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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・六部 攻撃魔法のスペリオ家
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ヒイラの受難

 女性の買い物は、長いという。でも、男だって時間をかけて物を選んだりするだろう?何かいい物を買おうとするなら、悩んで時間が経ってしまうのは、当然のことなんだ。だが、この話題は、そこが問題点ではない。要は、人の買い物を待っている時間が苦痛だから、そういう感想が出てくるのだと俺は思う。もし、どれだけ時間が経っていても、その人と過ごせる時間が楽しいのなら、それはあっという間の時間のはずだ……。ああ、アリーと買い物したかったなぁ……。皆とも……。そう思いながら俺は、胸元からとある魔石を取り出した。


「ベイ、それって……」

「専属契約の時に、ヒイラに貰った魔石だよ。これがあれば、いつでもヒイラを呼べるんだったよな」


 俺は、早速魔石に魔力を流して、ヒイラを呼ぶ。魔石が淡い光を放ち、空中にヒイラを出現させた!!


「うわわっ!!」

「おっと……」


 俺は、お姫様抱っこの形で、ヒイラを抱き止める。可愛いお嫁さんが、戻ってきた。……でもきっと、これからややこしいことになるに違いない。ヒイラの暖かい感触とは裏腹に、俺の感は、嫌な感じをビンビン感じ取っていた。


「ああー、ベイ君……!!!」


 ヒイラが、俺に抱きついてくる。その顔は、とても嬉しそうだ。……可愛い。俺は、ヒイラのおでこにキスをした。するとヒイラは、照れたようにはにかんで笑う。


「ああああーーーーーーー!!!!!!!!!うちのヒイラちゃんに、何をしてるのーーーーー!!!!!!!」

「……」


 やはり、この人も戻ってくるか……。まぁ、そうなるわな……。


「何って、キスですけど……」

「はぁぁぁぁあああああああああああ?ヒイラちゃんに、キス!!!!だとおおおおおおぉぉぉおおおおおおお!!!!!!!不届きな奴だ!!!名を名乗れー!!!!!!」


 ロリっ娘が、怒り狂って地団駄を踏んでいる。可愛い。でも、歳上なんでしょう? きっと、子供扱いしたら、拗ねるに違いない。ここは、ちゃんとした対応をしよう。


「ベイ・アルフェルトと申します。ヒイラとは、結婚を前提としたお付き合いをさせて頂いております」

「あうう……」


 俺のその言葉に、顔を赤らめて、ヒイラは俯いてしまった。……このまま、ベッドに運んで行きたいくらい可愛い。


「ベイ・アルフェルト?聞いたことのない名前ね。それに、ヒイラちゃんに彼氏がいるなんて話も、聞いたことがないんだけど……」

「つい最近、知り合いましたからね。ご家族の方が知らないのも、当然だと思います」

「ふ~ん……、あのヒイラちゃんが、彼氏をねぇ……。……嘘くさぁぁぁぁぁあああああああああい!!!説得力がない!!!!!!!!!!」

「ふええ!!!!!!」

「……それは、どういうことですか?」


 俺がそう聞くとロリっ娘は、得意気に話し始めた。


「ふふ~ん、まず第一に、内気なヒイラちゃんが、男性と知り合うという時点で、まずあり得ない!!」

「確かに、ヒイラだけでは、その通りだったでしょうね……」


 アリーが、頷く。その反応に、ロリっ娘は機嫌を良くし、話を続けた。


「第二に、魔法研究にしか興味のないヒイラちゃんが、男性とお付き合い出来る訳がない!!!」

「確かに、そうね……」

「そしてそして、極めつけに、ヒイラちゃんは押しも押されぬ慎重な性格をしている!!最初から、結婚前提でのお付き合いなんて、しなーい!!!!」

「なるほど、確かにそうでしょうね……」

「でしょう、アリーちゃん?」

「ええ、そうね、おばさん……。でもそれは、ある人物がいることで、全てクリアされる課題だわ……」

「えっ、ある人物……?」


 アリーは、ロリっ娘を見ながら、決め顔で答えた。


「私です!!」

「……………………アリーちゃんのせいかぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」


 ロリっ娘が、アリーに組み付いて、身体を揺らしていた。おお、ヒイラのリアクションっぽい。家族だと、そんなところも似るんだろうか。


「ええ、私のせいです!!しかもベイの正妻は、私です!!ヒイラは、第十何番目とかの奥さんです!!」

「うちのヒイラちゃんに、そんな酷たらしい仕打ちをしたのかぁー!!アリーちゃん!!!!!」

「いえ!!ヒイラも同意の上です!!もう、ベイに生まれたままの姿を見せたり、調教されたり、それはもう、喜んでしています!!!」

「アリーーーーーーーーーーぃぃぃぃぃぃぃいぃぃいいいいいいいいいいちゃああああああああん!!!!!!!!!」


 俺の腕から飛び出て、ヒイラもアリーを揺すりだした。……アリー、楽しそうだなぁ。良かった、良かった。


「……つまり、ヒイラちゃん、本気でお付き合いしてるんだね?」

「……はい。ライアおばさん、私、今はおばさんと一緒に行けないんです……。やらなきゃならない研究がありますし、それに……」


 ヒイラは、潤んだ瞳で俺を見つめていた。やばい、凄い可愛い。


「好きな人と、一緒に居たいんです……。駄目、でしょうか……」


 あのヒイラが、俺を面と向かって、好きだって……!!!!! うわぁぁぁああああああああああ!!!!! なんだこれはああああああああああああああ!!!!!!! 凄い可愛い!!!! 凄い可愛いぞ、今日のヒイラは!!!!!!! いつも可愛いけど、今日は20倍増しくらいで可愛い!!!!!!!


「……そっか、ヒイラちゃん。成長したんだね……。私より先に彼氏をゲットするなんて、やるじゃん……」

「おばさん、それじゃあ……!!」

「うん、分かった、分かった」


 ロリっ娘は、ヒイラの手を引くと俺と手を繋がせる。おお、話が通じたのかな? これで、皆と買い物が出来るぞ!! やったー!!! 俺は、内心そう思っていた。でも、ロリっ娘の腕に、魔力が感知されたことで、その考えは吹っ飛ぶ!!


「じゃあ、ベイ君も連れて行く事にしよう!!」

「ふええ!!!!」


 瞬間、俺とヒイラを光が包む!! 俺とヒイラは、皆を残して、その場から転移した。


「レム!!!ミヅキ!!!」

「了解です、フィー姉さん!!」

「承知!!」


 後を追うように、2人の戦士がその場から消える。辺りに、異様な静けさだけが残った。


「大変よ!!ベイと、ヒイラが拐われたわ!!!」


 アリーの、取り敢えず状況を皆に説明しておこうという、声だけがその場に響いた。



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