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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・五部 夏と商家の娘?と
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「…」

「?」


 さっきからアルティは、何かを考えているようだった。大人しく黙ったままだったので、気づくのが遅れたが、恐らくそうなんだろう…。特にリアクションもなく、俺の隣りに座っている。まぁ、邪魔しても悪いし、軽く抱き寄せて、そのままにしておいた。チラッと、こっちをアルティは見ると、微笑んで俺に寄り添ってくれる。うん、可愛い。そのまま、ミエルと話している間、アルティは、黙ったままだった。


「…そろそろ、日が暮れてきたかな…」


 空が夕焼け色になってきている。ミエルと手を繋いだまま立ち上がり、皆を集めて一旦、ロデの家に帰ることにした。転移で帰ると、すでに晩ごはんの準備がされていたらしい。皆で席について、晩ごはんを食べることにした。


「さて、今から私の時間っすよ、ベイさん!!」

「おっ、シスラか」

「へへ~、料理持って来ましたっす。一緒に食べましょう」


 シスラは、俺の上に座るのではなく。椅子を持って来て、隣りに座った。シスラの持ってきた、皿の上にある食材を見る。サラダ、肉、魚、果物、ライス。…とてもバランスよく盛ってあった。だが、1つ気になるのが、サラダも魚も、数種類あるのに、ピンポイントで俺が好きなのしか盛られていないことだった。


「はい、ベイさん、あ~んっす」

「あ~ん」


 うん、美味い。シスラは、バランスよく食事を進めさせてくれる。チラッと、俺が他の料理を見ると。


「ああ、次はあれがいいんっすか。ちょっと、取ってくるっすね」


 と、何も言わなくても的確に動いてくれた。う~ん、シスラは凄いなぁ。もし彼女が、恋人だったら、一生離れられなくなりそうなほど、気が利いている。まぁ、すでに嫁なんだけど…。それに…。


「お待たせっす~!!はい、あ~ん」

「あ~ん」


 やたら楽しそうに、世話を焼いてくれる。何だか、嬉しいし、楽しい。シスラは凄いなぁと、俺は食事を進めながら思っていた。


「あっ、ソース付いてるっすよ、ベイさん。ここっすよ」


 おしぼりで、シスラは俺の口周りを拭いてくれる。そして、軽くキスをしてくれた。


「チュッ。へへ~、綺麗になったっすよ。いやぁ~、皆さんは普通にキスしてるっすけど、私はまだ照れるっすねぇ…。へへへ~」


 シスラは朝のキスもしてくれているのだが、やはり人前でと言うのは、まだまだ慣れないらしい。照れながら、頭を触っている。俺は、そんなシスラが可愛いと思って、思わず抱き寄せた。シスラは、恥ずかしがりながらも、嬉しそうに微笑んでくれる。


「あはは…、ベイさん、積極的っすね。しょうがないから、寄り添ってあげるっすよ。はい、あ~ん…」


 ちょっと顔の赤みが増したシスラに、また、食事の世話をしてもらう。俺とシスラは、仲良く食事を進めた。食事を終わらせようと思っていた頃、ゲイルさんから声が掛かる。


「ああ、ベイ君。明日の昼過ぎに、勝負を始めようと思っているんだが、大丈夫だろうか?」

「あっ、はい。分かりました。いいですよ」

「そうか、助かる。あ、あと、この紙に書いてある質問に答えて欲しい。後で持ってきてくれればいいから、好きな時に書いてくれ。手を煩わせてすまないが、よろしく頼むよ」

「はい。分かりました。では、後で記入しておきます」

「うん。よろしく。ところで、泊まる場所は決めているのかな?良かったら、準備しようか?」

「いえ、牛車が寝泊まりも出来るようになっていますから、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

「いやいや、呼んだのはこちらだしな。ゆっくりしていってくれ。何かいるようだったら言って欲しい。何しろうちは、世界最大の商業店舗だからな。ある程度の物は揃うから、遠慮苦無く言ってくれていいよ。水属性神魔級迷宮の素材とかは、流石に置いていないが…」

「?水属性神魔級迷宮ですか…」


 何で、そこで、水属性神魔級迷宮の話題が出てくるんだ?何か、理由があるんだろうか?


「いや、なに…。最近どこかの商店が、数点取り扱ってたらしくてな…。その噂で、Sランク冒険者達が大はしゃぎしているらしい。人間でも攻略出来る方法が、あるんじゃないかってな…。私は、偽物か、なんかじゃないかと思っていたんだが、どうやら本物らしい。一体どうやって手に入れたんだか…。謎な商品だよ…」

「…」


 それって、売ったの俺達じゃん…。ああ、そうか…。それで高かったのか…。通りでやたら高いと思った。出回りもしない、超が付く貴重品だった訳だ。売った時に、特に騒がれもしなかったから、その事実に気が付かなかった。でも、冒険者の間では、騒がれ始めたのか…。これからは、少し売る時に、変な人に絡まれないよう注意しないといけないかなぁ…。


「まぁ、それ以外であれば、西の大陸で取れた、いかした果物から、女性たちに好評な贈り物まで多数取り揃えている。彼女たちに、何か送りたいのであれば、協力しよう。何時でも、言ってくれたまえ。それでは私は、少し仕事あるので失礼するよ。また後でな、ベイ君」

「はい、お気遣いありがとうございます」


 そう言って、ゲイルさんは部屋を出て行った。うーん、贈り物かぁ…。せっかくの旅行だし、そういうのがあってもいいかもと思うけど。特に今は、何か送るって思いつきがないなぁ…。あとで、店舗の方も見てみるか。送るなら、何があるか見てからのほうがいいだろう。いいのがあったら、皆に送ってみようかな。俺は、そう思った。


「おっと、大分日が暮れてきたっすね、ベイさん。そろそろ夜っすよ」

「?」


 シスラは、何か気にしているのだろうか?チラチラと皆の方を見ている。皆は、その視線に頷くと、ぞろぞろと部屋を出て行った。何処に行くんだ?


「あっ、すいません。飲み物とかありますかね?あと、軽い食べ物も欲しいんですけど?」

「ええ、あるわよ。どれくらい欲しいのかしら?」

「そうですね。大皿で数種類下さい。飲み物も、出来るだけ頂けると嬉しいです」

「ええ、いいわよ。そんなにどうするの?皆で、御茶会かしら?」

「ええ、まぁ。ロデさんと、ロザリオさんと、親睦会的な事をしようと思いまして」

「まぁ、それはいいわね。すぐ用意するわ」

「お手伝いします。レム、ミズキ、シデン、カザネ、行きましょう」

「ああ…」


 ミルク達は、食べ物を準備しに行ったのか。親睦会かぁ…。良いね。ところで、だいぶ昔の話になるけど、シスラ達が来た時も、親睦会的なことをやったような…。確か、その時は…。


「さて、ベイさん。私達も、食べ物を取りに行きましょうっす!!ベイさんの好きなの、選んでいいっすからねぇ」

「えっ、ああ…。じゃあ、行こうか…」


 シスラに思考をぶった切られ、俺は、台所へとシスラと腕を組みながら向かった。



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