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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第一章・二部 青と赤と魔王軍
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フィーとニンジャと嫁と

「えっ。アリー、家に帰らなくていいの?」

「う~ん実はね、ベイに会いたくて学校をすぐ出発しちゃったから家族には、一週間後に帰るって言ってあるのよね。それに久しぶりにベイとゆっくりする時間が欲しいし。家に帰ったら色々時間取られそうなの。離れてた今くらいゆっくりベイと過ごしたい訳だし。……だから泊めて!!」


 う~ん、俺が断る要素はゼロだな。泊まるとして問題は寝るところか。


「いいよ。それじゃあアリーは、俺のベッドを使ってよ。俺は、床で寝るから」

「え、何言ってるのベイ。私は、ベイのお嫁さんなんだから一緒に寝ましょう」


 アリーは、さも当然というように俺を押してベッドに向かう。だがアリーは、ふと立ち止まった。


「ふむ、ここにはベイ、私、フィー、レム、ミズキで5人いるわね。さすがに皆で寝るには、このベッドは狭すぎるわ」


 アリーは、ふむと考えこむ。最初から皆で寝る気だったのか。俺が誰かを上にのせて押しつぶされるような状態にならないとこのベッドでは無理そうだな。俺が誰かの上にのって負担になるのは嫌だし。それなら俺は、アリーの提案を断ってでも床で寝るぞ。


「そうだ、いいのがあったわ!!」


 ごそごそとアリーは、旅用バッグをあさり始める。多分、俺がアリーに誕生日にもらったのと同じ物だ。空間魔法がかけてあって見た目より多く物が入るようになっている。でも重量軽減とかはないから持てる限界までしか入れられない。多く荷物を詰めればダンベル代わりにもなる一品だ。


「えっと、そう、これね。よいしょっと……」


 アリーが出したのは、毛布と布団と枕だった。お泊りセットかな?


「ふふ。ベイこれは、ただの寝具じゃないのよ。魔力を流すとなんと大きさを調節出来るの!!まぁ本当は、野宿用のセットとして買ったんだけどね。テントと一緒だと安かったのよ。でもこんな形でこの機能が役立つなんてね。無駄に多機能なの買って良かったわ」


 そう言うとアリーは、床に一式敷いて魔力を流す。すると布団が一瞬で大きくなった。これなら5人で寝られそうだ。あれだな、均等にでかくなるわけじゃないんだな。長い方が倍くらい伸びてる気がする。無駄にでかい。


「よし、これで大丈夫ね!!さぁベイ、寝ましょう!!」

 

 アリーは、着ていた服を脱いで薄着になる。うん、可愛い。そして、いそいそと俺の腕をとって布団に潜り俺の右隣にピッタリとくっついた。左隣には、フィーがやって来る。レムは、フィーの隣だ。そしてミズキは。


「あ、私は天井で寝るのでお構いなく」


 そう言うとまた天井に張り付いた。魔法で水の空間を自分の周りに張り始める。なるほど、水中で寝ている感じにしたいからわざわざ天井に張り付いたわけか。床だと濡れるからな。器用に天井につかない程度に水の空間を張っている。あの水、落ちてこないか心配だ。まぁ、ミズキを信じよう。今まで水中で寝てたのに寝方変えろっていきなり言われても寝づらいかもしれないからな。


「ふあぁぁ、おやすみなさい、ベイ」


 アリーは、疲れていたのか俺の腕を抱いたまますぐに寝息を立て始めた。


「おやすみ、アリー」


 俺は、アリーの頭を撫でてあげる。目を閉じたままアリーは、ニコリと可愛い笑みを浮かべた。


「じゃあ俺達も寝るか」

「はい、マスター」

「はい、おやすみなさい主」

「(くっ、私もいつか股下に。おやすみなさい、ご主人様)」

「おやすみなさい、殿」


 よし寝よう。今日は、ミズキが仲間になったしアリーも帰ってきたし良いこと尽くめだ。きっと清々しく寝れるに違いない。そしていつも通り早起きせねば。親が来る前に……。俺は、早起きすべくすぐに眠りに落ちていった。



「うん?」


 何か足に違和感を感じた俺は、目を覚ましてしまった。まだ暗い……。なんだろうと足を動かしてみるが、何かが纏わり付いてるのか? よく分からない感覚がする。右を見るとアリーは、幸せそうに寝ていた。左のフィーも、俺の腕を抱いて可愛く寝息を立てている。レムは、いないな。またミルクと朝練だろうか。とすると俺の足に纏わり付いている何かはなんだ?……ミズキの触手だった。


「うっ、うん❤殿、いけません。そんな回復魔法を……」


 寝言かな? 夢の中の俺は、何をしているんだ。この外道め。まぁ、やってるのは俺か……。何故かは分からないがさっきから俺の足をニュルニュルと擦るように触手が動いている。これでどうやって寝直せばいいんだ。俺は、どうしたものかと周りを見る。アリーとフィーに腕を掴まれていて動けない。レムとミルクはいない。どうしようもない気がするな。


「……うん」


 俺の横でアリーが動く。俺の腕を更に抱きかかえ、腕先がアリーの足で挟まれた。あ、ああ~~、あわわわわ!!!! アリーの太ももが!!!! そして今、腕のこうに、あ、当たっているのわ!!!! い、イカン!! 無心になれ。無心になるのだ!! そ、そう言えば、いつも寝る時と違ういい匂いがするな。アリーの匂いか……。落ち着くいい匂いだ。よし、大丈夫。俺は大丈夫だぞアリー。


「うぅん……」


 その時、ミズキの触手が俺の足を登ってきた。足先から膝、太ももまできて……。いかん!! 待って!! その先はまずい!!!! かと言って今動けばアリーさんに要らぬ刺激を与えかねない。だが今は、本当にまずい状況だ。ジリジリとミズキの触手が登って迫ってきている。こんな時に俺が頼れるのは、1人しかいない。俺の頼れる女神、フィーさんにお願いするしか!!


「フィー。フィー、起きてくれ……」


 小声でフィーに呼びかける。すると、可愛く目をこすってフィーは起きてくれた。


「うん?マスターぁ……」


 まだ眠そうな声だ。うむ、可愛い。俺は、寝起きのフィーが可愛くておでこにキスをした。


「ふぁっ、ま、マスター。お、おはようございます」


 急なことでフィーは慌てていた。眠気は、もう吹っ飛んだようだ。


「すまないフィー。助けてくれ。実は、ミズキの触手が俺の足を掴んでいるんだ。どうやらミズキが寝ぼけているらしい。それを外してくれないか」

「えっと、分かりました」


 俺の話を聞くとフィーは、毛布を潜って足側に移動した。布団の中で触手が俺の足に絡まっていることを確認するとフィーは、足側から毛布から出て触手の位置を確認した。フィーは、どうしたものかと考える。


「えっと……」


 僅かの思考の結果フィーは、ミズキの触手をくすぐり始めた。徐々に触手がゾワゾワと動き出す。そして、ミズキのもとに引いていった。数秒後、なんとか俺の足から完全に外れた。


「んっ❤殿、いけません……。フィー姉さんが見て」


 ミズキの夢の中では、フィーに回復中を目撃されているらしい。それで掴んでいた俺を離して離れようとしているのか? う~ん? 回復に耐えるために俺を掴んでいたってとこだろうか。それとも、俺にいて欲しくて自分から? 真相は、分からない。それはそうと、任務を終えたフィーが帰ってきた。


「マスター、外しました」

「よしよし、ありがとうなフィー」


 俺は、左手でフィーの頭を撫でる。フィーは、嬉しそうに微笑んだ。


「マスター」

「うん?」


 俺がフィーを見つめているとフィーは。


「チュッ❤」

「!!!!」


 俺の唇に自分の唇を重ねた。1回目は軽く。その後、少し間をおいて2回目3回目。止まらなくなったのか、そのまま数回連続で……。フィーの可愛い舌がもっとという感じで俺の唇にあたってきた。手探りしながら求めるフィーを俺は、迎え入れてそのまま深いキスをしていく。10数回繰り返した後、フィーは突然恥ずかしくなったのか唇を離して布団に潜ってしまった。


「お、おやすみなさい、マスター」

「ああ、おやすみ。フィー」


 フィーは、俺の腕を抱きかかえてしばらくしてまた眠ってしまったようだ。だが俺は、目がギンギンに冴えていた。アリーと、フィー。幸せってこういうことを言うんだろうか……。確かな事実として今言えることは、俺は今晩もう眠れそうにないってことだった。




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