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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・六部 攻撃魔法のスペリオ家
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武闘派魔法使い

「さーて、次の修行はこれよ」

「これですか」


 とある場所で、ライアさんは足を止める。俺達は、その場所を見渡した。……どう見ても崖なんだが、大丈夫だろうか。


「ふふふ、ここは山頂の最も高い位置から見渡せる崖よ。そして、風が吹きすさぶ、強風ポイントでもあるわけ」


 そう言うとライアさんは、片足でぎりぎり乗れるような不安定な岩の足場に飛び移る。そして、吹きすさぶ強風から風魔法で身を守って、バランスを保っていた。今度は、そういう修行なんだろうか?


「はい、皆も同じようにして~」


 ライアさんの合図で、俺とアリー、ヒイラ、ニーナ、ロザリオが、ライアさんが新しく作った同じような不安定な足場に飛び乗る。……ニーナとロザリオ大丈夫かなぁ。すごく不安だ……。


「それじゃあ、今から戦闘訓練をしまーす!!」

「……はぁ?」

「ベイ、ルールはこの不安定な足場にしか乗っちゃいけないことよ。それ以外は、延々と戦闘訓練。まぁ、私達の学校の大会の、足場が悪いバージョンってことよね。あと、対戦相手が複数ってとこかしら」

「そうそう、皆が皆、他の全員を狙う気で攻撃してね。まぁ、ニーナちゃんと、ロザリオちゃんを助けるのは良しとしましょう。ちょっとその2人は、不安な気がするからね」


 そりゃあそうだろう。既に二人共ビクついて、腰が引けてしまっている。つついたら落ちそうだ。


「それじゃあ、始め!!」


 合図とともに、ライアさんが20発の炎の弾丸を射出する!!俺達に、それぞれ4発ずつの攻撃をして来た。


「「ひええええええぇぇぇぇぇぇえええええええ~~!!!!!」」


 ニーナとロザリオが、かなり必死な体勢で回避のために飛び退く。だが、お互いに同じ場所に飛び乗ろうとしたため、早くも落ちそうになっていた。


「あ、ちょ!!」

「お、落ち!!」


 バランスを崩しそうになる2人。その2人を、誰かが支えた。2つの鎖で2人を持ち上げて、別々の足場に下ろす。


「危ないですね」

「シデンちゃん……」

「ご主人様、私が2人のサポートをします。お任せ下さい」

「……ああ、頼んだぞシデン」


 どうやら、シデンも危なっかしくて見ていられなかったようだ。これで、2人に関しては安心出来るだろう。なんとなく、俺もホッとした。


「うーん、まぁ良いでしょう。面白い魔法を使うみたいだし、その2人のサポートを許可します」

「呑気に言ってる暇はないですよ、おばさん!!」

「おっと!!」


 アリーが、聖魔級強化をかけて、ライアさんに殴りかかった!! えー、そこまでするんですか、アリーさん。しかし、ライアさんも難なくその攻撃を避ける。 ? 今のどうやって避けた? 風魔法かな?


「よっと。アリーちゃん、少し合わない間に面白い魔法を身につけたね。前に、ヒイラちゃんが言ってたやつかな?」

「その完成形ってとこですかね……」

「なるほどねぇ。これは、迂闊に油断も出来ませんな~」


 言葉とは裏腹に、ライアさんの口調は余裕そのものだ。再び、ライアさんは足場を蹴って飛ぶ。すると、空中で瞬間加速した!!


「ふっ!!」


 ライアさんの空中回し蹴りを、アリーが受け止める。……最近の魔法使いは、武闘派なんだなぁ。怖い。そして、蹴りの衝撃で足場が壊れそうになったので、アリーが飛び退いた。別の足場に着地して、体勢を立て直す。


「うんうん、成長したねぇ、アリーちゃん。おばさん、嬉しいよ」


 ライアさんも、別の足場に着地した。着地の瞬間、ライアさんの足元から火花が散る。……火魔法か? いや、風魔法と火魔法の合わせ技って感じかな。それで、瞬間加速をしているのか。通りで速いはずだ。


「でもねぇ、大抵の魔法使いは接近戦に弱いかもしれないけれど、おばさんほどになるとそんな戦いは、嫌という程経験しててねぇ……」


 そう言うとライアさんの身体を中心に、風が逆巻いていく。その風は小さな竜巻となり、上にピンと伸ばしたライアさんの指先の上に止まった。


「だから……」


 ライアさんが、ゆっくりと指先をこちらに向ける。来るか……。


「その程度じゃあ、……私には届かない!!」


 ライアさんが、勢い良く指を持ち上げる。それと同時に、竜巻が俺達の中心に飛んできながら巨大化した!!


「うわあああぁぁぁあああ!!!!!」

「こん、大丈夫ですニーナさん。落ち着いて」


 シデンが、片方の鎖で2人を捕まえて、片方の鎖を地面に刺してバランスをとっている。だが、飛ばされるのも時間の問題だろう。


「くっ!!」


 ヒイラが、竜巻に向かって別の竜巻を発生させ、竜巻を相殺した!! 続けて、ライアさんに攻撃を仕掛ける!!


「炎神!!」


 巨大な炎の魔神の腕がその場に出現し、ライアさんに殴りかかった。しかし、ライアさんは涼しい顔をして目を閉じている。


「風神」


 パーーン!! と、炎の魔神の腕がはじけ飛ぶ!! そこには、風の魔力で出来た巨大な腕が存在していた。


「うーん、前よりは良い威力出るようになったね、ヒイラちゃん。でも、まだまだかな」


 風の腕から、徐々に体が出現していく。造形的にも筋肉モリモリで厳つい、風の魔神がそこに出現した。


「ああー、でも、今日はベイ君も、アリーちゃんもいるし。こいつ一体だと、ちょっと不足かもしれないね」


 そうライアさんが言うと、風の魔神と並び立つように、ライアさんの炎の魔神が姿を表していく。2体の巨大な魔神が、空中に吠え、辺りに爆炎と強風を撒き散らした。俺が、皆を庇うように風魔法でその衝撃を防ぎきる!!


「くっ!!」


 俺達の乗っている足場以外の地面が、一瞬にして火の海に変わった。ライアさんが笑みを浮かべると、2体の魔神がこちらに向かって身構える。


「さぁ、始めようか。修行を」


 ライアさんは、とても楽しそうな表情でそういった。……ちょっとやり過ぎじゃないか。いや、そうも言っていられないか。


「ベイ……」

「ああ。シデン、そっちは任せたぞ」

「お任せ下さい!!」


 俺とアリーは、ライアさんに向かって身構えた。



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