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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・七部 エジェリン家と、祭りと……
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準備見学

「フィーは、可愛いなぁ」

「マスター……」


 今日はフィーが甘えモードなので、さっきからフィーの太ももをさすりさすりしている。程よい弾力と、つやつやのお肌が最高だ。ミルクは、お腹らへんに手を置いて抱きしめている。胸のお肉と、お腹のお肉に挟まれて、暖か柔らかい。


「んっ……、んっ……」


 シデンはさっきから、俺の頭にキスの雨を降らせている。……これ以上悪化しないと良いのだが。


「なるほど、サラサもちゃんと学生してるみたいだね」

「当たり前です、母さん」


 レラからの話を聞いて、サンサさんは嬉しそうにサラサを見つめていた。子供の成長を喜ぶ、親の目をしているように見える。良いなぁ、こういうお母さん。うちのカエラもいいお母さんなんだけど、リアクション力が高過ぎるのが難点かな。


「さて、いい話も聞かせてもらったし、おやつ出しちゃおっかなぁ。はい、ガリセンだよ」

「ガリセン?」

「知らないのかい?ガリガリ食べるからガリセン。センの部分は、一日にセン枚近く作るからそういう意味らしいね。まぁ、食べなよ」

「いただきまーす」


 ……俺、これ知ってるぞ。せんべいだ。日本の伝統的なお菓子だ。……しかも、出されたお茶もある。味わおう。俺はそう思った。


 バリボリ、バリボリ。


 うん。せんべいだ。美味い。美味い……。


「……どうしたの、ベイ?」

「いや、懐かしい味なきがしてね……」

「へ~、食べたことあるのね」

「うん……」


 海苔とか巻いてあっても良いんだけどなぁ。……でも、なんかあれだな。いわゆる、醤油味ではないな、これは。米せんべいって感じだ。塩味がいい感じにアクセントになっている。美味い、美味い。


「あはは、気に入ったみたいだね」

「ベイ……。母さん、これってどうやって作ってるんだ?」

「お、恋する乙女みたいな発言だね、サラサ。良いだろう、後で教えてあげよう」

「お願いします」

「あはは、うちの子が料理の教えを請うなんて、初めてだ!!」


 嬉しそうだなぁ、サンサさん。バリボリ、バリボリ。


「マスター」

「ご主人様、私にも下さい!!」

「こん、私にも!!」

「はいはい」


 俺は、せんべいを取って3人に渡す。皆で音を響かせながら、せんべいを食べた。悪くないなぁ、こういうのも……。ふぅ、お茶が美味しい。


「サンサさーん、居るかい?」

「うん?居るよー!!」


 何やら玄関先から声が聞こえる。サンサさんがその声に答えると、足音がこっちに近づいてきた。暫くすると、足音の主は俺達の前にやってきて止まる。その人は、顔から察するに、気の強そうな少女だった。アリーより、気が強そうに見える。やばいな……。頭には布を巻いて、髪は三つ編みのおさげか。軽く見た感じ、ちょっと鍛えてる感じかもしれない。まぁ、マッチョってほどではないけど、普通の女の子よりは力がありそうだ。


「あれ、女性ばっかだね。いつもの筋肉たちはどうしたの?あと、サラサいるじゃん。帰ってきたの?」

「ああ、リサ。今日帰ってきたんだ」

「ふーん、まぁ、お帰り。あっ、それでなんだけどサンサさん。ちょっと設営に人手が足りないんだけど、手伝ってもらえるかなぁ。あとで、うちの屋台でおごるからさぁ」

「うーん、まぁ、良いよ。今日は機嫌がいいんだ。ぱっぱとやっちゃおうかね」

「やりー!!さぁさぁ、行こう行こう!!……良かったら、サラサも来てくれないかなぁ。ほんと、準備が遅れててさぁ」

「仕方ないな……」

「やったー!!」

「それじゃあベイ。ちょっと行ってくるよ」

「……ベイ、私達も行ってみない?祭りの準備なんて、そうそう見れるものでもないし」


 そう、アリーが提案してくる。俺としては全然構わないが……。


「ああ、駄目駄目。あんた達、明らかに力なんてないでしょう。力のない子は、来るだけで邪魔だからね。来ちゃ駄目だよ」


 そう、リサと呼ばれた少女は言う。


「いや、リサ。この人達は……」

「ほう、このミルクが居るのにもかかわらず、力がないと言いますか。どうやら、分からせる必要があるようですね」


 ミルクが、俺から降りて立ち上がる。間違いなく、この中で一番のパワーファイターだ。だが、その見た目では、その力を見極めるのは難しい。というか、無理。


「へー、あなた、力に自信があるのね。その小さな身体で?」

「ふっ……」

「へっ?」


 リサのやすい挑発に、ミルクは乗るようにしてリサを押す。しかも指先で。勿論、リサは少し吹き飛んだ。それを、サラサがキャッチする。


「えっ?」

「流石ミルクさん」

「これで分かったでしょう。むしろ、貴方のほうが足手まといと言う感じなんですよ。私達レベルになるとね」

「嘘、あり得ない」

「世の中は広いんだ、リサ。さぁ、行こう。アリーさん達も、ベイも」

「そうね。行きましょうか」

「ああ」


 まだ、驚いて固まっているリサをサラサが担いで、俺達は町へと降りていく。町の中央付近に行くと、巨大な木造の建築物を作っている途中だった。その付近で、サラサは止まる。


「おーい、リサー!!」

「父さーん、サンサさん呼んできたよー!!あと、おまけの人達も!!」

「おまけ……」


 ミルクは不服そうだが、実際着いて来ただけだしな。それで違いないだろう。しかし……。


「この建築物は何だ?何かの物見台か?」

「まぁ、そんなもんだよベイ。これで、倒した熊の大きさを測っていくんだ。祭りのメインイベントに、欠かせない大事な建築物だよ」

「なるほど。しかし……」

「デカイだろう。私も、そう思う。だが、あれぐらいの熊が、普通に出る祭りなんだ。あれぐらいないとな……」

「……、マジかよ」


 あれぐらいデカイとか、どんな熊だ。普通の熊があの大きさになるとして……。……片腕で、人間まるごと潰せそうだな。化物過ぎる。


「サンサさーん、ここまでその木材を運んでくれー!!」

「分かったー!!」

「何だ、そんなことですか……。ミズキ」

「ああ」


 ミルクの合図で、たちどころに木材が宙に浮かぶ。後は自動的に、指定された位置に木材が積み重なっていった。まぁ、ミズキが水の糸でやったことなんだけど。はためには、そう見えるだろう。


「!?」

「おおー、凄いねぇ。あんたら、魔法使いだったのかい」

「いや、ニンジャです」

「に、ニンジャ?」


 また1つ、ニンジャミズキ伝説を残してしまったようだ。有名になるな。


「なんだか分からんが、ありがとー!!」

「さぁさぁ、ご主人様。仕事も終わったようですし、少し見て回りましょうか」

「ああ、そうだな」

「え、嘘。もう終わった。はやっ」

「リサ。この人達は、そういう人達なんだ。侮らない方がいい」


 驚くリサを尻目に、俺達は、別の気になる建物へと移動していった。



作者誕生日による、月曜特別更新

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