*話の流れが、かなりぶっ飛んでいます
「まさか…、まさか、持ち金の勝負で負けるとは…。いえ、それでは、最後の勝負と参りましょう。最後は、どちらがより頼れる男かという勝負で行きましょう!!ふふっ、このように可憐な容姿をしている私ですが、これでもシナン魔法学校・闘技大会10位の実力を持っているのです!!どうです、かなり男らしいでしょう?」
えっへんと、ロザリオは胸を張る。かわい…。いや、男なんだ。何を考えとるんだ俺は。ちくしょう!!本当に男かよ!!魔法を解いたら、むさ苦しいオッサンとかになるんじゃないだろうなぁ!!それだと、俺、ゲロ吐きそうだぞ!!何で男なんだよ、ちくしょう!!まぁ、それは、置いといて…。
「はぁ~?ベイ君は、ウィルクス魔術・戦士学校・闘技大会・今年度優勝者なんだけど。10位より、よっぽど頼れるんだけど」
「ゆ、優勝者!?つまり、実力も申し分ないというわけですね…。ですが!!それだけが、男の良さを決めるわけではありません!!私は、多くの人達から、信頼されています!!男女共に、多くの友人がいますし。男でもいいから、付き合ってくれ!!と、言い寄られるほど、魅力にあふれているんです。人材は宝。多くの交友関係を、持っているからこそ、いざという時、頼れる人間と言えるでしょう。ですので、私のほうが、より男らしいと思うのです!!」
…うわぁ。男でもいいから、付き合ってくれって…。特殊な趣味の、お友達すぎるよ。いや、ギャグ的なノリで言った言葉という可能性もあるけれど…。まぁ、見た目的には、完璧に美少女だからなぁ…。ちょっと、心の壁を取り払えば、言えないわけでもなさそうな言葉な辺りが、逆に、生々しい…。まぁ、いいか…。でも確かに、交友関係というのは、一種の強みではあるよな。頼れる人脈があるというのは、確かに良い事だ。色々な場面に、対応できるかもしれないという、無限の可能性を秘めている。
「はぁ~?ベイ君は、既に何人も婚約者がいて、その中には勇者の末裔の1人、バルトシュルツ家の娘もいるんですけど。下手な交友関係より、頼りになるんですけど」
「な、なんと…。魔法業界では、知らぬものがいないという、あのバルトシュルツ家の才女と婚約を…。確かに、それだけで、頼れる感が半端ないですね…」
アリー、凄いな…。その名前だけで、彼の交友関係の自信、吹き飛ばしちゃったよ。流石、俺の嫁…。幸せにします…。
「ぐっ、これでは、私が負けてしまうではないですか…。仕方ない、やはり男たる者、あれで勝負を決するしか無いでしょう…」
「あれ?」
「あれです。ちょっと、ベイ君、来てもらえますか。ああ、ロデは、そこにいて下さい。女の子には、刺激が強い勝負方法ですので」
「?」
?何だか知らないが、ロザリオが俺を手招きして、近くの茂みに入っていく。よく分からないが、俺も行くことにした。
*
「よいしょっと…。えっ、何で脱いでるのかですって?それは、勿論、ここの比べ合いをするためですよ?…はぁ?私が、魔法で女になっているんじゃないかですって?違いますよ。これはただ、似合うから女性物の服を着ているだけで、身体は自前です。それが証拠に、ほら、付いているでしょう?えっ、分かったからしまえ?何を言っているんですか。比べるといったでしょう?ほら、ベイ君も出して下さい。あっ、逃げないで!!大人しくして下さい!!私だけ脱ぐなんて、不公平じゃないですか!!大丈夫、男同士です!!何を恥じらうことがありましょう!!さぁ、さぁ、見せて…」
「…」
ロデは、一応近づいて、聞き耳をたてていた。ロザリオが、何か不正な手段を使うのでは?と思ったからだ。だが、えっ…、とか、不公平とか、断片的にしか聞き取れない。一体、どんな勝負が行われているのだろうか?ロデは、もう少し近づいてみることにした。
「…くっ、私の圧倒的な負けですね…。…しかし、勝負はまだ分かりませんよ!!最大限の大きさと、今の状態とでは、大きな違いがありますからね。ほら、見てください!!私のは、こんなに…。えっ、もういい、分かった?いえ、分かっていません!!私はまだ、ベイ君のMAXを見ていないのです!!これでは、比べようもありません!!…まぁ、確かに、既に私の負けは確定しているようなものですが、私だけというのは、やはり…。その…。は、恥ずかしいです!!ほら、大人しく見せて下さい!!」
何やら、言い争うような声が聞こえる。お互いの男らしさを、主張しあっているのだろうか?ロデは、更に近づいてみることにした。
「ちょ、暴れないで下さ…。ひゃぅう!!そ、そこ、触っちゃぁ…。えっ、離せ?いえ、離したら、逃げるじゃないですか!!離しません!!ちょ、…力任せに、引っ張るのは卑怯で…。うひゃぁあ!!こ、擦れちゃう…。へ、変な声を出すなって…。そ、そんな事言われても…。ベイ君の腕が、擦れて…。あっ、あっ…」
何やら、ロザリオの苦しそうな声がする。これは、お互いの実力をぶつけあう戦闘系の主張なのでは?と、ロデは思った。だが、やはりまだ聞き取れない。よって、更に近づく。
「あーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「!?」
何故か、周囲にロザリオの叫びが響き渡った。ベイが、勝ったのだろうか?ともかく、2人が戻ってきそうな気配がする。ロデは、素早く元の場所に戻ることにした。
*
はぁ…。何で、男同士で筋肉の見せ合いをせねばならんのだ…。夏だから良かったが、上半身裸で、筋肉を見せるポージングを取るとか、恥ずかしすぎるだろ。やりたくない勝負だった。しかも、付いてるでしょう、とか言われても、ロザリオ、全然筋肉ないし…。どういう勝算で、ああいう勝負に踏み切ったのかが謎すぎる。苦し紛れとしか思えない…。ああ、あれか。俺が、魔術師用ローブ着てるから、魔術師タイプで、筋肉つけてない派だと思ったんだろうか?部の悪いかけすぎる。
「はぁ…、はぁ…」
「…」
しかし、何だ…。ロザリオは、大丈夫だろうか?いきなり、変な声をあげだしたが…。まさかな…。取り敢えず俺は、ロザリオを起こし、服を着せてやる。そして肩を貸して、ロデのもとに、戻ることにした。
「で、どっちが勝ったの?」
「…まぁ、俺かな…」
「はぁ…、はぁ…」
ロザリオは、全身に力が入らないらしい。身体を俺に預けたまま、何も言わず、もたれかかってくる。ちょっと色っぽいのが、悔しい…。勘弁して欲しい…。一方ロデは、嬉しそうに、俺の片腕に抱きついてきた。
「ほら、ロザリオ。あんたの負けよ!!負けたんだから、今日は帰りなさい!!ゴー、ホーム!! ゴー、ホーム!!」
急かすように、ロデはそう言う。ロザリオは、その言葉に息を整え、こう言い出した…。
「ロデ、私はベイ君に、牝にされてしまったようです…。ごめんなさい。私、ベイ君の物になりますね…」
「…はぁ?????」
「?????????」
その場の空気が、凍りついた…。