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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・七部 エジェリン家と、祭りと……
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レア素材とお伽話

「ありがとうございました~!!」

「う~ん、うわさ通りの店だったね」

「見た?」

「なんだか、肌が潤ってたような」

「しかも、かなり晴れやかな顔をしてる」

「噂は本当だったんだ」

「はい、次のお客様!!」


 その後、順調にお昼まで仕事をこなし、俺は一息ついた。最初のお客さんは、ナークさんって言ってたか。押しが強いように見えたが、攻めに弱いようだった。なんとかなってよかったぜ。肉体的に、組み伏せられそうな迫力があったからな。流石Sランク、伊達じゃない。


「また来るよ」


 そう、帰り際に言っていた。まぁ、高評価を頂けたのだと思っておこう。しかしレア素材かぁ……。そんなものがあったとわ。図鑑に、そんなものなかった気がするんだけどなぁ? 俺の読み込みが甘いのか、それか伝説や、噂のたぐいかもしれない。それなら、一般的な図鑑に載っていなくても納得がいく。冒険者ギルドとかだと、そういう情報も見れるんだろうか。ちょっと気になるなぁ……。


「今度、そういう本も見てみるか」 


 俺は、そう思いながら服を着替えた。


「ベイ~、お昼にしましょう!!」

「分かった~」


 アリーに呼ばれて、謎の控室に移動する。皆、ここで待機しているんだろうか? テーブルが置いてあり、その上には屋台の料理が並んでいる。昨日も買った野菜炒めもあるな。美味しそうだ。


「それじゃあ、食べましょうか」

「いただきま~す」


 いつも通り、皆で食卓を囲んで料理を食べる。うん、おいしい。そして、その間にアリーにレア素材の事を聞くことにした。


「レア素材?」

「そう。お客さんが言ってたんだけど、石化だか、呪いだかが治るらしい」

「へ~、そんな素材がねぇ」

「アリーも、知らないのか?」

「知らないわね。聞いたこともないんだけど」

「……もしかして、それってあれじゃない?法正規薬のことじゃあ?」

「あれ、ヒイラ知ってるの?」


 その名前を聞いた瞬間、レラやサラサ、ニーナもあれかぁ。みたいな顔をした。あれ、一般的な薬なんだろうか?


「というか、アリーちゃんやベイ君は知らないんだね。有名なお伽話なんだけど」

「お伽話……。聞いたこともない」

「俺もないな」

「いったい、どんな幼少期を過ごしてたのさ。二人共」


 あれか、桃太郎的なやつか。そういえば、そんな話はカエラ達からは聞かなかったなぁ。なんでだろう。修行しまくってたせいかな?


「おほん。この話はね、冒険者達が魔力を制御できなくなった王様を助けようとする話なんだけど」

「魔力が制御出来ない?面白い体質ね」

「いや、まぁ、そうだけど。なんでも、その症状は体を蝕み、動きを鈍らせ、岩のようにしてしまうんだとか」

「ああ、それで石化?」

「多分、そうだと思う。で、効く薬の材料を求めて探しまわるんだけど、一向に見つからない。そこで冒険者達は、各属性の頂点に立つ魔物たちから、回復の魔法を持つものを探し出して狩ることにした。これは、回復魔法を使える魔物の素材には、いろいろな回復効果が付くというデータから導き出した回答なんだけど。これは為になるよね」

「……」

「なんで私を見るんですか……」


 シゼルも回復魔法が使える。シゼルの羽とか、何か効能があるんじゃないだろうか。いや、フィーも使えるのか? フィーの髪のほうが、なんか過ごそうなアイテムっぽい。


「それで、捜索期間五年。ついにその魔物を見つけたんだ。海中に潜む黄金魚。そいつから取れるヒレから、見事魔力を正常に機能させることの出来る薬が出来たわけさ」

「へー」

「因みにだけど、この話の主人公たち、私らの先祖だからね。……何で知らないの、アリーちゃん?」

「……いや、私、自分で研究するほうが楽しかったから。そういうのはちょっと……」

「アリーちゃんらしい……」


 ということは、実際にあった話であることは間違いないんだろうか。なら、あっても不思議ではないな。レア素材。


「そんなのいましたかねぇ?」

「広い海だったからな。もっと見ていたら、居たかもしれない」


 ミルクとミズキが、ひそひそと話している。確かに、あの時は見てないな。そんな魚。


「魔力を正常に戻すかぁ……。使える素材ではなさそうね」

「まぁ、特殊な病気みたいだし、私たちには不要かもね」


 魔力を正常にかぁ。使う機会なさそうだな。まぁ、頭の片隅にでも覚えておくか。


「ご先祖ねぇ……。そんなこともしてたんだぁ。……そういえば、そろそろサイフェルムでもお祭りの時期かしらねぇ」

「ああ、そろそろかな」

「アリーちゃん達の実家?」

「そうそう。でも、今年は帰る気無いけどね。ベイといけない祭りなんて、意味が無いし」

「ああ~、アリーちゃんの家族で行く的な、そういう……」

「そうそう。面倒くさいったらありゃしない。しかも、それに行かなくても城の方のお役所的なパーティに一緒に行かないか的なことを毎年毎年……。はぁ、そう考えると、今年は最高ね!!」

「……アリーちゃんも、大変なんだね」

「そうなのよ……」


 俺は、慰めるようにアリーの肩を抱いた。すると、思い出しためんどくささから開放されたのか、アリーーは嬉しそうに笑う。うちは、そんな誘いをされたことはなかったなぁ。ノービスが、そんなのに出てるってことは知っていたけども。まぁ、俺には関係のない話か。


「うーん、今年の夏はベイとずっと一緒よ。離れない」

「アリー」

「ベイ」

「また二人の周りに謎の空間が出来てますね」

「私も、あれぐらいにならねばな」

「私も出来るかな?」

「フィー姉さんは、たまにやってますよ」

「うんうん」


 俺達からしてみれば普通なのだが、周りの皆には何かが見えているんだろうか? まぁ、魔法がない世界でもそういう感じのを見たことあるし、そういうもんなのかもしれない。


「ということは、何処かに死者をよみがえらせるような回復を使える魔物が居るってことかしら?」

「死者を?」

「蘇らせる?」

「ああ、なんでもないわ。そんなの居ないかなぁ~って。あはは」


 居るんだろうか、そんな魔物が。でも、もしいるのだとすれば神魔級回復魔法が完全に完成すると言ってもいいだろう。やはり、そういう伝説的なものを調べる価値はありそうだな。俺は、そう思った。



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