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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・五部 夏と商家の娘?と
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VS 英雄末裔・受け流し双剣士筆頭

「ふっ…!!」


 アルティの刀身の長さを活かし、間合いをとって有利に戦闘を運ぶ。双剣を扱う、ジーンが相手だ。近づいてくれば、凄まじい連撃を行ってくるに違いない。取り敢えずは、様子を見よう。俺は、アルティを細かく振りながら、戦闘を進めた。ジーンは、俺の剣を軽く受けながら、様子を見ている。


「…」


 だが、ここで俺は、自分の手元の感覚の変化に気づいた…。


(少しずつ、大振りにされてきているな…)

「フッ…」


 ジーンは、少しずつ受け流しを使って、俺の剣を持つ感覚を狂わせようとしてきている。通りで、大人しく間合いを取ったままでいるわけだ。俺が気づかなければ、致命的な大振りをして、切り込まれていただろう。しかも、細かい感覚の変化に気付けないでいるわけだから、時間が経つほど、剣の扱いが狂ってくるに違いない。…地味に恐ろしい攻撃だな。受け流しには、こんな使い方もあるのか…。


「…シッ!!」


 俺は、この感覚から脱するために、上段から振り下ろした剣を、胸元あたりで止め、突きに変化させた。


「むっ…」


 双剣を交差させ、ジーンが突きから身を守る。流石に、その体勢では、受け流すことは出来ないだろう。もろに突きを受け止めたジーンは、少し後ろに突き飛ばされた。


(よし…、仕切り直しだ…)


 軽く剣を振り、牽制がてら、いつもの感覚を取り戻す。中段で剣を構え、俺は、ゆっくりジーンに近づいて行った。


「はっ…、やるなぁ…!!ガンドロスを倒したというのは、どうやら、まぐれでもないらしい。これは、楽しめそうだ…」


 瞬間、ジーンの身体から、緑色の光が湧き上がる!!これは、気か。その直後、ジーンの姿が消えた。


「…ぐっ!!」


 俺は、瞬間的に察知して、左側に剣を構えて攻撃を受ける。するとそこには、強烈な速度で剣を振るう、ジーンが確認出来た!!


(聖魔級強化!!)


 俺も、強化魔法を身体に施し、その素早い剣技を捌いていく。しかし、既に距離を詰められているため、かなり防ぎづらい。


「レラから聞いていないのか!!うちの剣技は、受け流しだけではない!!最高速で繰り出される斬撃!!これにまさる攻撃はない!!防ぎきれるか、ベイ・アルフェルト!!」

「ちっ…!!」


 双剣を交互に繰り出して行われる連撃は、徐々に速度を増し、俺を追い詰めてきた。しかも、先ほどと同じで、少しずつ剣を逸らされている。これ以上、攻撃を防ぐのも難しくなってきた。なら…。


「その状態で、この魔法が躱せるか…!!」


 俺は、片腕から水魔法を、ジーン目掛けて放った!!水が勢い良く吹き出し、ジーンを襲う!!……だが、正面からすぐにジーンの姿は消えていた。俺の後ろから、声がする…。


「ふふっ、まだまだ最高速度には程遠いぞ。この程度か、ベイ・アルフェルト!!」


 ジーンが、俺目掛けて剣を突き出した!!…だが、俺に剣は刺さらない。ジーンの剣が、空中で止まった。


「周りが、見えてないんじゃないか?」

「…なん…だと…」


 ジーンの腕に、水の糸が絡みついている。そう、最初に放った水の魔法は囮だ。移動させるための、罠。

結果、余裕を浮かべて攻撃をしようとしたジーンは、俺が後ろに展開した水の糸に気付けず、自ら罠に嵌った。まぁ、そのまま腕を切り落とすことも出来るが、これは模擬戦だ。そこまでは、出来ないか…。俺は、勝負をつけるためにアルティを振るった。


「…!?」

「ふっ、俺としたことが、相手を軽く見すぎていたか…」


 水の糸が、切り裂かれ、宙を舞う。俺が剣を振るった先に、ジーンはいなかった。…さっきした音…、こいつ、まさか手首の回転だけで剣を操って、水の糸を…。なんて技量だ…。相手を傷つける訳にはいかないからと、強度をゆるくしたのが間違いだったか。ジーンは、既に俺から距離を取り、体勢をたて直している。


「まだ、罠をはるほどの余裕が、お前の中にあったようだな…。ならば俺は、その余裕を吹き飛ばす速度で動くまで…!!」


 シャキィィィィィィィイイイイインン!!!!!!!!!


 2本の剣を互いに擦りあわせて、ジーンが剣を鳴らす!!その次の瞬間、ジーンから溢れ出ていた緑の気が、より濃くなっていった!!ジーンの周りに、薄く密着するように気は集まると、ゆらめきを収める…。


(やばいのが来そうだな…)


 俺は、神魔級強化を身体にかけて、対応の準備をした。だが、それでも次の瞬間には、ジーンの手元がブレて消えて…。


「うぐっ…!!」


 ギイイイイィィィィィィィイイイイイイイイインンン!!!!!!!!!


 …何とか、受け止めた。アルティが、消えた剣の出現地点で、その動きを止めている。速く、そして重い…。普通の剣ではない。それに、俺がまともに捉えられないほど速い…。滅茶苦茶な威力の剣だ。だがジーンは、その一撃を放ったまま動きを止めている。どうしたんだ、追撃は来ないのか?


「…まさか、俺のこの状態の剣を受け止めるとはな…。感謝するぞゲイル…、久しぶりに本気を出せそうな相手だ。人間相手に、ここまでの力を使うのは、5年ぶりだな…」


 ジーンが、嬉しそうにもう片腕に力を込めた。来る…!!!


「会えて嬉しいぞ!!強者、ベイ・アルフェルト…!!!!」

「…!!!!」


 息もつかせぬとは、まさにこのことだろうか。恐ろしい速さの連撃が、俺を襲ってきた!!しかし、俺も捌く!!全ての斬撃に、予測と集中力で対処をしていく。周りの変化に有りえないほど気を配り、剣の動きを捉え続けた。見えていないのに、感覚で剣を捌いていく!!…俺も、かなり常識から外れた動きしてるよな。本当…。


「はははははは!!!!!いい、良いぞ!!!だがなぁ…!!!!!!!!」

「うっ…!!!」


 バカな!!防ぎに回っていたはずの俺の剣が、逸らされてガードを外されていた!!


「もらっったぁぁあああああああ!!!!!!!!!」

「くっ…!!!」


 俺は、胸元目掛けて飛んでくる剣を、サリスを引き抜いて受け止める!!剣と剣がぶつかり合う音がし、火花が散った!!俺は、片腕に力を込めて、そのままジーンを弾き返す!!


「ちっぃいい!!!…惜しい!!!!!」

「はぁ…、はぁ…」

(先輩と私の二刀流ですか。負ける要素がありませんね)


 アルティは、呑気なもんだな…。しかし、普段一刀流の俺が、いきなり実戦で二刀流か…。上手く扱えるだろうか…。いや、扱えないと死ぬな…。模擬戦なのに、そんな気がする。深く考えるな、アルティが剣、サリスを盾と考えればいい。ならば、扱ったこともある。いけるはずだ…。


「ふぅ…」


 息を吐いて、もう一度集中する。サリスを前に出し、アルティを構え直した。ジーンも、双剣を構え直す。


「さぁ、踊ろうか、ベイ・アルフェルト…」


 …踊る。確かに、剣の捌き合いは、ダンスに近いかもしれない。相手の動きに合わせることが、重要になってくる。そして、相手は高速の剣技を振るうジーン・サルバノ。ならば俺も、速度を合わせねばならない。


(カザネ、借りるぞ…)


 風魔法を使い、俺も高速移動する準備を終える。さぁ、リクエスト通り踊ろうか、高速の剣舞を…!!




 

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