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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・八部 超英雄
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サイフェルムへの帰還

「ただいま~」

「お邪魔しまーす」


 久しぶりの家だな。皆も魔石に戻して、アリーと2人で帰宅した。久しぶりの家だが、少し変わっているところがある。アルフェルト回復魔法診療所と言う看板がかかっていた。カエラが、回復魔法院を始めたようだ。


「あら、ベイ。おかえり」

「母さん、ただいま」

「お邪魔してます」

「あら、アリーちゃんも、おかえりなさい」

「はい!!」


 なんだ、カエラ大丈夫じゃないか。とすると、手紙のようは何だったんだ?


「母さん、こんな手紙が届いたんだけど、何のようだったか知らない?」


 俺は、カエラに手紙を渡した。


「ああ~、届いたのね。実は……」

「実は?」

「この時期になると、お城でパーティが開かれるんだけど、そこにベイも連れてきてほしいって言われてね」

「……俺も?」

「そう。確か、シアとか言う人だったかしら。結構偉い人みたいで、あの人も断れなかったみたいなのよ。それで、仕方なくベイに届くように何枚か同じ手紙を書いて送って回ったらしいわ」

「ああ~、あの文章はそういう……」


 紛れもなく、気が進まず投げやりに書いた文章ということか。お城づとめは大変だなぁ。


「シアか……」


 アリーが、苦々しい顔をしている。殺意すら感じそうな顔をしていた。


「殺そうかしら」

「いや、落ち着いてアリー」

「だって、せっかくの旅行を邪魔したんだもの。そのぐらいじゃないとね」

「いや、流石にやりすぎだって」


アリーから、見たこともない魔力の高まりを感じる。何だ? クリムゾンランスに近い気がするが、何か違うな。アリーは、知らないうちに進化しているとでもいうのだろうか。


「さて、じゃあどうしましょうか。寮に戻る、ベイ」

「え?」

「だって、シアの呼び出しでしょう。行かなくてもいいじゃない。何も見なかったことにしてね」

「いや、それはどうなのかな……」

「う~ん、何か二人に話があるって言ってたわよ。なんでも、最近忙しくて合う機会を作れないんですって。それで、パーティに来て欲しいって」

「……それって、私もってことですか?」

「ええ。ベイが帰ってくるなら、アリーちゃんも帰ってくるだろうって」

「あいつ、無駄に鋭いわね。いや、私とベイの仲だもの。その推測は当然というべきかしら」


 カエラの言葉に、アリーはどうするか悩んでいるようだ。でも、まだ険しい顔をしている。相当行きたくないんだな。

 

「まぁ、明後日の話みたいだし。今日は二人共、ゆっくり休むといいわ。旅行で疲れたでしょ。話の続きは、あの人が帰ってからでも遅くはないわ。それからにしましょう。さて、私は買い出しに行ってくるわ。今日は久しぶりに息子が帰ってきたんだもの。豪華にするわよ」

「あ、手伝います」

「いいのよ、アリーちゃん。今は休んで。じゃあ、行ってくるわね」

「行ってらっしゃい」


 そう言うと、カエラは入り口の札を裏返して休診にして買い出しに出ていった。……繁盛してるのかな、うちの診療所は。


(何の話なんですかね?)

「おそらく、前に聞いた馬鹿な創世級召喚術師の話でしょうね。そろそろ、戦いに向かうメンバーを教えてほしいってところかしら。後、あり得るとしたら敵が見つかったとか……」

(だとしたら、行くべきなんじゃないですかね?どっちにしろ、我々が行かなければならない案件みたいですし)

「そうね。ニーナのこともあるし、行くしか無いか……」

「まぁ、今は休もう。行こうよ、アリー」

「そうね……。久しぶりに、ベイの部屋にお邪魔しようかしら」

「どうぞどうぞ」


 俺は、アリーを連れて久しぶりに自分の部屋に入った。狭いな。こんな狭かったっけ。でも、ホコリ等はない。カエラが、居ない間も掃除していてくれたようだ。感謝。


「ふぅ~、昔を思い出すわね。あの窓から、ベイをよく訪ねて来たっけ」

「そうだね」

「……ベイ、貴方はあの頃からだいぶ変わったわね」

「そうかな」

「うん、逞しくなった」


 ベッドに腰掛けて、アリーがそういう。まぁ、あの時はレムにも遠く及ばない実力だったからなぁ。確かに、天と地ほどの差があるかもしれない。


「ほんと、強くなったわね……」

「アリー。何でそんな、悲しそうに……」

「だって、私がベイにこんなに強くならなきゃならないほどの試練を、背負わせているんだもの……。私が、ベイを呼ばなければ、こんなにもベイが苦労することはなかった」

「アリー、良いんだ。俺は、君と出会えて、皆と出会えて幸せだ。このぐらい、俺にはなんともない。君が、悲し顔をしている方が俺は辛いんだ。だから、気にしなくていい。例え、どんな敵が待ち構えていようと、どんな困難が俺の前にあろうと、俺が必ず君を幸せにするよ。約束だ」

「ベイ……」


 アリーは、ニコッと笑顔を向けてくれる。うん、やっぱりこうじゃなくちゃな。アリーが笑ってないと、俺も調子が出ない。きっと、フィー達もそうだろう。なんとなく、皆がそう感じているのが俺にはわかった。


「ありがとう……」


 アリーの隣りに座って、肩を寄せ合って座る。そのまま、皆とも思い出話を少しした。楽しい時間が、あっという間に過ぎていった。



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