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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・六部 攻撃魔法のスペリオ家
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準備をしよう

「ああ、大丈夫だよベイ君。ちょっと特殊な迷宮だから、世に知られているような水属性神魔級迷宮とは違うよ。まぁ、楽じゃないけど、呼吸出来ないほどではないよ」

「えっ、そうなんですか。……ほっ」

「ほっ……」


 カヤも安心したような息を吐いている。まぁ、水の中は一体化してないと不安だからな。アリー達を連れて水中とか、かなり辛い。


「というわけで、改めて準備をしに、倉庫へGO!!」


 ライアさんが、倉庫に向けて移動していく。俺達もその後を付いて行った。勿論、俺は浮いたまま。……2時間浮いたままって、なんか変な感じだな……。皆歩いてるし、俺だけおかしな人みたいだ。まぁ、カザネも浮いてるけど。


「えっと、コレでもない、この箱でもない……。ああ、あったあった」


 ライアさんが、倉庫から服を取り出してきた。見た感じ厚手の服だな。冬物って感じの服だ。今、夏だけど。


「あと、これとこれと、良し、これで寒くないわね」

「寒く?」

「そう。水属性神魔級迷宮・死の雪山。一年中豪雪が吹きすさぶ、最悪の寒冷地帯。居るだけで動きが鈍くなっていき、体力と魔力を奪われていく死の世界だよ。でも、これを着込んでいけば魔力を少しは節約できるから、楽になるという訳さ」

「なるほど……」

「はい。ベイ君達には、これ」

「何ですか、これは……」

「火の魔石だよ。少しずつ熱を発散するように作ってある特殊な作りだから、これで雪山でも大丈夫ってわけ」

「なるほど」


 つまりカイロか。魔法は便利だなぁ。まぁ、寒かったら自分の魔力で暖まればいいか。カヤもいるし、暖を取るのに心配はいらないだろう。寒さで死ぬことはなさそうだ。


「そして、もう一つ問題があるんだよ」

「もう一つですか」

「そう。雪山だから、かなり歩きづらい。道もないし、降り積もった雪の上を歩くしか無いし、もう足を雪に取られっぱなしになるよ。でも、それを回避する方法がある。それを今から練習しようか」

「はい」


 また、ライアさんは移動していく。付いて行くと、大きな泉についた。家の近くに、こんなところがあるのか。すげぇな……。


「見てて」


 ライアさんが、泉に向けて一歩を踏み出す。すると、ライアさんの足元が凍り、氷の足場が出来ていた。そうやって、ライアさんは泉を進んでいく。なるほど、雪を固めて足場を良くすると言うわけか。それなら、雪に足を取られないな。


「よし、じゃあやってみよう。ベイ君は、浮いたままで!!」

「はい」


 俺と、アリーとヒイラが泉を凍らせていく。そんな中、ミズキは凍らせもせずに水上を歩いていた。流石ニンジャだ。これぐらい訳ないぜ。


「あたし達は、どうする?」

「私とミズキが、皆の足場を請け負いましょう」

「よろしくお願いしますフィー姉さん。ミズキ」

「うむ、任された」


 うちの皆も大丈夫そうだな。あと、ライアさんは言わなかったが、多分滅茶苦茶視界が悪いだろう。雪が降ってるなら、そうなるだろうなぁ。魔力での気配察知を、後でアリー達に教えとくか。そうしよう。そして、アリー達が水上を凍らせて動く練習をしている間に、2時間が過ぎた。ようやく降りれる。俺は、ライアさんに確認をとってから浮くのをやめた。これでもう、ヒイラの父さんになにか言われなくて済むだろう。肩の荷が、1つ落ちた気分だ。ふぅ……。


「あと一つ、やっておくことがありますね」

「うん?なんだ、ミズキ?」

「殿、魔力隠蔽を解除して下さい」

「……はぁ?」

「いやいや、ミズキ!!ここではまずいでしょう、ここでは!!さっきの長老さんとか、心臓が止まって、ぽっくり逝きかねませんよ!!」

「むっ、それもそうだなミルク。それでは殿、別の場所でやりましょう。アリーさんと、ヒイラさんが何処まで我慢出来るのか、見ておかないと」

「ああ~、そういう……」


 と言っても、前にカザネにやった時から格段に実力が上がってるから、かなりやばいんじゃないか?……少し、抑えめでやるか。


「魔力隠蔽?」

「ああ、何でも無いですよ、ライアさん。こっちの話です」

「そう?ベイ君も私と一緒で、魔力の発散を抑えてるのかと思ったんだけど?」

「うん?ライアさんは、そういうことをやってるんですか?」

「そうだよ。鍛えすぎたせいか、ライアさん怖い!!って周りの人に言われまくる時期があったからねぇ。いろいろ考えた結果、魔力を体の内側で抑えるようにしてあるのさ。これで、怖がられなくなったんだよ。ベイ君も魔力量あるみたいだし、同じことしてるんじゃないかと思って」

「へー、そんな方法が……」

「ありゃ、違ったか」

「まぁ、似たようなもんですが……」

「あ、やっぱり……」


 能力での隠蔽以外にも、抑えるって方法もあるのか。そりゃあ、ライアさんも強力な魔力の持ち主みたいだし。垂れ流しにしてたら、そうなるか……。意外と、強い魔法使いの間では主流な技術なのかもなぁ。


「ともかく、移動しましょう」


 ミズキが、指を立てて集中する。すると、俺とアリーとヒイラとミズキは転移した。……昨日の山かな? ここなら、大丈夫かな?


「よし、それじゃあやるか」

「ベイ、お手柔らかに……」

「お願いします」

「うん」


 俺は、目を閉じて神魔級迷宮で感じた威圧感に近くなるように魔力を開放していった。徐々に、アリー達の身体が強張っていく。ヒイラが変な汗をかき、辛そうな表情をしていた。大丈夫かな?


「こ、このくらい……」

「ふむ、お二人共大丈夫そうですね。殿の魔力でこれだけ耐えられるのなら、迷宮でも大丈夫でしょう。ボス戦以外は……」

「ボスは、これ以上なの!?」

「いえ、威圧感はこれより楽でしょう。単に、実力的な問題ですね」

「そ、そう……」


 アリーは、ホッとしたような表情を浮かべた。ミズキからのOKが出たので、俺も魔力を元にも出していく。ここに来たついでに、俺はアリー達に魔力での魔物の察知の仕方を教えた。そして、皆が待つ泉へと帰っていく。


「シデンちゃん、支えててね!!」

「分かってますよ、ニーナさん」


 帰ると、ニーナとロザリオがシデンの鎖で支えられながら、水の上を凍らせて歩く練習をしていた。微笑ましい。バランスを崩しそうになりながらも、シデンの支えもあって、2人はなんとか泉を渡り終えた。




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