正直、多い
「…さて、今週が終わると共に、皆さんは、長期の休みに入ります。配ったプリント通り、危ないことや、間違った行いわせず、ゆっくり過ごして下さい。あと、始業日に送れないこと…。それを考えて、今から計画を立てて下さいね。以上です」
夏休みの注意を早めにして、先生は一旦出て行った。…俺は、チラッとニーナを見る。
「ベイ君!!」
「うわぁぁああああ!!!…ど、どうしたの、ニーナ?」
振り向くとニーナの顔が、間近まで迫って来ていた。何だろう?ニーナから、用があるんだろうか?
「その、優勝記念パーティでは、言いそびれちゃったけど…。試合、凄く、興奮しちゃった!!やっぱ、ベイ君は凄いね!!魔法も、剣術も!!私、感動しちゃった!!」
「あ、ああ、ありがとう…」
…意外だ。ニーナも、興奮が冷めてないうちの、1人だったのか。そう語るニーナの口調から、かなり興奮していることが伺える。
「ヒイラさんの魔法も、途中の試合で使ってたし。あれ見て、私、凄い驚いちゃった。剣術も凄いのに、あんな高度な魔法まで使えるなんて…。それに、あれだけ使っても、魔力切れになる雰囲気すらなかったし…。本当に、凄いよ…」
「…」
何だろう。褒められているのに、嫉妬されている感じもする…。でも、かなり苦労して得た実力だからな。褒められて、嬉しいものは嬉しい。
「…それで、相談があるんだけど…」
「相談?」
「…わ、私に!!魔法の、特訓をして欲しいの!!」
「と、特訓?」
「そ、そう…。駄目…、かな…。あっ!!ベイ君も夏休みは、実家に帰っちゃうよね!!だったら、それまででも良いから!!お願い、出来ないかなぁ…」
…俺は、わざとらしく席を立つと、窓の外を見つめて、こう言った。
「特訓(主に、ミズキ地獄)は、厳しいぞ」
「う、うん!!…それでも、私、もっと魔法が上手くなりたいから!!お願い!!」
「(うん?殿。さっき、私の事呼びました?)」
「いや、呼んでない…」
「えっ?」
「ああ、いや、何でも無い…」
ミズキも、感が鋭くなってきているな…。気をつけねば…。
「…分かった。俺でよかったら、特訓に付き合うよ…」
「本当!!」
「ああ、任せなさい!!」
「やったー!!」
ニーナが俺の手を取って、喜んでいる。…こんないい子が、死ぬっていうんだもんなぁ…。まぁ、俺が、そんなことには、させないが…。
「それはそうと、ニーナ…。夏休みって、暇?」
「えっ?」
そのままの流れで、俺は、ニーナを、旅行に誘うことに成功した。特訓というおまけ付きではあるが、まぁ、楽しくやれるだろう。ミズキ次第でもあるが…。
「(…ニーナさんには、清楚系の水着が良いのでは?)」
「(いやいや、ああいう子だからこそ、布地が少なめの、可愛いのを着せたほうがだなぁ…)」
…また、水着談義が始まってしまった。というか、ニーナのも作るのか…。楽しみだな…。俺は、そう思わずにはいられなかった。
「おっ?」
「はい、授業を始めます。席について下さい」
話をしていたら、授業が始まる時間になってしまったようだ。俺は、今から出て行くのも微妙なので、そのまま席につく。そして授業の教科書を開き、ノートに書いてある神魔級回復魔法・簡易記述メモと、にらめっこをした。まぁ、まだまだ授業は、中級魔法学とかだ。特に、気になることもないだろう。俺は、体の内で魔力を動かしながら、地味に、呪文改定を進めていく。と言っても、授業中に進んだのは、ほんのちょっとだった。これぐらいならアリーが家で、もうやってそうではある。まぁ、俺が、感覚的に魔法を理解することも重要ではあるから、無駄ではないだろう。そうこうして授業を過ごす内に、時刻は、お昼になろうとしていた。
「ベイ君、お昼ごはん食べよう」
「ああ、サラサも待ってる。食堂に行こうか」
そう言って俺とニーナは、食堂に移動した。食堂で待っていたサラサ、レラ、ヒイラを見つけ、席に座る。そして…。
「いやぁ、そんな大事なイベント。私達も、行くしか無いでしょう?」
「行きたいなぁ、ベイ君?」
「あはは…、じゃあ、2人も来ます?」
「行く行く!!」
「わ~い!!」
いつも通りに待機していた、レノンとサラに俺は、両隣からサンドイッチにされていた。勿論、サラサとレラ、ヒイラにニーナがいるのだから。話は、必然的に旅行の話になる。それをこの2人が、聞き逃すはずがなかった。その話題を聞いた瞬間、胸を俺に押し付け、耳元で甘く囁き、太ももをいやらしく撫でてくる…。結果、俺はOKせざる負えなかった。おっぱいには、勝てなかった。
「(この2人は、まぁ、あれでいいでしょう…)」
「(うむ)」
レノンとサラ用の水着は、話すまでもなく決まったらしい。…しかし、何だろう。今日はやたらと、ボディータッチが多いな。レノンとサラは、胸を押し付けてくるだけではなく、手を握ってきたり、俺の胸板を触ったり。いつもより行動が、今日は積極的な気がする。それに俺の腕を、隙があれば自分の太ももに触れさせようとするし、胸の谷間も、積極的に見せてきているような…。何だろう?ここ数日大会だったから、触れ合えなかった分、触れ合おうとしているんだろうか?祝勝会では、フィー達がいて遠慮したのか、あまり触ってこなかったし、そのせいかな?
「ベイ君と旅行だって、サラ!!」
「うん、やるしか無いね!!レノン!!」
…2人は、何故か気合が入っているようだ。何をするんだ?今の俺には、想像できない。
「で、何処に行くの?」
「海ですよ。アルナファティクってとこに行きます」
「ああ~、あの商業が盛んて言う、港町だっけ…。確か、マルシア商会の本店があったような…」
「マルシア商会・本店…。武器から、アクセサリー、女性用下着まで幅広く置いているという。世界一大きな商業店舗として有名なあの…」
「…行ってみてもいいかも。ベイ君が好きそうなの、あるかもしれないし…」
「備えは大事だよね。備えは…」
備え?俺が好きな?あれかな、旅行中に食べる、お菓子とかかな?
「お二人共、先に言っておきますが。今回は私も含め、女性が既に16人参加することになっています。…そういう時間は、取りづらいかと…」
「じゅ…、16!!!!!」
「全員が、ベイ君狙い…」
そうか、16人かぁ…。数字にすると凄いなぁ…。しかも、俺以外全員女性とは。最近は、周りに常に11人いるような状態だから、特に気にしてなかったけど。改めて考えると、驚愕するな。
(私も、お忘れなく)
あ、そっか。アルティもいるのか。というかアルティは、女性でくくって良いんだろうか?声は女性のように聞こえるけど、剣だしなぁ…。
(…やはり、急ぐ必要がありそうですね)
えっ?何が?…問いかけたが、アルティからの反応はなかった。