体験会1
「さぁ、始まりました!!ご主人様の揉みほぐし体験会!!司会はこの私、ミルクが行いましょう!!そして、栄えある一番手はこの御方!!アリー・バルトシュルツさんです!!」
「……ちょっとミルク、音がこっちにも漏れてきてるんだけど」
「おっと失敬!!フィー姉さん、よろしくお願いします!!」
「うん」
部屋に音がしなくなった。音漏れ防止魔法を使用したのだろう。と言うか、別の部屋で観戦しているのか……。それで、アリーは良いんだろうか? 恥ずかしくないんだろうか?
「ふぅ、……まぁ、皆に見られてるっていうのは恥ずかしいけれど。ベイの揉みほぐしだもの。慣れている私に、どれほど効いているかを見て、皆には心構えしておいてもらわないといけないから……。仕方ないわね」
「そ、そうかな」
「そうよ。ベイは凄いって、私が一番良く知ってるんだから」
嬉しそうにアリーは、微笑んでそういう。そんなアリーが可愛くて、俺はアリーの髪を優しく撫でた。ベットに揃って腰掛けて、自然と手を握る。自分で言うのもあれだが、かなり夫婦だな。しかも、知り合ってかなり経つのに、冷めるということを知らない。やっぱりアリーが、俺の運命の人なんだろうなぁ。
「ベイ……」
「アリー……」
自然とお互いの顔が近くなる。そして俺達は、ゆっくりと目を瞑ってキスを……。
「アリーさん!!今は、揉みほぐしだけの体験会ですから!!そういうのは後で、後でお願いします!!」
「……ちっ、ロデはうるさいわね。まぁ、いいわ。それじゃあベイ先生、よろしくお願いします」
ロデのせいで、キスは一旦お流れとなった。しかし、アリーに先生と呼ばれるのは、かなりいい気がする。普段は、アリー先生お願いしますという感じで、アリーのほうが頼れるからな。こういう逆の感じも良いなぁ。でも、アリー先生という響きの方がエロい気もする。……まぁ、マッサージを始めるか。こんなこと考えてないで。そう思い、俺はアリーの身体を軽く触りながらコリを確かめ始めた。
「何処かこってるところってある、アリー?」
「うーん、そうね。本を読むことが多いから、首とか、目が疲れてるようなきがするんだけど……」
「目かぁ……」
となると、顔付近を揉みほぐしていくことになるのか。流石に、これではエロいことになりようがないな。俺は、がっかりしながらアリーを寝かせて、顔をマッサージしていった。
「……うん」
「力加減とかどう?大丈夫?」
「うん、いい感じよ、ベイ。……はぁ、なんだか凄い落ち着くわね」
「そう、それなら良かった」
リラックスした表情のアリーの顔を、優しく指圧していく。集中して指圧しようとする俺だったが、どうもアリーの小さな唇が目に入って気になる。……キスしたい。だが、今は我慢だな。俺は、仕事時と同じように、コリを治すために熱心に指圧を進めていった。
「……目はこれで良いかな。次は、首を揉むからうつ伏せになって」
「はーい」
くるっと、アリーがうつ伏せに寝そべる。長い髪で首元が隠れてしまっているので、俺は優しくアリーの髪を横に分けた。甘い匂いが、俺の鼻をくすぐる。
「それじゃあ、揉むよ」
「うん」
俺は、アリーの首に手を置き、優しく揉みほぐしていった。……細いなぁ、アリーの首は。力を入れ過ぎると、壊してしまいそうだ。そんなこと、俺はしたくない。だから、時間をかけて丁寧に揉みほぐしていく。
「……んっ」
ぶるっと、小さくアリーが震えた。まるで、何か気持ちのいい感覚が体を駆け巡ったかのような反応だ。だが、今触っているのは首だ。そんな感覚が、走るはずもない。俺は、気にせず揉みほぐしていった。……結構、コリが取れてきたんじゃないかな?最初より、かなり柔らかくなっている気がする。
「……ベイ、好きよ」
「うん、俺もアリーが好きだ」
「私は、世界で一番ベイが好き。魔法っていう素晴らしい物もあるし、素敵な家族だって居る。でもベイ、私は貴方が一番好き。他の何よりも、貴方が大好き」
「アリー……。俺も……」
そう言いかけた時、アリーが俺の唇に指を押し付けてしゃべりを止めた。アリーは嬉しそうに微笑みながら、首を横に振る。
「ベイは、私達が大好きでいて。その方が、私は嬉しい」
「……ああ、俺は皆が大好きだ。アリー、勿論君も」
「ありがとう、ベイ。大好きよ……」
アリーの顔は赤い。俺は、アリーへの気持ちが抑えきれなくなっていた。今度こそと思い、顔を近づけていく。アリーの顔が徐々に近づき……。
「ふふっ、最初から無理な話だったのよね。だってもう私、ベイのことが大好きなんだもん。こんなの、我慢できるわけ無いわ」
俺達は、ゆっくりとキスをした。
「はい、決着!!記録は、12分!!いやぁ、早かったですね。顔と首というかなり刺激を得にくい部分でしたが、ご主人様を大好き過ぎたために、早期での決着となりました!!これは、貴重なデータですね。おそらく、顔と首だけと言っても、もどかしい刺激がご主人様によって生み出されていたのでしょう!!それが、大きな刺激となってあの一撃に繋がり、アリーさんの我慢を打ち崩したに違いありません!!つまり、私達は普通のお客よりも、我慢の限界に達するのが速いと思っていいでしょう!!これは、恐ろしいことです!!早く私も体験したい!!」
「あれね。あの2人は、相変わらず凄いわね」
「ロデ、私、秒殺されちゃうかも……」
「……確かに、触られるだけであんたはやばそうよね、ロザリオ。……私は、少しならいけるか?」
「おっと、秒殺?まだまだ甘いですね。この私ミルクからすれば、まだまだ余裕が有るなといった感じですよ。秒?そんな我慢出来る時間が、私にあると思っているのですか!!いや、無い!!秒どころか、零殺、零殺です!!私は既に落ちている!!ご主人様!!早く、早く私に!!」
「ミルク、どうどう」
「フィー姉さん!!私は落ち着いています!!落ち着いていて、これなのです!!」
「それより、2人を止めなくて良いのか?服を脱がせあい始めたんだが?」
「わああああ!!ミズキさん!!」
「殿!!私もお願いします!!」
「違う!!そうじゃない!!」
「あっ……」
ミズキにぱっぱと衣服を着せられて、アリーは早々と担がれて運びだされていった。……生殺しだ。ひどい。
「それでは次の挑戦者、行ってみましょう!!」
「おー!!」
声からして、次はフィーか。……揉む必要があるんだろうか? 全くこってなさそう。そう思いながら、俺は服を着直した。