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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第一章・二部 青と赤と魔王軍
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水属性上級迷宮

「水属性上級迷宮で新たな魔物発見。犠牲者多し?」


 冒険者ギルド前の張り紙を、俺は見ていた。ミルクの修行にいい場所はないものかと、

考えては見たが、地図とにらめっこをしても答えはでない。魔物のことは、狩りを専門にしている冒険者にってことで冒険者ギルド前に来てみたわけだが、この張り紙があった。


「う~ん、なんだこの挿絵?タコか、イカか?」


 相手魔物の特徴が、絵と説明文で書かれている。水から這い出ている4本の触手、色が黒のみで書かれているので間違っているかもしれないが、2本は色分け的にタコで、もう2本はイカのように見える。で、水の中に2つの目?が光っているようだ。4本の触手で水中から襲撃を仕掛けてきてよく切れる水魔法? で冒険者に多大な被害を出しているらしい。なお、黒い霧をだして逃げ、まだ討伐されていないとのこと。う~ん、聞けば聞くほどタコかイカだなぁ。


「(ふむ、面白そうな相手ですね。属性的にきついですが、修行的には、そのぐらいがいい気がします)」

「(強そうな相手ですね、マスター)」

「(位置的には、我々であれば数時間でいける距離ですね。上級ですし、難易度的にも調度いいのでは?)」


 皆、すでに行く感じになっている。俺達は、数時間でいけるって言っても歩いて4日かかる距離ですよ。なんか成長したなぁって実感を一気に感じる。まぁ、今なら一回いけば、レムの転移魔法で一瞬で行き来出来るようになるけども。


「う~ん、じゃあ行ってみるか?」


 タコかイカか、どちらにしても美味しいかもしれないなぁ。と、何故か食欲が刺激された俺だった。とりあえず、帰って準備をする。この前使わなかった帰還の宝珠、ミルク製魔力回復薬。あと、レムと協力して魔石のランクアップをした。しかし、一瞬で出来る。俺1人だと、この下位のランクを作るのに数日かけてたのに。まぁ、作業が早いのは、いいことだよね。で、時間がだいぶ余ったので、レムと練習場で戦闘訓練をしたわけだが。


「まじかよ……」


 はっきり言って、まったく勝負にならなかった。俺が1回切り込みに行く間に、10回は死んでる。差が開きすぎて俺とフィーの2人で相手にしても、規格外すぎる強さに何も出来なかった。剣すら振り切る暇がなかった。アカンでしょこれ。


「(いや、そんなもんですよご主人様。私も、一発も当てられませんでしたからね。もうちょいなんですがねぇ……)」


 ミルクでも当てられないとか、どうなってるんだ。しかも今のレムは、だいぶ手を抜いているのだろう。鎧すら着てないし、持っているのは木の棒だ。でも、あの速度で当てられたら死ぬな。


「主、フィー姉さん、全力でどうぞ。私が、高い壁となってお2人の成長を、お手伝いいたしましょう」


 木の棒を中段で構え、レムは言う。確かに、ここまで差があると安心して全力を出せるな。俺とフィーは、くったくたになるまでレムと戦った。目で追うのもやっとだったが、これを続ければ確かに段違いに強くなれそうだ。強制的に……。


「ああ、限界だ。ハァ、ハァ……」

「(むぅ、ご主人様がはぁ、はぁ……、だなんて。エロいですね。ときめいちゃいますよ!!ふふふ)」


 くっそ、ミルクがでかすぎるせいで、召喚して殴るというツッコミがむやみに出来ない。しかも、限界まで身体を動かしたせいで言葉で突っ込む気にもならない。フィーも俺に寄りかかって、ぐったりしている。回復魔法をかけてあげよう。


「フィー、回復魔法をかけるぞ」

「は、はい!!」


 何故か、返事が元気だ。俺も巻き込んで、ヘブンズキュアをかける。う~ん、自分で浴びるぶんには普通なんだけど、他人には違うのは何故だ。


「ひっ❤❤うっ❤❤」


 ほら、やっぱこんな感じだし!! うーん、召喚を解除して俺ごと回復が1番いいかもしれないなぁ。


「(はぁ、早く私も回復魔法浴びたいです。抑えられない衝動で、ご主人様とあんな事やこんなこと……。あ、でも、今の身体ではしたくないですね。完全に、ご主人様が襲われてる絵にしかなりませんし)」


 ……今のミルクにかけるとしても、回復魔法は上級で抑えとこう。なんとしてもその絵は避けねば。そしてフィーは、俺に抱きついたまま動かない。いや、若干身体をくねらせている気がする。フィーが離れるまで、なぜかレムも俺の手を握っていた。


「(うがああああああああ!!2人共!!!!)」


 ミルクだけは、嫉妬の炎に包まれていた。



 翌日になって、水属性上級迷宮に出発した。迷宮に近い風属性迷宮に転移してから移動する。だいたい4時間ほどかけて到着した。


「これは、なんというか」


 そこは、少しおかしな空間だった。森のように木々が生えているが、木の色が全体的に水色や青色のように見える。そして、どこから来ているのか分からないが、幅広い水の通り道がそこかしこにあった。まるで、道を制限するように配置されている。その川を注意して覗いてみるが、濁っていて底が見えない。上を眺めてみると、ボスが居るはずの魔力空間の柱が見えなかった。どこかに、部屋のような空間があるのかもしれない。


「レム、フィー、どうだ?何か分かるか」


 レムとフィーに聞く。ミルクは、でかすぎるのでお目当てと戦うまでは召喚しない。迷宮にやってきた冒険者に、近づかれても嫌だしな。今のいかついミルクを見て、近づいてくるってかなりの物好きだが。それでも、視線を集める巨体には違いない。戦うときは、邪魔が入らないようにレムに周りを見張ってもらう段取りだ。


「私の周りから、魔物が逃げていきますね。強そうな魔物がいる位置なら把握出来ました」


 まぁ、今のレムと戦うのは、死に等しいからな。野生の魔物も必死なんだろう。俺たちも、仲間じゃない今のレムほどの強さの魔物とあったら、逃げるか、レムに任せるかしかない。


「おし、じゃあそこに行こう。大丈夫だと思うが、フィーも一応警戒しといてくれ。水の中から、不意打ちがあるかもしれないしな」

「はい、マスター!!」

「少し、魔力を抑えておきます。逃げられても、嫌ですし」

「(うう、私も早く出て暴れたいです!!)」


 そして俺たちは、移動を開始した。思ったより冒険者が来ているらしく、接触を避けての道選びが大変だった。皆、あの魔物が目当てだろうか。森を進むと、岩で出来た洞窟のようなところに出た。中まで水の通路が続いており。その横に俺達が歩くことの出来る道幅もある。


「この中にいますね……」


 この洞窟内に、縄張りをもつ魔物は多いらしい。進んでいくと、何度となく水の中から不意打ちをされそうになったが、何かされる前に近づいてくる魔物を全てレムが闇属性中級魔法ダークブラストで撃ち抜き倒していた。もう進むだけで水の上に魚型魔物や、うつぼ型、貝型、ザリガニ型の魔物が死んで浮いていく。やはりレムは圧倒的だ。フィーも敵に気づいているようだが、レムのほうが攻撃が早い。フィー、一緒に強くなろうな。俺も、魔力で敵の位置把握をしようとしているが、まだまだフィーやレムのほうが範囲が広く、むらがない。がんばろう。


「ここですね」


 洞窟内を降りるように進んでいくと、ミルクが出ても大丈夫そうな広い空間に出た。俺達の立つ広い幅のある道の両脇にでかい水溜りがある。早速、ミルクを召喚してあげた。が、それだと道が狭いので俺たちは下がる。


「(お、ここなら暴れても問題なさそうですね!!都合がいいです)」


 と、意気揚々とミルクが出てきて運動をしていると。


「グワアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 っと水溜りの中から、ミルク並にでかいサメが顔を出した。まるでB級映画みたいだ。


「ここ、もしかしてボスフロアじゃないか?」

「のようですね……」


 ミルクと巨大ザメの戦いが始まろうとしている中、サメと反対の水溜りから覗いている影に、俺達は誰も気づいていなかった。




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