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召喚魔法で異世界踏破  作者: 北都 流
第二章・五部 夏と商家の娘?と
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出発

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!!!!」


 …何だろう?聞いたことのあるような声の、雄叫びが聞こえる。そいつは物凄い速さで、食堂前を通り過ぎて行った。もしかして、ロデか?


「…今のは、ロデだろうか、ベイ」

「俺も、そうだと思ったが…。何だろう、あんな急いで?」

「あっちは、校門の方か…。差し詰め、急いで帰る用でも出来たといった所だろう…。理由は、分からないが」


 …大人アリーが、アルナファティクに行こうと言った理由と、何か関係があるんだろうか…。まぁ、今は知るすべもない。そっとしておこう…。俺達は、何事もなかったかのように、食事を続けることにした。


「…ところで」

「うん?どうしたんです、レノン先輩」

「その…、ヒイラさんだっけ。何でヒイラさんも、ベイ君と一緒に行くんだろうと思ってね。というか、いつの間にそこまで親しく…」

「えっ、私ですか!!えっと…」


 ヒイラは、どう説明したものか困っているようだ。俺とヒイラが出会ったのは、日数にしてわずか5日前になる。そりゃあ、いつの間にとも言えるスピードで、仲良くなってるよな。しかも、揉んだりもしたし…。ヒイラも俺の顔を見て、そのことを思い出したのか、顔が赤くなっていた。可愛い。


「ヒイラさんは、アリーさんのご友人でして。そのおかげで、ベイと仲良くなったようです」

「なるほど。アリーちゃんの友人…。つまり、友人として旅行には行くわけね。なるほど、なるほど。それなら、安心ね」


 …何が、安心なんだろうか。


「いえ、既にヒイラさんも、ベイと結婚することになっております。多少の肉体関係もあるようです。友人としてより、妻としてという所が大きいかと」

「た、多少の、肉体関係…!!!」

「い、いつの間に…!!」


 お昼の学生食堂で、何を言ってるんですか、皆さん…。ヒイラは、その発言で更に恥ずかしくなったのか、縮こまってしまっていた。俺も、軽く周りを見渡す。少しざわついたが、大きな発言としては捉えられなかったようだ。危ない、危ない。


「くっ!!サラ、私達も、この旅行で…!!」

「うん、やるしかなさそうだね…!!」


 2人の目が、ギラつき始めた。俺の腕を力強く抱きかかえ、おっぱいが、むにゅっと押し付けられる。うん、素晴らしい。だが、同時に嫌な予感もしていた。俺が、何故か何かをしぼられて、やせ細る未来が見えた気がする。大丈夫だろうか、俺が…。


「…ベイ君、モテるね」


 ニーナに、苦笑いで微笑まれた。確かに、自分でもびっくりするくらいではある。だが、ギスギスしているよりは良いだろう。そう、開き直ることにした。そしてお昼の時間が過ぎ、俺は、一旦家に帰る事にする。アリーに、優勝賞品の全課程終了書を見せるためだ。そのまま家で、神魔級回復魔法研究を皆で手伝う。そして学校の放課後近くになると、俺は、ニーナを誘って研究会に出ることにした。


「おっほん、それじゃあ、魔法の特訓を始めようと思う。いいね、ニーナ」

「はい!!よろしくお願いします!!」


 初歩的な魔法コントロールの練習から教えていこうと、俺は思った。暴発させても、危険の少ない回復魔法で、ニーナに魔力を操る感覚を教えこむ。回復魔法を広範囲に広げたり、集中させたり。そんな地味な訓練を、初日は行った。


「意外と、難しい…」

「へー、魔法って、こんな訓練をするんだね…」


 レラ達も、興味深げに練習風景を見に来ていた。そこから放課後は、毎日研究会に出て、魔法の訓練をしていく。無詠唱、物を貫通させての魔力コントロール、魔法ごとの威力の調節、と特訓内容を移していった。少しニーナは難しそうにしていたが、今まで魔法を使ってきた下地もあってか、すぐにそれらの訓練を、楽にこなせるようになっていった。そうしている内に、あっという間に5日が過ぎ…。


「はい、では、夏休みを楽しんで下さい。皆さんお元気で」


 今週最後の授業が、終わりを告げた。つまり、明日から夏休みになる。俺は、その終わりの声を聞くと教室に入っていった。


「あっ、ベイ君!!」

「うん、ニーナ、今日も研究会に行こうか」

「うん!」


  夏休み前、最後の日。その日も、ニーナを誘って、研究会で特訓をすることにした。その日は、回復魔法以外の攻撃魔法を、無詠唱で使えるように練習を行う。回復魔法以外だからか、難しそうにニーナはしていたが。何とか、初級攻撃魔法を無詠唱で、扱うことが出来た。さて、ここからは地獄の特訓になる…。まぁ、それは明日からだ…。今日は早めに切り上げて、研究会の皆に長期休みのお別れを告げて、家に帰ることにした。次の日…。


「はぁ…、凄い出来ね。この馬車。…いや、牛車…」

「そうだね…。というか、デカイ…」


 俺とアリーと皆は、朝から荷物を持って、寮の前に出ていた。そこに、ミズキが作った牛車を、転移させて持ってくる。覚悟はしていたが、凄いデカさだ…。本当に、バスのようにデカい。横幅は、バスよりデカイかもしれない…。一室、まるごと牛車にしたかのようなデカさだ。その牛車に、ミズキの案内で荷物を詰め込んでいく。


「おっし、ベイ、私も用意出来たぞ!!荷物は、何処に置けばいいんだ?」

「私も…」


 そこに、遅れて部屋から出てきたサラサとヒイラも、荷物を詰め込んでいく。結構な、大荷物になるが、まぁ、この広さなら大丈夫だろう。そして、数分後。レラ、ニーナ、レノン、サラもやって来た。これで、全員揃ったことになる。俺達は、全員牛車に乗り込んだ。さて…。


「それでは、行きましょうか!!」


 ミルクがそう言うと、地面から土魔法で出来た、牛が現れた。その牛も、またデカイ。普通の牛の二回りはデカイだろうか。その牛に、ミルクがまたがる。そして、ミズキがその牛に、縄をかけた。


「よし、良いぞ!!」

「では、しゅっぱーつ!!」

「モー!!!!!!!!」


 牛が雄叫びを上げて、地面を蹴る!!土煙を巻き上げて、牛車が急発進した!!


「おっと!!動き出したか。で、ベイ。どれぐらいで着くんだ?距離的に、5日ぐらいはかかると思うが…」

「夕方には着くよ」

「…えっ?」

「夕方には着くよ」


 俺は、窓の外を指差す。景色が、まるで飛ぶように流れていった。


「あはは!!さぁ、水着回目指して、急げ、急げ!!!」

「もー!!!!」


 餌を目の前に吊るされ、興奮した牛の速度は凄まじい。俺は、そう思いながら、ゆっくり到着を待つことにした。


 

  

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