無くなりました
うーん、俺は、誰かと戦わなきゃいけないのかぁ…。そんなつもりで、ここに来た訳じゃないんだけどなぁ。練習試合的なやつみたいだし、まぁ、いいか。今までの過程で、ロデとも繋がりを持つことが出来たようだし。来た目的は、ほぼ達成したと言えるのだろうか?ならいっそ、戦闘をする日までゆっくりして、アリー達と、観光をするのも良いかもしれない。戦闘は、まぁ、その為の費用だと思うことにしよう…。俺は、そう思いながら、ミルクの頭を撫で撫でした。うーん、ミルクが、気持ちよさそうな顔をしているのが、とても可愛い。
「ところで、ベイ君?」
「あっ、はい、何でしょう?」
「ロザリオちゃんは、いつ、性別を変えるのかしら?何か、準備とかいる?何処かに、行かないといけないとか?」
「ああ…、準備は、一応してきましたから、今すぐにでも出来ますよ」
取り敢えず、能力だということは、ぼかして話す。他の人にも出来ないか?とか言われたら、素材が足りないんですよ。とか言って、断ることにしよう。今回は、偶然素材を持っていたことにして…。
「そう!!じゃあ、ロザリオちゃん、どうする?」
「い、今すぐでも良いですか…、ベイ様…」
「ああ、良いよ。それじゃあ、ちょっと部屋を移したいなぁ…」
「あっ、なら。私が、泊めていただいている部屋に行きましょう!!そこで、お願いします!」
「分かった。アルティ、手伝ってくれ。あ、お母さんは、お待ちいただけますか?一応、秘術的な扱いなので…」
「えっ…!!…分かりました。ロザリオちゃん、頑張ってね!!」
「はい!!」
俺は、ミルクと軽くキスをして、床に下ろす。そして、ロザリオの案内で、アルティと部屋に向かった。
「ここです」
ロザリオが、部屋の扉を開ける。そこには、豪華なベッドと、装飾の施されたいい感じの家具が置いてあった。
「よし、それじゃあロザリオ、ベッドに横になってくれ。一応秘術だから、見えないようにロザリオの目を隠させてもらうけど、良いよな?」
「は、はい!!…ベイ様に、目隠しを…。はぁぁ…」
何故かロザリオは、顔が赤くなっている。俺は、棚の上に置いてあったタオルを取って、ロザリオに目隠しした。
「あっ…、ベイ様、服とか脱いだほうが、よろしいでしょうか?その、恥ずかしいですけど、我慢出来ます…」
「いや、そこまではしなくていい。すぐに終わるよ」
うん?ロザリオは、ちょっと残念そうだ。何故?まぁ、いいか。俺は、アルティに、目線で合図した。
(モード・ミズキ。能力発動)
俺にだけ聞こえる念話で、アルティの声が響く。アルティの手から、光が放たれ、ロザリオの全身を包んでいった。
「うっ…」
ロザリオが、小さく動く。うーん、痛みはないんだろうけど、身体が作り変わっているわけだからなぁ。何か、違和感を感じているのかもしれない。そればっかは、どうしようもないなぁ…。
「…おわりました、マスター」
「ああ、お疲れ」
アルティは、駆け寄ってくると、するすると俺の背中に登っていく。そして、定位置につくと、俺に顔をすり寄せてきた。おっ、なんだ。アルティも、甘えたい年頃かな?俺は、アルティの頭を、そっと撫でてあげた。
「あっ…」
「ロザリオ、おわったぞ」
「えっ…、いいんですか、ベイ様?」
「ああ、見てみるといい」
「えっと…」
ロザリオは、スカートの上から、自分の股を触っている。…無いようだ。
「上手くいったか?」
「は、はい…。そうみたいです」
ロザリオが、ゆっくりと立ち上がる。やはり、気になるのか、まだ、股間部分を見つめていた。
「あの、ベイ様?」
「うん、どうした?何か、違和感でも有るか?」
「あ、その、それも有るんですけど。その、ちゃんとなってるか、見ていただけませんか?」
「ああ、分かった。…うーん?」
見る?俺が?
「何で、俺が見る必要があるんだ?」
「その、私、女性のなんて見たことないですし…。それに、…ベイ様が気に入ってくれるか、心配ですから…」
「いや、気にいるって…」
「私、ベイ様のために、その…。こうなったわけですし…。気に入っていただけないと…、その…」
いや、まぁ、俺の為っていうのは、凄い嬉しいんだが。俺が、見ていいのかと…。いや、そうか。俺との為、だもんな。俺が見なきゃ、始まらないか。だが、今見るっていうのも、何か違う気が…。
「ベイ様…」
「!?」
ロザリオは、ゆっくりとスカートを、持ち上げていく。暫くすると、水色と白の縞模様のパンツが、俺の目に入った。やばいな、。確かに、破壊力抜群の似合いっぷりだ。さっきまで、男だったとは思えない。いや、容姿も声も、特に変わっては、いないけども…。
「私もいるというのに、やりますね…」
俺の肩に頭を乗せ、アルティが囁いた。確かにそうだな。強気の姿勢と言えるだろう。
「いえ、これはあくまで、治療行為の一貫ですから…。仕方ないことです…」
「…今日ここに来る前にも、そんなことがあったような…」
「レノンさんと、サラさんのやつですね。マスターも、もう少しというところでしたが…。あの手は、使えませんね。私は、マスターの剣。主人に迫るなど、私がするべきことでは有りません。やはり、欲望を深めて頂いて、求めて頂くしか…」
「アルティ、何か、怖いこと言ってないか…」
「いえ、気のせいです。私なら、何時でもお相手しますよ、マスター。戦闘から、ベッドの中まで」
「ああ、その…、ありがとう…」
アルティ神から、欲望の眼差しを感じる。何でだ?一体、どうしてそんな考えを持つようになったんだ?
「私は、力を得るために、皆さんと間接的に繋がっていますからね。マスターを慕う気持ち、その欲望まで…、私の中に深く刻み込まれています。それが、答えですよ、マスター」
そうか、なるほどなぁ…。皆の欲望を、一塊にして、内に宿しているのかぁ…。…それって、やばくね。
「本当は、今すぐにでも、マスターを受け入れたいんです。滅茶苦茶に愛されたい、貴方の全てを受け止めたい。そう思わずにはいられません。でも、私は貴方の物。貴方が求める時にのみ、この身体、振るいましょう。お待ちしています、マスター…」
「ああ…、少し、時間をくれると助かる。ロザリオも…」
「私も、ですか…」
「ああ…。その、どんな感じでも、俺が嫌いになることはないから。気にしなくていい」
アルティに任せているのだし、変な事には、なっていないだろう。万が一があっても、何時でも改変可能だしな。便利なもんだ。それに、まだ、アリーともしていないのに。2人とするって言うのもなぁ…。アリーが、悲しみそうだし…。
「なるほど…。マスターの最初の相手は、やはり、アリーさんがいいのですね。委細承知致しました。私達は、アリーさんや、皆さんの後、ということですね。お待ちしております」
「アルティ!!」
「そ、そうですか…」
ロザリオは、少し悲しそうな顔をする。だが、アルティが言ったことは、本当だ。初めては、アリーがいい。そう思っている。だから今は、待ちの段階なのだ。それに、創世級を倒さないと、子供を作ることも出来やしない。子供がいたら、戦闘訓練どころじゃ、無くなるだろうからなぁ。それに、アリーが妊娠したら、俺、傍を離れるき無いぞ。
「そうですね。そういうことであれば、時間を置くのも、致し方ないことでしょう。ですがロザリオさん、悲しそうな顔を、する必要はございません」
「えっ…」
「今は、最後までは無理ですが。その手前までなら、OKです。正し、今ではなく、夜にですがね。分かりましたか?」
「は、はい!!」
「宜しい、マスターのため、共に頑張りましょう」
アルティの言葉に、ロザリオの顔に、笑顔が戻る。アルティにロザリオかぁ…。ああー、今夜は大変そうだな…。そう思った。
*
「おう、嬢ちゃん。人を探してるんだ。最低でもSランクで、腕が立つ奴、今いないかい?」
「Sランクですか…。募集をかけてみないことには、分かりませんが…。確か、ここ近辺のSランク冒険者は、今は出払っていたような…」
「おう、まじかよ…。タイミングが悪いなぁ…」
アランは、冒険者ギルドを見渡す。多少、腕が立ちそうな奴は、目についたが、誰を見てもピンとこなかった。あの青年とは、渡り合えそうにない。アランの直感が、そう告げていた。
「しゃあない…。出直すか、邪魔したな」
「いえ、アランさん。何時でも、お待ちしております」
アランは、そう言って、冒険者ギルドを出る。早速、あてが無くなったな…。アランは、一旦、マルシアの家に戻ることにした。
「うーん…」
「いい人は居たかな、アランさん?」
「いや…。いっそゲイル、お前がやるか?それくらいしか、俺は、もうあてがねぇ…」
「いやいや、俺も、勝負事は引退した身だからな…」
そう言いながらゲイルは、マッスルポーズを決める。商人という職業についた彼だが、趣味の筋トレにより、訓練をしなくなった今でも、その肉体は衰え知らずだった。むしろ、一回り大きくなっている。
「やっぱよう、そっちでいいんじゃないか?あんま馬鹿丁寧に喋られると、むず痒いぜ…」
「いやー、俺ももう、父親だしな。それに商人として、ロデ達の前で、今までどおりの言葉づかいを、するわけにもいかん」
「お硬いこったな…」
「アラン、お前の方はどうだ?やる気はないのか?」
「俺は、ロザリオの親だぜ。私情を、挟んじまう。それに息子、いや、娘に、嫌われたくないからよ…」
「なるほどな。…と言うと、あいつしか居ないか」
「あいつ?」
「ああ、ここらへんに来てるらしいぜ。久しぶりに、顔を見に行くとするか…。お互いに、親になってからは、初めての顔合わせだな…」
「?」
そう言うとゲイルは、アランを引き連れて、酒場に向かった。
私事ですが、この度、小説を書き始めて一年が経過致しました。異世界踏破も、今回の更新で、連載一周年です。これからも、面白くなるよう頑張ろうと思います。よろしくお願いします。