第一回・添い寝試験
それから、5分ぐらい経っただろうか。寝室から、ええっ!!とか、無理だよ!!とか聞こえたが。まぁ、俺には、ゆっくり待つことしか出来なかった。
「いいわよ~、ベイ!!こっち来て!!」
おっ、アリーから、お呼びがかかったな。行くか…。俺は、肩車するように抱きついていたカヤを撫でながら、席を立つ。立つとカヤが、背中におぶさるように移動したので、そのまま寝室に移動することにした。さて、どうなってるかな…。
「…ちょ、ちょっと待って!!」
「ええい!!サラサ、止めなさい!!ヒイラ、覚悟を決めるのよ!!」
「というか、何で私だけ!!…ベ、ベイ君!!まっ…!!」
…残念だが、もう扉を開いてしまった。見ると、ヒイラが蹲って、丸まっている。それに何だか、透けている服を着ているような…。あれは、ネグリジェか…。ブラとパンツが、透けて見えている…。…えろい。
「で、アリーさん。結局、この服は、何なんですか?」
「ネグリジェっていう、一部で流行ってる寝間着らしいわ。薄い布地で、肌触りが良くて、快適に寝れるのだとか…。ちなみに、ここまで透けてるのは、男性誘惑用を私が買ったからだけどね」
「なるほど。…ところで、何でヒイラさんしか着ないのですか?我々は、着ないのですか?」
「数がない、っていうのもあるけど。サラサが着たら、筋肉が際立って、強そう?ってイメージが先行しそうだし。私が着ても、まぁ、無難…。みたいな、感じにしかならないと思うのよね」
いや…、そんなことはない!!アリーが、あんなの着てたら、俺は我慢出来ないね!!出来ないよ!!
「まぁ、そんな考えもあって。今日は、余りにも男を誘う身体をしている、ヒイラに出番が回ったわけ」
「なるほど…」
「何!!余りにも、男を誘う身体って、何!!ひどいよ!!」
「いや、でもヒイラ…。自分で、よく見てみなさいよ…」
「えっ、うわわ!!」
テキパキとアリーは、蹲っているヒイラを立たせる。ヒイラは、恥ずかしそうに顔を、赤く染めていた。
「見てよ、この普段着ているローブ姿からは、考えられないスタイルの良さ!!歳の割に、でかくて形の良い胸!!くびれた腰!!肉付きの良い、下半身!!…お手本みたいな、男を誘う身体すぎるでしょ!!!言い逃れしようもないわよ!!」
「えっ!?そんなこと、言われても…」
「そうよね、ベイ?」
…いや、そこで同意を求められても…。俺は、じっくりとヒイラを見つめる。感触の良かった巨乳…。滑らかで、肌触りの良い腰…。そして、思わず撫でたくなるような下半身…。見れば見るほど、非の打ち所もないスタイルだな…。俺は、無意識に、大きく頷いていた。
「ほらぁ~」
「あわわわわわわわ!!!」
「う~ん、これは私でも、そうだと思いますね。ヒイラさんは、恵まれている…」
「いや、サラサも、十分良いスタイルしてる方でしょう…」
「?そうでしょうか…」
アリーの言う通り、サラサも胸は大きいし、鍛えているから腰もスラっとしている。かなり、良いスタイルだろう。
「まぁ、それはいいとして…。ヒイラを、ベッドにポーイっと!!」
「キャー!!」
いつだか、見た光景の様に、ベッドに投げられるヒイラ。違いがあるとすれば、今は、縛られてないことだろうか。あと、俺を誘う服を着ている…。
「で、そっち側にサラサ。こっち側に、私が寝そべると…」
「なるほど、なるほど…」
3人が、川の字を狭めたような感じで、近寄って寝そべった。ふむ、いいね…。思わず、飛び込みたくなるような、そんな色気が3人から出ている…。主に、ヒイラのエロさが、半端ないせいでもあるが…。
「さて、ベイ…。誰からにする?」
「えっ?」
えっ?どういう意味ですか?もしや…!!もしや…!!…いや、冷静になれ…。アリーは、さっき言ってただろう。ベイとの、添い寝だって…。つまり、誰と先に添い寝する?って、アリーは、聞いているんだ。決して、さっき俺が考えたようなことでは、ないはず…。危うく、理性がぶっ飛びそうになったぜ…。危ない、危ない…。
「そりゃあ、ア…」
「ああ、私は、今回審査する側だから、無しね。後で、どうせ、いつも通り寝るし。先に、2人を選んであげてね」
「…分かった」
う~ん、アリーは無しかぁ…。とすると、どちらからがいいのか…。ヒイラが先…?いや、ここはサラサか…。う~ん、考えても答えが出そうにない…。よし、ここは…。
「じゃあ、2人同時で…」
「なるほど。どうせ、皆と寝るものね。その適性を見るってわけ…。流石、ベイ!!」
いや、単に、あの間に挟まれたいってだけなんだけど…。まぁ、いいか…。俺は、2人の間に、ゆっくりと寝そべった。で、これ、何がどうしたら、いいことになるんだろう?審査基準とか、あるんだろうか…?
「ベイ…」
その声に、ふっと横を見ると、サラサが上体を持ち上げ、俺にキスをしてきた。濃厚で、求め合うような、深く、熱いキスだ。何度も舌で触れ合い、暫くして、ゆっくりと口を離す…。
「おやすみ…」
サラサは、やや赤くなった顔で、そう言った。うーん、寝れなくなりそうなキスだ。嬉しいけど…。
「ああ、おやすみ…」
「…ほら、次は、ヒイラの番よ」
「えっ!!…ああっ、…その…」
辿々しく、ヒイラは、顔を近づけてくる。その顔が可愛くて、頭を撫でてあげると、真っ直ぐ俺の唇に、自分の唇を重ねてきた。そういえば、なんだかんだで、ヒイラとはこれが初めてかぁ…。なんか、そんな気がしないなぁ…。
「ううん…」
小さく、お互いの唇を、ついばむようにキスをする。すると、ヒイラがもっとという感じで、舌先で俺の唇に触れてきた。俺も、舌を出し、ヒイラを手引する。そこからヒイラは、サラサのように、俺の唇に大きく吸い付いてきた。初めてだが、精一杯俺を求めようと、ヒイラはしてくる。そんなヒイラを、可愛いと感じてしまうのは、仕方ないことだっただろう。実際、可愛いし…。
「はぁ…、はぁ…、はぁ…」
息が続かなくなったのか、ヒイラは、唇を離した。その目は、とろけているという表現がぴったりなくらい潤んでいて、熱く俺を見つめている…。
「……、あっ、お、おやすみ。ベイ君…」
一呼吸置いて、我に返ったのか。ヒイラは、恥ずかしそうに背中を向けて、寝そべってしまった。俺は、そんなヒイラの腰に手を回し、自分の近くに引き寄せる。
「あっ…」
「おやすみ、ヒイラ…」
サラサも、俺に寄り添うように寝そべった。俺は、サラサの腰にも手を回し、引き寄せる。そして、2人のぬくもりを、感じていた。
「う~ん、悪く無いわね…。でもヒイラ、ベイに背中を向けるのは、ちょっと良くないかもね。周りには、他の子も寝ていて、その子もベイの方を向いて寝ている訳だし…。あなたも、ベイの方を向いたほうがいいわ。それに、その方が、胸も押し付けれて、良いと思うのよ」
「む、胸を…?」
「そう。せっかく、良い物持ってるんだし、使わない手はないわね。その方が、ベイのムラムラも溜まって、いい感じに夜の関係が進むと思うわ」
「な、なるほど…」
チラッとヒイラは、俺を見ると。こちらに向き直り、胸を押し付けてきた。…た、確かにこれは、夜の関係が、進みそうな気がする!!子供まで、出来そうな気がする…!!アリー、ナイスアドバイス…!!
「まぁ、2人共、これで良しとしましょう。後は、寝相の問題だけど…。悪い?」
「多分、私は大丈夫です…。ベッドから、落ちたことありませんし…」
「わ、私も、大丈夫かな…」
「なら、安心ね。…じゃあ、後は皆で寝るだけかぁ…。ベイは、さっき起きたばかりだから、まだ眠くないでしょう?じゃあ…、ヒイラ、ちょっと魔法研究進めるわよ!!」
「えっ、今から!!」
「そう。今から!!ほらほら、起きて起きて!!」
「ちょ、アリーちゃん!!私、こんな格好だよ!!せめて、着替えさせ…」
「あっ、そうね。さっきのに、着替えると良いわ。でも、寝るときは、また脱がすから」
「ひぃぃぃぃいいいいい!!!」
アリーに引っ張られ、ヒイラは寝室から出て行く。俺も、手伝ったほうが良いだろうか?
「あっ、ベイ。ちょっと、頼みたいことがあるんだけど…」
「うん?頼みたいこと…」
「そう。それは…」
*
アリーの頼みと言うのは、サラサと触れ合うことだった。今、俺は、サラサを膝に乗せて、抱きしめている。これは、なんだかんだでサラサが、うちに泊まるのが初めてなので、緊張を和らげようと言う、アリーなりの配慮らしいのだが。効果があるんだろうか?俺から見て、サラサは、緊張しているようには見えない。でも、初めてのことだし、知らず知らずのうちに、心に負担がかかっていたりするのかもなぁ…。俺は、サラサを撫でたり、軽くキスしたりしながら、時間を過ごした。
「ベイ…」
「うん?」
「愛してる…」
「…俺も、愛してる」
そのまま、眠くなるまで、俺は、サラサと過ごした。