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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・七部 エジェリン家と、祭りと……
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気の考察

「……やっぱり、気って魔法なんじゃないか?」


 俺は、暴れまわっているサラサを眺めながらそう思った。


「さっき、サラサはベイが身体にまとわせるイメージでって言った時、気をコントロール出来ていたわよね。確かに、魔法っぽいわ」

「ああ。俺が思うに、気を何で武器などにまとわせることが出来ないかという疑問が残るわけだけど。それは、直感的に魔法を使っているからだと思う」

「直感的かぁ……」

「ああ。俺達は、感覚とはいえ、思考して魔法を使っているだろう。気は、その過程をぶっ飛ばして使っている魔法なんだと思う。身体が、本能的に使っている魔法なんだ。だから、身体以外の強化ができない。そのための、それ専用の強化魔法として出されているからだ。その体に合うように」

「思考で組み立てていない強化魔法。ある意味、無限の可能性があるとも言えなくはないわね」


 そう考えるなら、無限に強くなれるとも言えなくもないかも知れない。まぁ、かなり運とセンス任せになるだろうが。


「ということは、気の強化も魔法の強化と同じなんですよね。ということは、あの英雄さんが使っていた強化魔法と、気の併用は、実はあまり意味が無いってことでしょうか?」

「いや、あれは確実に強くなっていた。気での強化と、魔法での強化がいい感じに混ざり合っていたんだろう。相乗効果が上手くでていたはずだ。あれも、かなり偶然に近い産物だと思う。思考と直感の融合。かなり可能性を感じる魔法だな」

「なるほど、思考で生み出せない魔法と、思考で生み出す魔法の奇跡の融合強化ですか。そりゃあ、強いはずですね。私達のほうが上でしたが」

「奇跡の融合……。格好いい……」


 カザネが、何故か嬉しそうにしている。まぁ、カザネはこういうの好きだからな。俺も好きだ。ロマンあるよな。


「私は、出せないんでしょうか?」

「私達が、気での強化をですか?……やり方がわからないんですけど。そういえば、ご主人様は出来ないんですか?」

「俺か?」


 ……出来るのかなぁ。いや、ミルクが言うとおり、俺もやり方がわからない。身体に力でも入れればいいんだろうか。こう、何かが内側から出てくるみたいな感覚で。俺は、適当に腕に力を入れてみた。


「……駄目だ。どうしても、強化魔法をイメージしてしまう。直感的に出すとしても、俺は強化魔法のほうが先に出るようになっているようだ。思考が、直感を邪魔している」

「なるほど」

「というか、私達もそうなんじゃないか?本能で、魔法を使っているような所があるし」

「ああ~、そうですね。となると、私達は気での強化=普通の強化魔法と同じ意味になるのでしょうか?つまり、最初から2つの融合要素を持った魔法を使っているということですね」

「そうか……」


 カザネが、複雑そうな表情をする。最初から融合してると、何か微妙な気分になってくるよな。これ以上の、伸びしろがない気がして。


「良いじゃないですか。私達は、別の意味で融合できるわけですから」

「そ、そうですね」

「ええ、ご主人様と融合!!新たな命とか生まれそうです!!」

「ミルク……」


 皆が、ちょっと呆れ気味にミルクを見ている中。ミズキだけが、お腹をさすって恥ずかしそうにしていた。可愛い。


「直感的に出す魔法ねぇ……。運や感覚任せすぎるから、研究するの難しそうね」

「そうだね。魔力の構成も分かりづらいだろうから、正確な記録を取ることさえ難しいと思うな」

「そうよねぇ」


 アリーとヒイラが、楽しそうに気の考察を始めた。あの2人は、こういう時イキイキしてるよなぁ。


「さて、俺達も食後の運動と行くか」

「はい、マスター!!」

「あ、今日もお店をやらないといけないんで、早めに終えてくださいね」

「あ、そうか。分かった」


ロデの言葉を聞いて、転移して皆と軽めの訓練をする。といっても、身体が悲鳴を上げる手前ぐらいまでやっているので、そんな軽くないかもしれない。回復魔法ですぐに治るので、軽いという印象しか残らないが。まぁ、そんな感じで開店前には戻ることにした。


「さて、お店に行きましょうか」

「ああ」


 ぞろぞろと皆を引き連れてお店に移動する。今日も全員で行くんだなぁ。特に皆、何かするってわけでもないんだろうけど、いてくれるだけで心強い。そう思いながら、店前に到着した。


「……人多すぎ」

「ああ、すいません!!店の者です!!通して下さい!!」


 路地裏が人の列で狭くなっている。明らかに、今日一日で終わる人数ではない。


「ベイ君、私は対応してるから、早く準備して」

「あ、ああ」


 軽く人の多さに引きながらも、俺は着替えることにした。良くあんなに人が集まったものだ。しかも、女性ばかり。どこかで、変な噂でも広がったんじゃないだろうか。俺にはそうとしか考えられなかった。


「暇ですね」

「まぁ、私達は何もすることが無いですからね」

「ロザリオとロデだけで、対応は出来ているようだな。凄まじい客さばきだ」

「やるわね。あの2人」


 昨日と同じ部屋で、皆は椅子に座って待機している。基本的に、この部屋は監視部屋だ。変な客が居たら、武力行使するだけの待機場だから、皆が動くことは早々有り得ないだろう。この全員が出向いたら、表通りどころかこの街が消えかねないが。


「……フィー姉さん、ちょっと腕を見せて頂いていいですか?」

「うん、いいよ」


 そう言いながら、アルティがフィーの腕を見ている。何処を見ているのかわからないが、その目は熱心に一点を見続けていた。


「ありがとうございます。次は、ミルク姉さんの腕を……」

「何ですか、いきなり。まぁ、良いですけど」


 そう言いながら、腕をミルクは差し出す。またアルティは、一点を集中して見続けていた。


「……成長に関しての同調は、問題なさそうですね。後は、あれが完成すれば」

「あれとは?」

「まだ秘密です。一番時間がかかる作業ですからね。出来てからいいますよ」

「うーん、まぁ、そう言うなら今無理には聞きませんけど」


 アルティは、移動して椅子に腰掛ける。そして目を瞑ると、静かに頭を動かし始めた。ああでもない、こうでもないと魔力を練り、積み上げていく。そんなアルティの考えていることを、この場に理解できている者は誰もいなかった。



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