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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・六部 攻撃魔法のスペリオ家
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就寝

(10、いや11人俺の上に乗ってるのか……。それでも運べるんだから、我ながら凄いな……)

「主人、そこを右ですね」

「主様、そこ左」

「ああ……」


 肩に乗っているカヤと、カザネの指示でアリー達を追いかけて行く。と言うか、シデンが顔に抱きついてて前が見えないんだよなぁ……。シデンは降りる気がなさそうだし、このまま行くしか無いか……。


「うーん、やっぱり寝るようの部屋じゃないから、床が汚いわね。少し掃除するしか無いかしら……」

「おばさん、机移動させるわね。ヒイラ、そっち持って」

「うん」

「皆も頼む。ミズキ」

「承知」


 皆が俺から降りて、テキパキと机や椅子や、家具を運びだしていく。大きな棚もあったが、ミルクなら楽勝だ。その皆の脇で、ミズキが印を結ぶ。ニンジャっぽい……。


「水糸重網陣」


 ミズキのその言葉と共に、部屋の一面に水の糸が広がっていく。細かな水の糸は一瞬にして部屋を覆い尽くし、きめ細かな水の膜を張った。ミズキが腕を持ち上げて、物を摘み取る動作をする。すると、部屋に行き渡っていた水が宙に浮き、丸い球体となった。そのまま転移魔法で、水の球体は外へと捨てられる。部屋を見渡すと、まるで新品同様のように、壁も、床も綺麗になっていた。


「す、凄い……。ちょっと気になってた壁のシミも、カビも、ホコリひとつ無い。何、この魔力コントロール?ま、マジであんた、何者……」

「ニンジャ、そして殿の嫁です」

「に、ニンジャ?」


 何でも出来る。流石ニンジャだ!!この世界では知名度が低いようだが、いずれ伝説として語られていくだろう。ミズキの名前と共に。というか、今の魔力コントロール何?俺でも出来ないんだけど。


「ちょっと張り切りましたが、驚いて頂けたようですね。嬉しいです、殿」

「ああ……、ミズキは凄いなぁ……」


 何が凄いって、カビやホコリ、いわゆる汚れだけを水で絡めとっている点だ。そのコントロールは、極小の動作を完璧に行っていることを意味する。しかも、この部屋全体でだ。人間では出来ないだろう。脳が焼け死ぬ。


「殿なら出来ますよ」

「あはは、どうかなぁ……」


 無理です!!


「よーし!!ともかく掃除も出来たし、布団を敷きましょう!!こんなあり得ないコントロール、気にしてたら神経がやられそうだわ!!忘れましょう!!さぁ、行くわよ!!ヒイラちゃん、アリーちゃん!!」

「あ、待って下さい、おばさん!!」

「アリーちゃん、布団があるのは魔法道具倉庫だよ」


 2人は、ライアさんに連れられて行ってしまう。何もしないというのも手持ち無沙汰だし、俺も行くか。その後、皆でわいわいと布団を敷いて並べた。


「よーし、寝る準備はいいわね。あとは、晩ごはんかしら。流石にもう、家の子達は食べ終えてるでしょう。じゃあ、食堂に行きましょうか」


 ライアさんに付いて行って、皆で食堂に移動する。席に座ると、俺の隣にシデンがやって来た。


「えへへ、やっとシデンの番です」

「ああ、そう言えば次はシデンだったな。おいで、シデン」

「あ、ご主人様」


 俺は、隣りに座ったシデンを抱き寄せて、俺の膝の上に座らせる。ちょこんと座っているシデンが可愛い。


「ご主人様、ここではご主人様に、あーんがしづらいです」

「そうかなぁ?はい、シデン、あーん……」

「あ、あーん……、もぐもぐ」

「美味しいかい?」

「美味しいですけど、嬉しいですけど……。シデンがします!!ご主人様、あーん!!」

「あーん」


 率先して、シデンからリードを奪っていく。シデンが先に行動すると、ミルク並みに誘惑してくるからな。大事な行為だ。皆の前で、幼女に誘惑されるとか、どんなプレイだよ。いや、嫌じゃないけど、視線が気になるだろうし。仕方ないよな……。


「シデン、お口汚れてるよ。拭いてあげる」

「こん、ご主人様……!!もう……、そういうことは、シデンがしたいのに……」

「あはは、まぁ良いじゃないか」

「良くないです!!嬉しいですけど……、何か良くないんです!!」


 シデンが、俺の上でユサユサと体を揺らして少し怒っている。あはは、シデンは可愛いなぁ。皆の前でなければ、きっと狐耳と、しっぽを揺らして怒っていたことだろう。ああー、それやばいな。めっちゃ可愛いな。見たかったなぁ……。


「こん……、でしたら!!」

「むぐっ!!」


 シデンが、飲み物を口に含んで飲ませてくる。口移しかよ!!いや、流石にこれは、皆の前でするには高度過ぎるプレイでは?


「ぷはぁ~、美味しいですか、ご主人様?」

「ああ、美味しいよ……」

(見事です、シデン。後で、私がやりやすくなります)

(えっへんです)


 ……カザネとシデンが、目で語り合っている。大方こんな感じだろう。いや、君たちはいいかもしれんが、ライアさんの目線が痛いからね。少しは遠慮して頂きたい。まぁ、そんな感じで、食事は終わった。お風呂も入ったので、皆着替えて布団に潜る。ライアさんも、一緒に寝るんだな。そうか、監視役か……。


「こん、ご主人様、今日はシデンが腕枕してあげますね」

「えっ!!……いや、シデンには、抱枕になってもらおうかな」

「あっ、ご主人様……。分かりました。存分に抱いて下さい」


 シデンの細い腕枕とか、折りそうで怖いよ!!いや、魔物だから、見た目より耐久力は高いんだろうけど、精神的に辛い。抱きしめる方が無難だな。シデンって体温が高いのか、ぽかぽかして良いなぁ。良く寝れそうだ。


「さて、皆おやすみなさい。ヒイラちゃん、明日はやるわよ!!」

「ひいいいぃぃいいいいい!!!」

「あれをやるのね。まぁ、頑張ってねヒイラ……」

「アリーちゃんもやるんだよ?」

「えっ!?」

「まぁ、おやすみなさーい」

「おばさん、どういうことですか!!おばさん!!」

「……」


 アリーの問いかけも虚しく、ライアさんは寝てしまったらしい。速いな、寝るの。俺達も、そのまま寝ることにした。


「おやすみなさい、ご主人様」

「おやすみ、シデン」

「うぎぎ、シデン。羨まし……」

「ミルク、我慢だ……」

「分かっています、分かって……、います(後で、ご主人様の股下に行きましょう)」

「……」


 ミルクの心の声が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。そのまま俺は、眠りに落ちていった。





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