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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・六部 攻撃魔法のスペリオ家
248/632

一方その頃・・・

*****


「マイマスターもいない今!!アリーさんも、先輩方もいない今だからこそ。皆さんが話し合うべきだと思います!!」

「ふむ、我々が話を……、か……」

「そう言えば、軽い話ぐらしかしてないよね」


 アルティが皆を一室に集め、食べ物を持って集まろうと言い出した。なんだろうと思いつつも、皆暇なのでその提案に乗ることにする。すると、アルティはそう言い出したのである。その提案に、サラサと、レラが賛同した。


「確かに、同じ妻同士だっていうのに、あんまり話してないわね。私達……」

「ロデは、まだ決まってないんじゃあ……」

「私の中では決まってるのよ、ロザリオ」

「2人は仲良しだねぇ~」


 皆が話を広げようとする中、ニーナだけが所在なさ気にお茶をすすった。すると、アルティが身を乗り出して言う。


「良いですか、皆さん!!はっきり言いますが、皆さんは出遅れています!!」

「むっ!!」

「えっ」

「嘘」

「……過ごした時間の差って奴ね」

「ベイ様とは、知り合って間もないですし……」

「ちっがーーーーーーーーーーーーーーーーーーう!!!!」


 更に、アルティは身を乗り出してテーブルを叩いた。そして、大げさに腕を広げる。


「良いですか?過ごしている時間も、決して間違いでは有りません!!ですが、かなり外れています!!その答えとは……」


 アルティは、身体に力を入れ、溜めに溜めてその答えを解き放つ。


「お色気です!!!!!!!!」

「「「「「お色気ー!!!!」」」」」

「そう、その通り!!お色気です!!皆さんは、その一点においてかなり出遅れているのです!!」

「ど、どういうことだ!!私だって、最近は頑張っているぞ!!ベイの、その……。揉んだりとか」

「あんな肩や、腕を揉む程度のマッサージみたいなのでは、お色気判定に入りません!!」

「な、なんだと……!!」

「ふふ~ん、その点なら、私たちは頑張っているわよね。サラ」

「うん、レノン」

「あっま~~~~~~~~い!!!!甘すぎる!!!!」


 アルティは、身を乗り出して2人に詰め寄った。2人は、その迫力に押され、たじろいでしまう。


「「ひぃぃぃいいいいい~~~~~、なんでーーーー!!」」

「何でですって?分かっていないようですね!!では、私が教えてあげましょう。あなた達の今までしてきたお色気は、所詮押し付けでしか無いのです!!」

「「えっ!!」」

「良いですか?アリーさん達は、自分よりもマスター優先で動いているんです!!あなた達は、自分の欲望優先。そこが、大きな違いだと言っても良いでしょう!!分かりますか、この違いが!!アリーさんや、先輩方がしているお色気こそ、真にマスターを癒やすマスターの為のお色気であり、お互いにとっていいことづくしなお色気なわけです!!」

「なるほどな……。アリーさん達は、そんな気持ちで……」

「た、確かに」

「そう言われると……」


 アルティの力説に、レノンとサラは思わず考えこんでしまう。するとアルティは、標的を変えてロデと、ロザリオを指差した。


「特に、そこの2人!!」

「「は、はい!!」」

「この前の親睦会では、特にアピールすることも出来ず、早々に撃沈してしまいましたね。しかも、マスターにされるだけされて、何も出来ず!!」

「え、えっと……、あれは、そういうゲームだし……」

「ええ、そうでしょう。ですが、アリーさん達はそんな中でも、マスターの名前を愛おしく呼ぶなり、サワサワするなりして、献身的に盛り上げていたのです!!」

「な、なんですって……」

「ベイ様の魅力にやられてて、完全に見てませんでした……」

「そりゃあ、凄かったですよ。ミルク先輩なんて、そりゃあもう……」


 アルティが、ジェスチャーで架空の乳を、寄せて上げて上下に動かしている。皆は、そう言えばそんな動きしてたなぁ。みたいな目で、アルティの動作を見ていた。


「……本当は、私だってこんなこと言いたくはないんです。本来なら、皆さんが気づいて、自分で動くまで待つべきだったでしょう。ですが、私は言わなければならないと思いました。何故だか分かりますか?」

「……」


 皆、沈黙で返す。誰1人として、アルティの意図を分かっていない。アルティは、悲しい表情を浮かべると、こう切り出した。


「はっきり言いましょう。うちのマスターは、化物です。それはもう、アリーさん達だけでは、耐えられないほどにね」

「「「「「「「!!!!!!!!」」」」」」」

「皆さんも、先の親睦会で思い知ったことでしょう。その威力、その技術。ええ、そうなんです。アリーさん達でも、先に倒れてしまうんですよ。マスターより先にね」

「そ、そうだったのか……!!」

「つまり、ベイ君は!!」

「ええ、完全に満足しきれていないでしょう……。それも、毎回ね」

「なんと……」

「ベイ様が……」


この発言に、一同は驚きを隠せなかった。ただ一人、ニーナだけが顔を赤くして縮こまってしまっている。


「ですから、皆さんの協力が必要なんです!!自分優先のお色気も、人によってはいい方向に向かう場合もあったでしょう。ですが、相手はマスターです。残念ですが、それでは盛り上げもそこそこに自分が先にやられてしまうのは、決定事項だと言ってもいいでしょう!!」

「なるほど!!」

「受け身じゃないと、確かにあれは耐えられないわね!!」

「その通りなのです!!アリーさん達でさえも、マスター1人に勝てないのですから、皆さんが唯の攻めをしたところで勝てるでしょうか!!敢えて言いましょう、無理です!!ですが、幸いにも我々は1人ではありません。心強い、多種多様な強みを持った妻仲間たちがいるのです。今日この日を機に、力を合わせて頑張ろうではないですか!!そして、マスターに勝ちましょう!!マスターの為に、私達のために!!」

「アルティ……」

「アルティちゃん」

「それが、今日皆さんに話をしましょうと、私が切り出した理由です。……お願いします、力を貸してください」


 そう言って、アルティは頭を下げた。そんなアルティの肩に、サラサが手を置く。


「当たり前じゃないか、私達は妻仲間だ。共に戦おう!!」

「サラサさん……」

「わ、私も、ベイ君の為に頑張る!!」

「私も!!」

「レノンさん、サラさん……」

「うーん、まずはベイ君の弱点を見つけないと……」

「誠心誠意、ベイ様のために尽くさせていただきます!!」

「ロデさん、ロザリオさん……」

「私達はどうすれば良いのかな、ニーナちゃん」

「……分かりません」

「レラさん、ニーナさん。ありがとう。良い仲間を持てて、私は嬉しいです……」


 アルティは、再度皆にお辞儀をした。その顔は感動に打ち震えていて、とてもではないが、ニーナやレラが口を挟む余地はない。アルティは、顔を上げる。


「皆さん、今確信しました。私達は、最高の仲間になれるでしょう。ですから、今日から会話を進め、連携を深めようではないですか!!皆のために、愛するマスターのために!!」

「うん、うん」

「異議なし」

「頑張りましょう!!」

「そ、そうね……」

「思いは1つ」

「えっと、私達は……」

「レラさん、諦めましょう……」

「それでは、今日はマスター達が帰ってくる間に、大いに語ろうではありませんか!!私達の友情に、乾杯!!」

「「「「「「乾杯!!」」」」」」

「「……か、乾杯」」


 そんな感じで、待機組の時間は過ぎていく。だが、数時間後。アルティに、念話が届いた。


「……少し出てきます」

「どうしたんだ、アルティ。真面目な顔をして?」

「ちょっとお使いを思い出しました。気にせず続けてて下さい」


 そう言うとアルティは、部屋を出て転移する。英雄と戦うために。


*****



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