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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・六部 攻撃魔法のスペリオ家
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水属性神魔級迷宮・死の雪山4

「なんだか分からんが、そのままで良さそうだな。君にも、強くなる理由があるということか……」

「……お聞きしたいんですが。何故、ライオルさんは寿命を延ばすなんてことをしたんですか?それに、こんなとこに籠もって修行までして。一体、何と戦おうと……」

「……昔な、強い奴と戦ったんだ。そいつと戦った時は、まるで戦争みたいな戦いでな。敵味方入り乱れての混戦だった。そんな中俺達は、先陣を突っ切って敵の親玉と戦っていた。親玉の従えていた側近9体を、俺の仲間たちが相手してな、俺は、親玉と1人で戦っていた。まぁ、強かったよ。最後まで、地に膝をつくこと無く俺と戦い続けた。俺も、今にもぶっ倒れそうだったがな。辛うじて、奥の手を残していたおかげで、あいつに勝つことが出来た。そいつがな、言ったんだよ。……こんな力では、本当の敵の足元にすら及ばないってな……」


 ……あいつらのことか。


「まぁ、嘘かもしれん。だが、死の間際に嘘を吐くとも思えなかった。嫌な予感がした俺は、こうして1人で対策のために力をつけているというわけさ……。それに……」

「それに?」

「最後の一撃を敵の親玉に放ったんだが……。手応えが微妙だった気がしてな。それに、気がかりもある。だから、こうしてるのさ。決着がちゃんと着いてないっていうのも微妙だからな」

「その為にわざわざ、寿命の延長を?」

「ああ。言っただろ、俺は臆病者なんだ。俺の家族が、いつか危険な目に遭う可能性がある以上、それを黙ってみていられなかったのさ。こんな事をしてでもよ……」


 なんだ。やっぱりこの人は英雄なんだ。人を守るために、ここまでの事をしている。こんな人を英雄と呼ばなくて、何が英雄なのだろう。史上最高に勇敢な臆病者だ。


「気がかり?」

「親玉が倒れた後、側近の何体かがいなくなっててな。ベイル、シャハト、バズラ、ミゴール……。あいつらも倒さなくちゃならない。特に、ベイルってやつは厄介でな。今の俺でも、倒しきれるかどうか……」

「そんな奴がいるんですか?」

「ああ。不死身のベイル、切っても切っても再生して、転移魔法も使える厄介な相手だった。まぁ、そんなに強くはなかったけどな。今なお生きて、力を蓄えているとすると末恐ろしい相手だよ」


 ……あれ? そいつ、俺達が倒してないか? うん? 待てよ。俺達が倒したのは、確か3体だよな。ということは、あと1体まだ何処かにいるのか? それとも、王国軍が倒したんだろうか?


「そう言えばこの前、魔王軍を名乗った魔物の団体が居たわよね」

「ええ。討伐されましたけど……」

「ああ。それは、俺も知っている。うちの連中が、魔道具で教えてくれることになっててな。さっさと向かったんだが、俺が着く頃には討伐されちまってた。……最近の軍隊は、強くなってるのかね? 連中は、Sランクの冒険者でも、気を抜くと死ぬレベルの相手だった気がするんだが……。まぁ、被害が少なかったのは、良い事だ」


 ああ、やっぱそのくらい強かったんだなぁ。一体化するまでもなく、倒せたのは行幸だったわけだ。うちの嫁達が、強すぎたせいもあるだろうけど。


「そんなことも、ありましたねぇ……」

「今なら、カヤが居なくとも瞬殺できるな……」

「あたしも、ミズキがいなくても余裕だよ」


 皆、あの時とは別段階の強さをしているからな。今戦ったら、間違いなく勝つだろう。レムも、フィーも、静かに頷いている。


「問題は、何体あいつらが出てきてたかなんだが……。良く分からなくてな。シャハトとミゴールが居たって話はあったんだが、ベイルとバズラの情報がない。全員逃げたか、あるいは誰かがシャハトとミゴールを倒したのか……」

「……私達では、そこまではわからないわね」


 ……アリーには、話しましたけどね。とぼけるのが上手い。


「まぁ、誰かが倒してくれている分には良いんだ。問題は、バズラが出てきてないということだな」

「何か重要なんですか、そいつは?」

「ああ。あいつは変わった魔物でな。他の魔物と、合体する特性を持っていやがる。敵の親玉と、よく組んでいたんだが……。そいつが出てきてないとなると、あいつも生き残ってる気がするんだよなぁ……。ちっ、やっぱりベイルの野郎のせいだろうな。嫌なやつだ」

「と言うことは、魔王はまだ……」

「……可能性は高いな」


 ええーー!! 魔王、まだ倒されてなかったのかよ!! つまり、当時聖魔級クラスだった魔物が、鍛えに鍛えて今も生きてるってことだろう? うわー、何それ。最悪の敵じゃん!!


「だが、もしかするとあいつは出てこないかもしれない。本当の敵とやらに、備えているとすればだが……」

「……」


 えっと、つまり創世級と戦う頼もしい仲間かも知れないってことですかね? だったら嬉しいなぁ……。そうだと良いなぁ。


「だとしても、気が抜けないのは確かだ。君たちも、何かあったら俺に知らせて欲しい。今の俺なら、強くなっているあいつとも渡り合えるだろう。気兼ねせず、呼んでくれ」

「はい、その時はお願いします」


 俺達が、ライオルさんの話を聞いている間。ヒイラは、1人魔法書を見ていたようだ。物凄い速さで読み終えると、俺に近づいてくる。


「ベイ君、分かったよ。教えてあげるね」

「ああ、ありがとう、ヒイラ」

「……ところで、今日魔法書を取りに来た理由は何なんだ?」

「えっ、理由ですか?……ちょっと、強敵と戦うことになりそうなんで、その対策を取りに」

「強敵かぁ。一体、どんな奴なんだ?」

「私の家に伝わる、3体の神魔級召喚獣よ。それの対策を取りに来たわけ。ライオルさんなら、どれだけ強いか知ってるでしょう?」

「ああ~、あいつらか!!確かに、強いわ!!俺でも、ちょっと戦いたくない」

「まじですか……」


 伝説の英雄でも相手にしたくないって、よっぽど強いんだろうなぁ。ああ、気が重い。


「しかし、何でまたあいつらと……」

「それはですね……」


 俺が、おおまかに理由を説明する。アリーが補足を入れながら、だいたい説明し終わった。


「あはははは!!そいつは仕方ないな!!思う存分、ぶっ飛ばしてこいベイ君!!かつての仲間だったが、そんな理由なら俺は許そう」

「ありがとうございます」

「……しかし、不安だなぁ。あいつら強いからな……。……よし、ベイ君。俺が練習に付き合ってやろう!!」

「えっ!!」

「俺が、魔法の練習相手になってやるって言ってるんだよ。あいつらの動きも知ってるしな、良い練習になるだろう。さぁさぁ、さっさと魔法を覚えた覚えた。愛の為に、頑張ろうぜ!!」

「は、はぁ……」


 何だかんだで、俺は伝説の英雄と戦うことになってしまった。



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