思考飛躍
浜辺を歩いて、皆がいる牛車付近まで帰ってきた。…、やけに静かだなぁ…。それに何故か皆、近場の草陰に隠れている。俺は、魔力でいるのが分かるが、ロデは気づいていないだろう。ということは…。
「ねぇ、ベイ君。アリーさん達は、あの馬車に…」
「確保ーーー!!!!!!!!」
「えっ!!えっ!!?」
瞬間、ロデが両脇から飛び出た、レムとミルクに腕を掴まれた。即座に、腕を寄せられ、直立の体勢を取らされる。するとミズキが、水の魔力の糸で、ロデを縛り上げた。
「運べ!!」
「よいしょっと!!」
「えっ!?えっ!?」
アリーの指示で、ミルクがロデを持ち上げ、牛車に運んでいく。…何だ、一体?俺でも、状況がよく理解できない。皆が、牛車に入っていく。俺も入るか…。そう思い、俺も皆を追って、牛車に入っていった。
「よし、ミルク。縛り方を変えましょう。こう、こう、こんな感じで…」
「あいあいさー!!ミズキ!!」
「承知」
「えっ!?ちょっと!!」
俺が牛車に入ると、椅子が畳まれ。板が敷き詰められ、大きなベッドが出来ていた。うわぁ、本当、便利だなぁ。これがあれば、宿いらずというわけだ。そこに、ロデが大の字で縛り上げられている。足は、拘束されていないが。両腕は、きっちり手首から縛られ、両側に開かれていた。
「えっ!?えっ!?本当、何!アリーさん!!」
「ロデ!!今から、身体検査をするわ!!」
「はぁ!?」
「先ずは、上から」
「ひぃい!!」
そう言うとアリーは、ロデの服を脱がしていく。ミズキが、アリーの動きに合わせて、水の糸を上手く消したり、繋げたりしているので、拘束が取れることがない。縛られたままロデは、上着を脱がされ、ブラだけになった。…ピンク色かぁ…。
「次は、下ね」
「えー!!ちょ!!!ベイ君も、いるんだけど!?」
「我慢しなさい。それにベイは、あんたより可愛い子のを見慣れてるから、これぐらいなんともないわよ」
いえ、アリーさん。我が、愛する妻よ。決して、決して、そのようなことは…。ロデも、一応美少女だからな。興奮するものは、興奮する。守銭奴だけど。守銭奴だけど。
「ちょっと、タンマ!!そっちは、ちょっと!!」
「先ずは、スカートね…」
「先ずはって、何!!スカートと、下着しか無いんですけど!!あと、靴下!!」
「靴下は、残しといてあげるわ…」
「何で!!」
喋っている間に、アリーは、スカートを脱がし終える。ピンク色のロデの下着が、顕になった。…うーん、似合ってるなぁ。そして可愛い…。守銭奴だけど…。
「さて、次は…」
「靴下!!靴下だけでお願いします!!」
「…やっぱり、下着ね…」
「ひぃい!!」
アリーが、スルッとピンクの下着に指をかけ、そのまま剥ぎ取った。アリーの勢いで投げた下着が、俺のもとに飛んできて、思わず、掴んでしまう。…なんか、甘い匂いがするなぁ…。いい匂いだ…。
「ちょ、これ、何でここまで脱がすの?私が、何したの!!」
「あら、あなたはアイテム使い。どこに怪しいアイテムを隠してるか、分かったもんじゃないわ。だから、こうやって検査しているのよ」
「嘘だー!!!なら何で、靴下は残すの!!」
アリーは、下着を剥ぎ取られて、なんとか足を閉じて大事な部分を隠そうとするロデの足を、開かせようとしている。なんとか開かせまいと、ロデが力を入れて、太ももを合わせている足の動きがエロい…。しかも、見えそうで見えない。うーん、何だか知らんが、とても良いぞー…。
「往生際が悪いわね!!ミルク!!」
「あっ、はい!!よいしょっと!!」
「あーーーーーーーー!!!!!!」
がばっと、ロデの足が開かれた!!ミルクの背中が邪魔で見えない!!残念。
「よし、女ね!!変なものを、見なくて済んだわ」
「ううっ、何で、何でこんな…」
ロデが、真っ赤になって震えている。少し可哀想だな…。でも、興奮してきた…。
「さて、目的は達したわね。それじゃあ、着せましょう。ベイ、下着、パス」
「ああ、どうぞ…」
俺は、アリーに、パンツを投げ返す。瞬時に、アリーが服を着せて行き、ロデの拘束を解いた。
「ううっ、もう、お嫁に行けない…」
「何言ってんのよ。引く手あまたの、商家の娘が…」
「何で脱がせたの!!何で脱がせたの!!」
「それは、ロデ。あなたが女だという、弱みを握りたくてね…」
「…、はっ!!」
「そう、そういうこと…。これで、はっきりしたわ。ロデ、あなたは女。そして、その事実をあなたは、周りに隠している。これを、周りに知らされたくなければ、私達の要求を飲んでもらいましょうか!!勿論、断るなんて、言わないわよね?」
これが、アリーの狙いだったのか!!確かに、ロデに取って、性別が周りに知れ渡るのは、いいことではないらしい。ロザリオにも、性別は男だと言って、隠そうとしていた。確かに、この脅しなら、ロデにいうことを聴かせることが出来るかもしれない!!これで、ニーナを助ける手はずが整うわけだ。
「…ははははははは!!残念ね、アリーさん。ついさっきまでの、私ならいざしらず。今の私に、性別を知らされる程度では、脅しの意味は無いわ」
「…!!なんですって…」
「何故って?確かに、私にとって性別を隠すことは、最重要項目だった。鬱陶しい貴族、商人、玉の輿を目論む一般人に、成り上がりたがるパパの部下。多くの人を退けることが出来る。でもね、それは、とあることをすることで、隠す必要がなくなるのよ」
「とあること…。まさか!!」
「そう、結婚。私が、結婚すれば、全て退けられる!!勿論、少なからず、それでも迫って来る奴はいるでしょうけど。夫に財産管理を任せているといえば、それも寄ってこないでしょう。私は、可愛いと言っても、特別プロポーションが良い訳では無いですからね」
なるほど。結婚。確かに、相手を決めてしまえば、言い寄ってくる目的が無くなった連中は、接近してこなくなるだろう。つまりロデは、ロザリオと結婚することにしたのか…。…いや、分かってる。ここで、その名前が出るはずがない。出るとしたら…。考えたくないが…。
「そう!!私は、ベイ君と結婚するから!!もう、性別を隠す必要が無いのです!!」
……やっぱりかぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!!!おかしい!!おかしいよ!!さっきまで、付き合うだっただろう!!もう、結婚まで思考がぶっ飛んだのかよ!!早いよ!!早過ぎるよ!!展開についていけないよ!!この短い間に、どんな心境の変化があったんだよ!!!
「殺しましょう」
アリーは、優しい笑顔でそう言った。