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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・七部 エジェリン家と、祭りと……
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腕相撲大会・予選編

 とりあえず、午後の仕事を済ませてしまうか。散策も少なめに、俺達は出店に戻ってきた。そして、問題なく仕事を済ませていく。まぁ、根本的に仕事に問題がある気がするが、そこは気にしないでおこう。


「絶対また来ます!!」

「あ、はい」


 これで今日何人目になるだろうか。新たなリピーター客を獲得した。ほんと、この店大丈夫なのかよ。出店してて良いんだろうか。俺が言うのもあれだが。


「おーいベイ。腕相撲始まるぞ!!」

「え、ああ、はいはい」


 サラサの中では、俺は出ることになってるのか。まぁ、いいんだけどね。力を試してみたいところはあるし。俺は急いで着替えて、皆と店を閉めて外に出た。


「もう始まってるな」

「閉店時間と同時に開催みたいだったからね。仕方ないよ」


 ステージ中央では、まるでボディビルダーのような素晴らしい筋肉のおっさん達が、パワーをぶつけあっている。迫力があって見応えはあるのだが、正直近くに行きたくない。汗臭そう。色々飛び散ってきそう。


「あそこだけ、温度違いそうね」

「熱が見えますよね」

「それだけ、いい勝負をしているということだな」


 確かに、いい勝負をしているようだ。さっきから、拮抗状態に陥っている。さてさて、あそこで戦うには

何処で受付すれば良いのかな?


「サラサ、何処で受付すれば出れるんだ?」

「ああ、この試合が終われば、すぐに飛び入り参加できるぞ。ベイの力を見せてくれ!!」

「お、おう」


 飛び入りかぁ……。難しそうだな。タイミングが遅れると、他の人が先に割って入りそうだ。ここは、カザネばりの飛び入りをするしか無いな。そう思っていると、ステージで決着がついた。マッチョマン2人が、お互いの健闘を讃え合い握手している。二人共、すべてを出し切ったのか汗だくだ。ステージ、滑りやすくなってないと良いなぁ……。


「それでは、次の挑戦者いませんか!!」


 ズドンッ!! っと、風魔法でステージに身体をひねりながら着地する。アリーに貰った愛用のローブを脱ぎ捨ててフィーに投げ渡し、腕まくりをした。そして、観客が唖然としている中、腕相撲のテーブルに腕を付いて構える。


「さぁ、やろうぜ」

「……ふっ、登場は派手だったようだが、ここでは素の腕力がすべてを決める。この俺に勝てるかな?」


 先ほどの戦いで勝利した金髪モヒカンのマッチョマン紳士髭が俺の腕を握る。その腕の太さ、俺のおよそ1.5倍。体格も俺より大きく、傍目には俺の負けは明らかに見えるだろう。だが、実戦とあまりに強い嫁達との訓練で築き上げてきたこの筋肉、伊達ではない!!


「お二人共、準備はよろしいですね。それでは、レディー・ファイ!!」


 マッチョ紳士が余裕の表情で腕に力を込める。軽く投げ飛ばしてやろう。そう言う余裕が見て取れた。だが……。


「ぐっ、ぬっ!!」


 マッチョ紳士がいくら力を込めようと、俺の腕は微動だにしない。力を込めすぎているのか、マッチョ紳士の顔が赤くなってきている。だが、それでも俺の腕はピクリとも動かなかった。


「ふっ!!」


 軽く力を込め、マッチョ紳士の腕をテーブルに叩きつける!! そのままテーブルが砕け、マッチョ紳士の腕がステージに叩きつけられた!!


「ぐああぁああああああ!!!!」


 えっと、後は投げるんだっけか? 俺は、そのままマッチョ紳士をマット目掛けて投げつけた。おお~、飛ぶ飛ぶ。その後、すぐに医療班がマッチョ紳士を運んでいった。マッチョ紳士は、運ばれながらも俺に向かって親指を立て、ナイス筋肉と無言のエールを送ってくれている。投げないほうが良かったかもしれない。悪いことをした。


「へっ、おもしれぇ。お前、熊の討伐で1位だったやつだろ?手合わせしてみたいと思ってたんだ。俺が、打ち負かしてやるぜ」


 そう言うと、俺の目の前に一人の男がやってきた。凄い。あのマッチョ紳士よりもでかい。腕は、俺の3倍近い太さだ。……流石に無理じゃね、これ。


「ベイー、ファイトー!!」


 アリーからの声援がかかる。今、俺は無敵になった。


「レディー・ファイト!!」

「おらー!!」


 腕に、相当な負荷がかかる。だが、ミルクの攻撃を受け止めた時の威力以上ではない。


「な、耐えやがるのか!!だが、腕が傾いてるぜ。これでおしまいだ!!」

「甘いな……」

「何だと?」

「俺が腕を傾けているのは、反動をつけるためだ!!」

「な、ぐわああああああああああああ!!!!」


 一気に体重を移動させ、腕に力を込める。巨漢マッチョが一瞬宙に浮き、そのまま腕ごとステージに叩きつけられた!! それだけで威力は収まらず、ステージに亀裂が入っている。……やり過ぎたかな?


「ふっ、いい筋肉だったぜ……。ガクッ……」

「巨漢マッチョマンサン……」

「医療班!!医療班さーん!!来てくださーい!!」


 巨漢マッチョマンを倒した後も、俺とマッチョマン達との戦いは続いた。クールな表情に胸に秘めた熱い闘志、クールガイマッチョマン。稲妻のような高速の叩きつけ技を持つ男、プラズマッチョマン。何故か片腕だけが異様にマッチョな男、ワンハンドマッチョマン。力を入れ過ぎると屁が出てしまう男、屁こきマッチョマン。……他にも並み居る強敵がわんさかと。誰も彼もが強敵だった。だが、俺は遂にその戦いの中を勝ち抜いた!!


「優勝者・ベイ・アルフェルト!!」

「よっしゃー!!」


 俺は忘れないだろう。戦ったマッチョマン達の健闘を。そして、勝ち抜こう。散っていった彼等のためにも。


(クールな試合をすると言われている俺だが、今日は久しぶりに熱い勝負ができた。楽しかったぜ……)

(俺の稲妻落としが、効かないとわな。完敗だ……)

(俺の5年鍛え続けた自慢の右腕が……。今度から左腕も鍛えよ……)

(……ぷぅ~)


 ありがとう皆。俺、頑張るよ。戦ったマッチョマン達の思いを背負い、俺は決勝戦での勝利を誓うのだった。


「……何ですかね。この異様な雰囲気わ」

「男の友情ってやつかしらね」

「いや、違うと思います」



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