第二回・水着親睦会
飲み物と食べ物を選んで、ミルク達がそれを運んでいく。何やら準備?があるということなので、俺とアルティだけ残り、渡された紙を記入していくことにした。
「先ずは、名前と出身地・住所、性別かぁ…。まぁ、順当だなぁ」
「家族構成と、婚約者記入欄もあるのですか?時間がかかりそうですね」
「…だな」
さらさらっと書いていったが、婚約者記入欄がやたら書く時間が長い。…まぁ、しょうがないよな。
「マスター、私の名前も、記入をお願いします」
「えっ…、はいはい」
言われた通り、アルティの名前も記入した。…皆の欲望の塊だもんなぁ。書かなかったら、多分、泣くだろう。書くしか無い。
「えっと、次は、家族に問題などは無いか、かぁ…。まぁ、リアクションがでかすぎるぐらいかな。それぐらいしか無いか…」
「お父様も、お母様も、これといって変なところのない方ですからね。ここは、特に無しでもいいと思いますよ」
「だな…。さて、次は…」
最近、困っていることはないか。かぁ…。うーん、馬鹿正直に、創世級の出現によって世界が滅びようとしているので、困っていますとも、書けないしなぁ…。ここも、特に無しでいいか…。
「いいと思いますよ」
「うん。で、次は…」
金銭的に困っていないか。と来ましたか。
「今は、結構持ってるし、困ることもないな」
「ここも無しっと」
何だか、無しばかりだなぁ。まぁ、周りが平和ってことだろう…。世界滅びかけてるけど。まぁ、そこは仕方ない。記入しても証明出来ないしなぁ…。書いても意味が無いだろう。
「次はっと…」
「婚約者に求める最低条件は、ですか…」
「…難しいな…」
「私も、気になりますね…」
「…う~ん、やっぱり、仲良く過ごせるかどうかじゃないかなぁ…。ギスギスしてるのは、嫌だしなぁ…」
「なるほど…。確かに、重要ですね」
さらさらっと記入する。
「次は、ロデをどう思いますか?ですか…」
「…率直すぎないか?」
「いえ、これぐらいストレートなら、言い訳できません。的確な質問と言えるでしょう」
「そうかなぁ…」
う~ん、ロデかぁ…。お金が大好きって印象だよなぁ…。あと、商売の事を常に考えている感じがする。でも、意外と純情路線なのかもしれない。そこが可愛いとも思う。うーん、これを書くのかぁ。恥ずかしいぞ…。
「さらさらっと…」
「アルティ…!!」
「字は、真似しておきました。大丈夫ですよ」
「いや、そういう問題ではなぁ…。はぁ…、まぁ、いいか」
「次は、ロザリオをどう思うかですね」
「…次は、ロザリオかぁ」
完全に、乙女だよなぁ…。尽くしてくれるタイプというか。思い込んだら一直線というか…。かなり覚悟を持った女性だなぁと思う。精神的に強いって奴だ。あと、筋肉に対するこだわりが、半端ないのかもしれない…。まぁ、良い子だとは思うなぁ…。
「さらさらっと…」
「ありがとう、アルティ…」
修正する暇もない。まぁ、楽でいいが…。
「さて、次で最後かぁ。えっと…、将来の夢は何ですか、かぁ…。うーん…」
「皆と、仲良く暮らすこと、ですかねぇ…」
「まぁ、それもあるが、目先の目標としては、創世級迷宮踏破だろうなぁ…」
「なるほど、では、その2つを書いておきますね」
「まぁ、冗談と取られるだろうけどなぁ…」
さらさらっと、アルティが記入していく。俺は、それを途中で見かけたゲイルさんに渡して、牛車に向かうことにした。
「うん?カーテンが、全面閉められているなぁ…。まぁ、中を見られないように当然の対処か。他人の家の、庭先だしなぁ…」
アルティの手を握って、牛車のドアをノックする。すると、シスラの声がした。
「ベイさんっすか?」
「おう、書いてきたよ。入れてくれ」
「はいー、お待ちしてたっす。さぁさぁ、どうぞどうぞ!!」
牛車のドアが開いて、部屋に入る。すると、シスラがすぐにドアを閉めて、鍵をかけた。…何だ、随分厳重だなぁ。まぁ、家の鍵みたいなもんだし、当たり前、なのか…。
「おっ」
俺が選んだ、お菓子に飲み物、果物が一箇所にまとめられている。ちょっとしたドリンクバーだな。なんか、贅沢な気分だ。そこから、一気に視線を部屋中央に向ける。すると…。
「第二回・水着親睦会!!」
「「「「「「「「イエーーーーーーーイ!!!!!」」」」」」」」
…皆、水着だった。シスラも、よく見ると水着だった。アルティも、今、着替えている。アルティ、全裸が丸見えなんですけど…。
「うっふ~ん」
「いや、そのセリフは、アルティには合っていない気がするな…」
「そうですか…」
アルティは、がっかりしたように肩を落とした。まぁ、可愛いちゃ可愛いんだが。何か違うな。そんな気がする。
「にしても、ロデとロザリオも、水着なのか…」
「はい、ベイ様!!ど、どうでしょうか…」
「似合ってるかな、ベイ君…」
ロデは、ピンク色の水着かぁ。何と言うか、幼さが強調されているなぁ…。いや、可愛い。かなり可愛いんだが…。可愛い。そんな感じだ。ちょっと、犯罪っ的な臭がするかもしれない、似合い具合だ。ロザリオは、水色と白の縞模様かぁ…。何だか、履いていたパンツを思い出すなぁ…。しかも、布地が少なめな気がする。際どい…。いい…。
「うん、よく似あってるよ」
「あ、ありがとうございます!!」
「ありがとう、ベイ君!」
「マスター、私も、着ました」
「お、アルティもか…」
アルティは、白い水着だな。褐色の肌に、よく似合っている。アルティは、肌がツヤッツヤだから、健康的でいい色気が出ていた。俺は、何も言わず親指を立てる。素晴らしい…。
「ありがとうございます、マスター…。それでは、皆さんの方に移動いたしましょうか。皆さん、お待ちかねのようですので」
「…ああ、そ、そうだな…」
ニーナだけ、凄い恥ずかしがっているが、皆何処か、飢えた目つきをしていた。その皆の中心に、俺は座る。下には、すでに布団が敷いてあった。
「…」
俺は、覚悟を決めた。何処から襲いかかられても、受け止める準備をすすめる。アルティに、テキパキと上着と装備を脱がされ、周りを見渡した。
「さーて、全員揃ったわね。それじゃあ、お菓子と、飲み物を配りましょうか」
「「「「はーい」」」」
女性陣が、皆で食べ物を運んでいく。俺の前には、さも当然のように、ミルクが牛乳を置いて行った。いや、いいけどね…。美味しいし…。俺は、すぐに襲われることはないだろうと、少し分かって、ホッとした…。