肉食系?
いや、良いんだろうか?何と言うか、男で、そういう容姿だからこそ、好ましいと思う人がいるかもしれない。持って生まれた物を、そう簡単に変えていいんだろうか?まぁ、どう考えた所で、本人の気持ち次第ではあるが…。
「出来るの?」
「出来ます。勿論、妊娠も可能です…」
「凄い…」
「…新しい、商売の予感…!!」
「黙れ、ロデ」
「あひん!!アリーさん、ひどい!!」
アリーが、ロデの顔を、引っ張っている。確かに、能力を商売に使われるのは、ちょっと困るなぁ。目立つ。
「マスターが望むなら、巨乳にも、幼女にも出来ますが、どうされますか?」
アルティが、俺の耳元で囁いた。…やばいな、それ。完全にリスクのない、完全美容整形が可能ということだ。これは、億どころか、兆単位のお金稼ぎのチャンスといえる能力である。でも、人に教えたくはないなぁ…。凄すぎる能力すぎる…。変な奴に、目をつけられかねない…。ロデみたいに…。
「いや、そこまではしなくていいよ…。それに、本人がそういうのは決めることだ。俺が、どうこう言うことじゃない…」
「流石マスター。相手のことを考えたご配慮、素晴らしいです。ならば私も、その考えを尊重しましょう。ですが、ご要望ありましたら、いつでもおっしゃって下さいね。日焼け跡でも、肉付きの良さでも、何でも思うままに変えられますから…」
…そこまで行くと何というか、もはや神だな…。アルティ神と呼ぶに値する。でも、日焼けあとに、肉付きかぁ…。ちょっと考えてしまうなぁ…。まぁ、考えるだけで、ゴーサインは出さないが。
「いや、その…、あのですね…。女性に出来るという話は、凄いと思うんですけども…。ロザリオを、迎え入れるっていうのは、ちょっと、どうかと…」
「いや、まだ決まったわけじゃないしな…。というかロデは、そんなにロザリオと、一緒に居たくないのか?」
「ああ…、まぁ、興味の対象は、ベイ君に移ったみたいだし、女の子になるのなら、それほど嫌ではないかなぁ…。…でも、今までのこともあるし、そう簡単には、割り切れないというか…」
「なるほどなぁ…」
そりゃあ、さっきまで気持ち悪いとまで思っていた相手が、女の子になった所で。印象は、すぐには変わらないか…。いや、まだ、なると決まったわけではないが…。でも、なるって言いそうだなぁ…。言うと思う…。
「ベイ君、気をつけたほうがいいよ…。あいつの、帰り際の反応…。まるで、しつけられた犬みたいだった…。今度会ったら、全力で好意を押し付けてくると思う。覚悟しといたほうがいいよ…」
「…マジ?」
「本当…。多分、勝負パンツぐらい、余裕で履いてくると思う…」
「…」
勝負パンツ…、だと…。どういうことだ…。完全に、誘ってくるってことか?肉食系なのか?
「あいつ、あの容姿で、下着まで徹底して、女物履いてるらしいからね…。見た目だけは、威力有ると思うよ…」
「…」
いや、なんだろう…。会うのが、怖くなってきたなぁ…。これが、ロデが今まで感じていた感覚に近いんだろうか…。確かに、これはきつい…。まぁ、見た目美少女だから。見れば、目の保養になるんだろうが…。
「まぁ、ともかく、会ってみないことには、決めるも何も無いわね。全ては明日、ってところかしら…」
「そうだな…。アリーの言う通りだ。取り敢えず、ロザリオが来るのを待つとするか…」
「さて、方針も決まった所で…。ロデ、お帰りはあちらよ…」
「えっ?」
「えっ?じゃないわよ。もう、要は済んだでしょう?私達は、これからベイとお楽しみなのよ。分かったら、帰った帰った」
「えっ…、でも…。家に帰ると、ロザリオがいる可能性が…」
「…あんたの、そのロザリオ嫌いも、相当なものね。それ程、鬱陶しかったのかしら…?」
「…何と言うか、常に狙われているというか…。あの感覚は、もう味わいたくないですよ…」
「…ちょっとベイが、心配になってきたわね…」
…いや、俺自身も、心配になってきた…。やはりロザリオは、肉食系なんだろうか…。うーん、アリー達に迫られるというのとは、訳が違うからなぁ…。…何と言うか、もやもやする気分だ。見た目は、美少女なんだけどなぁ…。
「マスター。その時は、女性にしてしまえばいいんですよ…。後は、ゆっくり…」
アルティが、俺の耳元で妖艶に囁く…。何?アルティ神は、俺を、暗黒面に引きずり込む気なの?性欲向上委員会か何かの、回し者なの?こっちが、美味しく頂いちゃおうってか…。うーん、有りだと思える、自分が怖い…。あの、華奢なロザリオを組み伏せて、こう…。…いやいや、いかんよ。俺には、アリーがいるし。今がその時ではない…。そのはずだ。
「…惜しい…」
えっ!?アルティ、今、惜しいって?
「なので、私も泊めて下さい!!お願いします!!」
「…って、言ってもねぇ…」
「お金なら、払いますから!!」
「いや、そういう問題じゃないし…」
ロデがしているポーズは、ジャパニーズ、土下座スタイルだった。無意識にしてるんだろうが、必死さが出ている。こんな所で、故郷を懐かしく思うとは、思わなかった…。
「じゃあ、何が問題なんですか?」
「私達が、ベイとイチャつくのの、邪魔なのよねぇ…。まだロデは、よそ者って感じだし…。そういうのを、見せてもいい領域に、いないというか…」
「…」
…あれ?そうなのか。でもその割には、レノンや、サラや、ニーナがいる前では、ゴニョゴニョしたような…。アリーの中の線引では、レノン、サラ、ニーナには、見せてもOKということか…。うーん、レノン、サラはともかく…。ニーナは、どうなんだろうか…。正直、俺としては、ニーナの前でそういうことをするのは、凄くイケない教育をしている気分になるのだが…。大丈夫だろうか…。
「…分かりました」
「そう…、まぁ、夜も遅いし、送ってあげるわよ」
「いえ、…そういう意味ではありません…。なら私も、覚悟を見せましょう…」
そう言うとロデは、自ら服を脱いでいく…。靴下、上着、スカート…。そして、それらを丁寧に折りたたんで、下着姿で俺の方を向いた。
「私が、よそ者だというのなら…。私が、今ここで、ベイ君に抱かれれば、よそ者じゃなくなりますよね…」
「…えっ」
えっ?
「だって、そうですよね…。皆さんの中心は、どう見たってベイ君ですし…。そのベイ君に女にされたとなれば、私も、正式に皆さんのお仲間と言える筈です…」
「…」
「違いますか、アリーさん?ですから、その、ベイ君…」
「えっ、ああ、うん…」
「私を、抱いて下さい…」
そう言いながら顔を赤らめるロデを、俺は、可愛い以外で、表現する方法を知らなかった。