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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・五部 夏と商家の娘?と
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魔剣の帰還

「抑えて!!抑えて下さい、アリーさん!!彼女も、必要な人材なのですから!!」

「…ちっ、そうだったわね…」


 さっきまでアリーの拳に、魔力が溜まっていっていた。あれは、マジでヤル気の魔力量だった。そばで外すにしても、牛車の床が、吹き飛んでいたかもしれない。レムが、止めてくれてよかった…。


「…しかし、何で、ベイなのよ。あんたには無理。却下」

「ひどい!!ひどいです、アリーさん!!それこそ、何で!!」

「何でって…。あんた、お金のことしか、考えてなさそうだから…。愛してるからとか、この人と一緒にいたいからとか…、そう言う理由で、結婚相手を選びそうにないからかしら…」

「…」


 アリーの言葉に、ロデの目が泳ぐ…。ああ、図星なんだな…。ここにいる誰もが、そう思ったことだろう…。


「やっぱり…」

「…いやぁ~。だって、ベイ君。あの、ガンドロスさんに勝てるぐらいの、実力の持ち主でしょう?ということは、神魔級魔物の素材なんかも、取れちゃうのかなぁ~と、思いまして。それなら、結構な稼ぎが出せるなぁ~、とか思っちゃったり、考えちゃったり。そ・れ・に!!ピーンと来ましたよ!!ベイ君は、私を、お金を持っている、商家の娘として見ていないって!!これは、かなり重要なことです。私を、お金を持っている財布と見るか、一人の女の子として見てくれるかは、かなり大きな違いと言えるでしょう!!そんなベイ君が、夫になってくれれば、私もしたい商売がし放題!!しかも、他にも、こんなに多くの女性と婚約しておられます!!ゆえに、私が婚約しても、時間的拘束をされることも、少なくなるでしょう!!まさに、理想の夫!!私向きの、男性像と言えるでしょう!!そう、思ったら…。ねぇ…」


 …、何と言うか。合理的な考えで、結婚相手を決めるもんだなぁ…。というか、神魔級魔物の素材まで、さっきの財布の中身で気づかれていたか…。流石、商人…。侮れないな…。


「却下」


 アリーは、可愛い笑顔で、そう答えた。笑ってはいるが、何処か、有無を言わさせない様な雰囲気が出ている。


「…ま、待って下さい!!アリーさん!!私が、ベイ君と結婚すれば、ここにいる皆が、働かなくて済むような、大金が手に入るんですよ?私を迎え入れてくだされば、皆さんは、毎日ベイ君とイチャイチャし放題!!稼ぎは、私に任せてもらって、悠々自適な暮らしが出来ます!!勿論、有るはずもありませんが!!もしもの時は、お金関係のトラブルは、私が責任を持ちます!!皆さんに、被害は及ばせません!!それで、どうでしょう!!私を、迎え入れてくださいませんか!!」

「…ちょっと、良いわね…」

「でしょう?」


 凄い交渉術だ。切れるカードを、全部切っている感はある。でも皆と、お金を気にせず、イチャイチャし放題かぁ…。良いなぁ…。とても良い…。アリーが迷うぐらいには、価値のある取引だ。


「うーん…」

「それに…」

「それに…?」


 ロデは、顔を赤くして答える。


「ベイ君とだったら、結婚しても、子供作ってもいいかなぁって、思えますから…」


 ロデは、ちらっと俺を見る。何だ…、凄い、可愛く見えてくるなぁ。誘ってるんですか?誘ってるんでしょうか?美少女にそう言われて、悪い気がする男が、何処にいるんでしょうか。いや、いない。


「ふーん、なるほどねぇ…」

「アリーさん、ダメでしょうか…」

「うーん、…今後次第で考える…。と、いうことにしときましょうか…」

「ほっ…」


 アリーの言葉に、ロデは、安心したように息を吐く。凄いな、アリーが折れたよ。やるな、商人。


「下着姿も見られましたからね…。責任を取ってもらいませんと…」

 

 …うーん、可愛いことも言うじゃないか。そういうの、ロデも気にするんだなぁ…。意外と、純情路線なんだろうか…。


「あとアリーさんに、ちょっとお願いが…」

「うん?何よ。お金なら、出さないわよ…」

「いえ、お金には、困っていませんので…。私の、知り合いのことでなんですが…」


 そこからロデは、ロザリオのことを、皆に話していく。大まかに、さっきのことを話した後、こう切り出した。


「やはり、男では、ダメですよね?男では、いけませんよね」

「うーん、そうね…。男では駄目よね…」

「で、ですよねー。…ほっ…」


 そこでロデは、再度安心したように、息を吐いた。確認したかったんだろう。ロザリオが、許容範囲かどうか…。駄目ということから、安心したようだ。まぁ、一応男だからなぁ…。容姿を見れば、アリーもビビると思うけど…。


「でも、惜しいわね…。男かぁ…。話を聞く限り、ベイを愛する気は有るみたいだし、女性だったら良かったのにねぇ…。主に、美少女」

「いや、姿だけは、今でも美少女だぞ?」

「…それ、本当、ベイ?」

「ああ、文句なく…」

「うーん、更に惜しいわね…」

「むむむっ…」


 アリーは、腕を組んで唸っている。ミルクも、何か、複雑そうな顔をしていた。駄目。駄目ではあるが…。って言う所か…。まぁ、駄目な物は、ダメのままってことだろう。どうしようも無いな、という顔に落ち着いた。その時、牛車の扉が、勢い良く開かれた!!


「話は、聞かせてもらいました!!私が、なんとかしましょう!!」

「…誰?」


 突如として入ってきたのは、白い長髪に、褐色肌の幼女だった。服は、白い袖の無い服と、白いスカートを着ている。とことこと、その幼女は歩いてくると、俺の腰辺りに、抱きついた。


「長い、泉での修行より、只今帰ってまいりました!!アルティ、このように新たな力をつけて、皆様のもとに帰ってきた次第です。改めて、よろしくお願い致します」


 ペコリと、アルティは、皆に頭を下げた。…アルティ?遂に、人化したのか!!しかし、何故褐色?何故、幼女?あれか、出来て間もないからか?その可能性は、ありそうだ。


「マスターの腰は、落ち着きますね。収まりが良い…。背中でも、良いですよ…。何処に、装備します?」


 アルティは、俺にそう言ってくる。事情を知っている俺達はともかく、ロデや、ニーナは、何を言っているんだ、この幼女は?という表情をしていた。…取り敢えず、俺は、背中にアルティをしがみつかせることにする。腰にぶら下がられるより、こっちのほうが、今のビジュアル的には合っているだろう。アルティは、満足したように、俺の背中にしがみついていた。


「こほん、では、改めて。その問題、私に任せてもらえませんか!!考えがあります!!」

「…どうするっていうの、アルティ?」

「アリーさん、私は修行の末、ミズキさんの力を獲得し、進化するに至りました」


 つまり、可変状か。身体を変化させ、状態異常や、身体的特徴を変える能力である。それを、進化させたとなると…。


「それによって、他人の身体や、状態をいじることも可能になりました。後は、分かりますね…」

「つまり…」

「つまり、女性にすればいいんですよね?」


 …なんとも言えない雰囲気が、部屋に立ち込めた…。




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