、やめておこう。俺では、君の相手にはならないらしい」

「そうですか……」


 魔力はかなりあるようだが、戦闘慣れしてないんだろうな、アドミルさんは。確かに、これ以上やるのは無駄だろう。どう頑張っても、俺を捉えられそうもない。俺は、まだガーノが来ないので、1人で柔軟でもすることにした。



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