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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・六部 攻撃魔法のスペリオ家
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水属性神魔級迷宮・死の雪山1

「よーし、いい時間になったし、お昼にしよう!!」


 ライアさんがそう言う。少しお昼を過ぎたくらいだろうか。確かに、いい時間だな。俺達は、軽く皆で料理をして食事を済ませた。その日の残りは、アリーとヒイラに、迷宮での動きなどの指導をして終わった。翌日の朝。食料を持ち、防寒着を着こみ、俺達迷宮探索組は、最初にこの家に転移してきた場所、魔法練習場に集まっていた。


「ベイ君、気をつけてね」

「ああ、ありがとうニーナ」

「ベイなら大丈夫だと思うが、気を抜かないようにな」

「ああ、サラサ」


 軽く、残る皆に行って来ますの挨拶をする。でも、ここから出てもまだ敷地内なんだから、今しなくても良いんじゃないかと思った。どうせ、家の玄関からでて歩きだろう。俺は、そう思っていた。


「よーし、皆集まったね!!トイレとかは大丈夫?なら、よーし!!それじゃあ、行こうか!!」

「ヒイラー!!行くなー!!死ぬぞー!!」

「お父さん……」

「大丈夫大丈夫!!なんたって、私がいるしね!!」

「でも、でも、お父さんは心配なんだー!!特に、1人男が付いて行くところとか!!」

「いい加減黙りなさい!!」

「あびひょ!!!!」


 ライアさんに、ヒイラのお父さんは軽くビンタされる。そして、なくなく見送りの家族の列に戻っていった。


「気をつけてねヒイラ、アリーちゃん」

「お母さん、はい!!」

「行って来ます、おばさん」

「ベイ君。ヒイラをよろしくお願いします」

「はい、任せてください」

「よし、それじゃあ行こうか!!」


 ライアさんが壁に向かって腕をつき、魔力を流し始めた。すると、魔法練習場の壁が開いて、道が出来ていく。……まさかの地下道か!!


「しゅっぱーつ!!」


 ライアさんが先頭に立って、風魔法で飛び出していく。俺達も、それぞれの高速移動方で後を追いかけて行った。20分ほど飛ばしただろうか。明るく、広い空間に俺達は出た。ここは、山の中か何かだろうか? 土に囲まれた空間に、天井に薄っすらと亀裂が入り、光が差し込んでいる。そして、その空間の中心に、怪しい魔力の空間が存在していた。……こんな所に雪山があるとか、意味が分からない。だが、確かにその神魔級迷宮は、そこに存在していた。山の中に、山があるとか、訳が分からんな。


「うん。じゃあここからは、気をつけて行こう。……行くよ」


 恐れずに、ライアさんは進んでいく。一人で先に、神魔級迷宮に入って行った。


「あ、ああ……」

「ヒイラ……」

「ベイ、君……」


 ヒイラの腕を、ギュッと握ってあげる。すると、ヒイラはすぐに通常通りの顔に戻った。やはり、ヒイラにはまだ早かっただろうか? まぁ、行けそうだし良いか。このまま行こう。俺は、ヒイラと手をつなぎながら、迷宮に入って行った。


「……さっぶ!!!!」

「ベイ!!」


 即座に、アリーが抱きついてきた。まぁ、寒いもんな。ひっついた方が暖かい。だが、ここは神魔級迷宮。移動を制限するような行為は、命取りになるのだ。でも、俺は怒らない。抱かれて幸せだからだ。


「予想以上に酷いわね、こりゃ……」


 ライアさんが、吹雪いている中で地図を広げる。そして、俺達を集めて隊列を組み直した。


「良い?私が先頭に立って歩くわ。皆は、出来るだけ離れないようについてきてね。この視界だと、すぐにはぐれてしまうかもしれないし。前の人を見失ったら、すぐに大声で叫ぶのよ。皆で後退するから、そこで待つように」

「はい」


 一応の決まり事の確認をして、俺達は雪の中を進んでいく。カヤを中心にして、周りの空気を温めてもらいながら進んだ。さて、こんな牛歩であの山まで何時間かかるかな。俺は、そう思いながら歩みを進めた。



「……久しぶりの客かぁ……」


 ベイ達の侵入に、1人気づいている者がいた。白いローブをかぶったそいつは、洞窟から抜け出て山の麓を見渡す。


「おかしな客だな。魔力が強すぎる……。まるで……。いや、普通の人間もいるしなぁ。それはないか。さて、あいつの子孫か、あるいは別の奴らか。どちらにしても、確かめなきゃならんかな……」


 男は、自分の顎に手を当てて考えていた。すると、ふと気づく。俺、髭なげぇなと。


「……人に合うことなんて無かったからなぁ。剃ってから行くか」


 懐から、小さなナイフを取り出す。男は洞窟に戻り、髭を剃ることにした。



「……」

「主」

「今、あそこになにか居なかったか?そんな気が……」

「はい、私もしました。しかし、敵意というか、観察されたというか……」

「ああ、そうだな。そんな感じがした。……魔物か?」

「可能性はあるかと……」


 吹雪いている景色の中、俺達は薄っすらと見えている雪山に目を向ける。間違いなく何かが居る。俺とレムは、そう感じていた。


「……ライアさん、止まって下さい」

「うん、どうしたのベイ君?」


 俺は、雷魔法の弾丸を遠くの雪面に向かって撃ち放った。その数、20。……暫くして、魔法が地面に着弾し、獣の雄叫びを響かせた!!


「えっ!!あんなとこに、魔物が!!」

「最初から伏せていたんでしょう。あの魔物、いや、狼達は……」


 雪面を蹴って、仕留め損ねた狼型の魔物が、5頭ほどこちらに向かって駆けてくる。速い、流石神魔級だ。だが……。


「失せろ、野良犬共」


 うちのカザネの方が、もっと速い。狼達の首は、駆けている途中で、ズルっとその胴体から落ちていた。一瞬で移動してからの、ウインドカッター。えげつない倒し方だな。


「す、凄い」

「流石、カザネね。頼りになるわ」

「恐れいります」


 その後も、狼型の魔物の群れと何度か戦闘をこなした。他には、サソリみたいな奴、熊みたいな奴、雪の玉の塊のような魔物が居た。だが、出会った大半は狼型の魔物だった。連中は毎回隠れてはいるが、魔力で探っている俺達からすれば丸見えだから、隠れている意味が無い。本当は、不意打ちがある分、強いんだろうなぁ。俺は、そう思いながら狼をさくさく倒して行った。


「おっ、そろそろ山に入りそうだね」


 ゆっくりと登り坂になっている斜面を、俺達は踏みしめていく。……魔物とも違う、何か得体のしれない気配を感じながら、俺達は山に入って行った。



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