職人気質の2人
「…ちょ、まずいよ…。アリーちゃ…」
「大丈夫よ。汗だくで、寝かせておく訳にもいかないでしょ。よいしょっと…」
「うわぁぁぁぁああああああああ!!!下まで!!!!」
「何言ってんのよ…。いつかは、見ることになるのよ。そんなことで、どうするの?」
「で、でも…!!」
「アリーさん、私何だか、変な気分になってきました…」
「むっ、あれだけ動いたのに、そんな気分になるとは…。サラサはやっぱり、体力あるわね。でも今日は、ベイも寝てるから。身体触るくらいにしときなさい」
「なるほど…。…うーん、やはり、ムキムキですな…。たくましい…」
…何だ…。身体がこそばゆいな…。でも、…眠い…。俺は、また眠りに落ちていった…。そのまま、数時間後…。
「…今、起きた…」
今、何時だろう。誰も姿が見えないな…。台所かな?と言うか…。
「俺、半裸じゃん…」
見た感じ半裸だ。上は何も、服を着ていない。下半身には、何か感触があるので、恐らく何か履いているだろう。それだけが救いか…。
「…」
でも、なんか感覚がおかしいな…。何か、ムッチリしているというか、吸い付いてくるというか…。気持ちいい…。
「チラッ…」
「むにゃ…」
ミルクが寝ていた…。…。取り敢えず、俺は辺りを見回す。よく見ると、着替えが置いてあった。これは、有り難い。俺は、布団から這い出し、トランクスから履きだした…。
「ミルク、起きろ…」
着替えた俺は、むにゅんむにゅん、ミルクのおっぱいを揉みながら起こす。
「ふぁぁあああああっ!!!ふあっ!!ご主人様、おはようございます!!」
「皆は何処か、知ってるか?」
「は、はい!!えっと、今の時間ですと、ご飯を作っているかと!!」
「ああ、やっぱりそうか…」
むにゅん、むにゅん。
「ふぁあっ!!ご主人様、それ以上されますと、我慢が!!我慢が、出来なく!!」
「おっと、そうか…。よしよし、落ち着こうね…」
俺は、ミルクの頭を撫でる。少し、落ち着きを取り戻してきたようだ。
「じゃあ、台所に行こうか」
「はい」
俺は、ミルクを抱きかかえたまま、台所に向かった。むっ、肉を焼いている良い匂いがする!!
「おはようベイ。ご飯、出来てるわよ」
「ほら、力が出る料理を用意したぞ。いっぱい、食べてくれ」
「お、おはよう…」
何だかヒイラだけ、顔が赤いが、3人がエプロン姿で出迎えてくれた。豪華な料理が、ズラッと並んでいる。何、今日は、何かあったのって言うぐらい豪勢なんだが、どうかしたんだろうか?
「そういえば、優勝記念パーティーはしたけど、家ではお祝いしてなかったからね。ベイ、優勝おめでとう!!」
「「おめでとう!!」」
「「「「「「「「「「「おめでとうございます!!」」」」」」」」」」」
「…ありがとう、皆」
(出遅れましたが、マイマスターおめでとうございます。共に戦ったものとして、嬉しく思います)
アルティもありがとう。幸せだな…。俺はそう思いながら、食卓につく。その日は、ヒイラとサラサも泊まっていくことにしたみたいだ。もう、着ていた服は、うちで洗濯して干しているらしい。…多分アリーが、泊めるために洗濯させたんだろうなぁ…。と、思った。証拠はない、だが、あっているだろう…。何故なら、アリーがニヤニヤしているからだ…。
「うん、急遽用意したにしては、似合ってるわね。その服。2人共」
「はい、ありがとうございます。動きやすくていいですね、この服。サイズもぴったりです」
「私も、ぴったり…。まるで、前もって用意してあったかのような、不自然なぴったり感…」
「そこは、ほら…。ミルクと、ミズキの腕がいいおかげでしょう」
「えっへん!!」
「朝飯前です」
また、ミルクとミズキのコンビが、ものの数分で服を仕立てあげたのか?流石というか、なんというか…。
「お2人は、服屋さんで働いておられるのですか?」
「いえ、違いますよ」
「ニンジャです」
「ニ?ニンジャ?」
あまりの出来の良さに、サラサが、服屋の職人さんと勘違いするレベルのようだ。まぁ、店で売ってても、普通に問題ない完成度してるからなぁ…。でも、多分、職人よりいい仕事してると思う。にしても…。
(2人共、胸が強調される服を着ているなぁ…)
サラサは、ぴっちりした伸縮性の良い黒いTシャツを着ていて、胸の丸みがもろに出ている。ヒイラは、体操着のような印象の服を着ていて、見事な2個の白い山を作っていた。…ヒイラの胸、柔らかかったなぁ…。そんな俺の邪念を察したのか、ヒイラは恥ずかしそうに、腕で抱えて胸を隠してしまう…。残念…。
「ふふふっ…、今のうち今のうち…」
そんなヒイラを見たアリーは、更にニヤけていた…。一体なんだろう?この後、何かあるのかな?
「ところで殿、少し見て頂きたいものがあるのですが」
「うん?何だ、ミズキ」
「こちらです」
そう言うと、ミズキは1つのデザイン画を出してくる。これは、馬車かな?かなり大型の馬車の、デザイン画のようだ。無駄に、装飾も凝っていて、プロの仕事みたいに見える…。ミズキ、お前凄すぎ…。
「今度の、旅行用の馬車か?」
「はい、その通りです。正確には、馬車ではなく牛車になるのでしょうが…。まぁ、そこら辺は良いでしょう。こちらが、内装のデザインになります。20人座っても、余裕がある席数。更に、座席後ろに、折りたたみ式のテーブルを備え付けることで、食事も出来るようにしています。これなら、転移を使わずとも、楽しく旅が出来るでしょう。トイレも完備です」
…まるで、バスだな。牛車の枠を超えている。…つまり牛車ということは、引くのはうちの牛ということだろうか。まぁ、間違いないだろうが…。あんなパワフルなエンジンで、揺れとかは大丈夫なんだろうか。心配になってきた…。
「うーん、そうだな、ミズキ…。走行中は、ここと、ここに、こうだなぁ…」
「ほうほう…、なるほど…。流石、殿ですね。勉強になります」
俺は、思い付いた事をミズキに提案する。これで、旅行の足は、大丈夫だろう。旅行まで、そう日数がないが、何日で完成するのかなぁ…。と若干心配したが。提案した次の日には、この牛車は完成形として、実物が組み上げられていた…。ミズキの生産能力、凄すぎである…。
「さて、夕飯も食べたし、片付けもしたし。サラサ、最後のお嫁さん修行を始めましょう…」
「はい、よろしくお願いします!!」
「最後の修行、それは…、ベイとの添い寝よ!!!」
「えっ?」
言うやいなや、ヒイラの腕をがっしり掴んで、捕獲するアリー。それを見たサラサも、手伝うように、反対側からヒイラを捕まえた。
「えっ?えっ?」
「ふふふっ、さぁ、行きましょうヒイラ。ベッドへ…」
「あ、あ、アリーちゃん!!ま、まだ、早いんじゃあ!!ほ、ほら、ベイ君も起きて間もないし!!」
「大丈夫…。ベッドですることは、寝ることだけじゃ、ないのだから!!」
「だから、それが早いって、言ってるのにぃぃぃぃぃぃぃいいいいいい!!!!!!」
抗議の声も虚しく、ヒイラは寝室に運ばれていく。
「あ、ベイは、もうちょっとしてから来てね。ちょっと、準備があるから」
準備、何だろう?まぁ、アリーが考えることだし、俺にとっては悪いことではないだろう。ヒイラにとっては、どっちか分からないが…。取り敢えず俺は、ホットミルクでも飲んで、ゆっくり待つことにした。
「ああ、ご主人様が、私の牛乳を!!…あっ!!」
…ミルクは、相変わらずだなぁ…。